《解 説》
本件は、私設の商品先物取引市場(パラジウム)を開設運営していたY1及びその代表者であるY2に対して、右市場において売買取引の受託業務を行っている取引員(加入業者)であるA会社の不法行為(勧誘行為の違法)により損害を被ったと主張する顧客Xらが、不法行為に基づいて損害賠償(財産的損...
山中事件第二次控訴審判決 一、殺人事件の共犯者の供述に信用性を認めた原判決が破棄された事例 二、殺人事件と強盗事件の公訴事実のうち殺人事件にのみ関係のある破棄理由を示されて上告審から全部の事件の破棄差戻しを受けた控訴審が、判断できる場合を限定したうえ、強盗事件についても判断を示した事例
《解 説》
刑訴法八九条一号は、被告人が短期一年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯した場合を、権利保釈の除外事由としている。幇助犯については必要的減軽がなされるから、正犯の罪の法定刑の短期が一年であっても、幇助犯の刑の短期は六月となる。このような場合、幇助犯の保釈を判断するに当たり、正犯の罪の...
一、産婦が出産直後に大量出血で死亡した事案につき、その原因を子宮頚管又は子宮内壁に存在した未確認裂傷と推認して、担当医に輸血手配遅延の過失があったと認定した事例二、主婦の死亡に対する慰謝料として、本人分一五〇〇万円及び遺族固有分合計一三〇〇万円の総額二八〇〇万円が認容された事例
《解 説》
一、本件は、ある店舗における「業務委託契約」の性質が争われた事例である。
Xの主張によれば、Xが他から賃借している店舗で、「天むす」(エビのてんぷらを入れたおにぎり)を販売する業務をY1に委託し、Y2は右委託契約から生じるY1の債務を連帯保証していたが、昭和六二年以降、販売代...
《解 説》
Y(取手市外二町火葬場組合)は、墓地、埋葬等に関する法律に基づく火葬場及び斎場の経営許可を受けて、その建設工事に着手しようとしている。 Xらは、右火葬場の建設予定地に二・七メートルの道路を隔てて隣接する病院の入院患者であり(ただし、判決時にはXらのうち一名のみが入院している。)...
一、家主が家賃増額の方法によることなしに消費税三%分の額を借家人に請求することの可否
二、消費税法施行を理由とする家賃増額の巾
《解 説》
一、本件は、遺言書に、抹消の外、多くの加除・訂正(乱雑等)があって、確定的な効果意思のある書類といえるか、それとも、下書き・草案にすぎないかが争われたもので、控訴審は、第一審と異なり、遺言として有効と認定し、本来的請求を認容した一審判決を取り消し、予備的請求である遺留分減殺請求...
ネッスル日本労働組合神戸支部等預金払戻購求訴訟第一審判決
労働組合内部の対立により組合が併存するようになった場合において従前の労働組合支部執行委員長名義の預金債権が従前の組合構成員の大多数を組合員とする一方の組合に帰属するとされた事例
《解 説》
一、本件は、参加人北海道電力株式会社が、伊達市に建設した伊達火力発電所に使用する燃料(灯油)を移送するため石油精製、元売り会社である日本石油精製株式会社の工場のある室蘭市から発電所まで移送取扱所の送油管(パイプライン)を設置すべく、消防法一一条一項に基づき昭和五〇年九月八日付け...
《解 説》
一 本件は、高校の教師Xが同校の女子学生との情交関係を理由にY教育委員会から受けた懲戒免職処分の取消を求めた訴訟である。すなわち、Y教育委員会は、①Xは、妻子ある身でありながら、女子生徒A子と交際し、校内で評判となり、②A子の両親からの抗議や同僚教師からの注意にもかかわらず、交...
《解 説》
X(債権者、控訴人)は、本件不動産につき処分禁止の仮処分決定を得てその登記手続をなしたが、Y(債務者、被控訴人)は右仮処分決定に対し異議申立てをし、原審裁判所は被保全権利の疎明がないとして右仮処分決定を取消し仮処分申請を却下する判決(仮処分決定取消につき仮執行宣言付)をし、右判...
一、昭和四七年四月出生の極小未熟児が未熟児網膜症で失明した事案につき、担当医に酸素管理に関する義務違反があるが、本症の最新研究成果に照らし、右義務違反と結果発生との間に相当因果関係は認められないとされた事例
二、医師が、学会出張のため五日間患者を看護婦任せにしていたこと、及びカルテに改宜の疑いのあることが、医師・患者間の信頼関係を損なう不誠実診療として債務不履行を構成するとして、慰謝料の支払いが命じられた事例