《解 説》
本件事案の概要は、以下のとおりである。O(暴力団K組若頭補佐)は、U(K組若頭でR組組長)から、喧嘩の相手方甲(暴力団員)に対する報復を指示され、Uらと共謀の上、Uから拳銃と実包を受け取り、甲を殺害することとし、次いで、甲の所在が不明のため、代わりにこれと同じ系列の暴力団員乙を...
《解 説》
Y(被告・控訴人)は、国有地の払下げを受けてその地上に建築した建物を分譲するにあたり、真実住居を必要としている者に対して売り渡すために、申込者を「自ら所有し自ら居住する個人であること、永続的に同居する世帯員(申込者の配偶者、父母、子供等)のある者又は四〇歳以上の単身者」に限定し...
《解 説》
一、本件は、改正前の民法下で、戸籍上の家督相続をした次男(未成年)の親権者である実母から本来家督相続人になるべきである長男に対し相続財産の一部である不動産(土地)の贈与の成否が争われた事例で、一審と控訴審との判断が分かれたものである。
二、控訴審の事実認定の要旨は次の通りであ...
《解 説》
同業者率により推計をする場合には、同業者の個性が平均化される程度の数の同業者が選定されることが好ましいが、現実には、類似性ある同業者が一例しかないという場合も少なくない。また、同業者は取引先の類似性を確保するその他の理由で、納税義務者と地理的にも近いことが望ましいが、特殊な業種...
在胎三五週五日目に体重二三三〇グラムで出生した男児が脳脊髄膜炎、脊髄炎に雁患し、後遺症として四肢麻痔等になった場合において、産婦人科開業医に診療上の過失が認められたが、損害賠償責任の範囲が三分の二に限定された事例
1 結成直後の労働組合からの団交申入れに対し、その実態・当事者適格の把握、団交の手続確認等のため話合いを先行させようとしても、直ちに団交拒否に当たるとはいえないとされた事例 2 結成直後の労働組合からの組合事務室の使用・組合掲示板設置許可等の要求に対し、直ちにその許否を決定せずとも既存の労働組合との間での差別・支配介入に当たるとまではいえないとされた事例 3 郵政大臣から交渉委員の指名を受けていない郵便局長の団体交渉権限(消極)
《解 説》
XはA所有のアパートの一室を賃貸して居住しており、隣室居住者Bに喧騒行為で迷惑をかけられたが、これは賃貸人Aの管理杜撰に起因するものであるとして、Aに対して慰謝料請求訴訟を提起した。YはAの妻であり、右訴訟において証人として証言をしたが、それが偽証であって、その結果XはBの喧騒...
動静脈奇形による小脳出血が延髄等に及んで死亡した患者に対し開業医がコンピューター断層撮影法による検査をしなかったことと死亡との間に法的因果関係が認められないとされた事例
債務の弁済により債権者に代位した物上保証人が債務者所有の不動産に対する競売事件の配当表に債権者として記載されていない場合における配当異議の申出適格の有無
1 地方公営企業である大阪府営水道の管理者及び右管理者の権限に属する事務を処理するために設けられた同府水道部の職員らに対して提起された地方公営企業法34条、地方自治法242条の2第1項4号前段に基づく代位請求住民訴訟について、右管理者のみが同法条の「当該職員」にあたるとし、その余の前記職員らについては、当該支出についての専決権者を含めて「当該職員」にあたらないとした事例 2 右管理者の責任の根拠について、専決権者の責任がそのまま管理者の責任を基礎づけるとした事例 3 大阪府水道部の水道事業費から会議接待費としてされた支出について、被告ら主張のような内容の会議は行われなかったこと及び本件支出は右会議のために行われたものではないことの各立証があったとして、右支出は違法であるとし、これについての管理者の責任を肯定した事例
いわゆる不動産の買付証明書は、単に、当該不動産を将来買受ける希望がある旨を表示したに過ぎないものであって、右不動産を確定的に買受ける旨の申込の意思表示をしたものではないとされた事例
《解 説》
一、Xは訴外A振出しの約束手形を所持していたが、いずれも不渡りになったので、Aの実質的支配者であるY3、Y4、それにY3、Y4が実質的に支配しているY1、Y2会社それぞれに対して法人格否認の法理(法人格の形骸化及び濫用)により手形金の支払いを請求した。
二、本判決は、①法人格...
一、学生の卒業作品であるレリーフの製作行為が原告のレリーフについて有する翻案権及び同一性保持権を侵害するものとされた事例
二、美術雑誌を発行する出版社が著作物の存否につき調査義務を尽くしていないとされた事例
三、原告の芸術家としての名誉声望が傷つけられていないという事情が慰謝料算定において考慮された事例