最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 原子炉施設周辺住民にとっては、原子炉設置許可処分の無効確認訴訟よりも、原子炉施設の設置者に対する当該原子炉の建設・運転の差止めを求める民事訴訟の方が、紛争の抜本的解決のための有効かつ適切な手段というべきであるから、無効確認を求める訴えの利益はない
2 原子炉施設周辺住民は、行訴法36条前段にいう「後続処分により損害を受ける者」に該当しない
輪中堤(堤防)の敷地が収用された場合に右輪中堤の文化財的価値が土地収用法(昭和42年法律第74号による改正前のもの)88条による損失補償の対象となり得ないとされた事例
1 市議会議長の職にあった者を被告として提起された代位請求住民訴訟の適否
2 普通地方公共団体の議会の当該議会の議員を海外に派遣する権能
抵当権者に対抗することができない農地の賃貸借が抵当権者に損害を及ぼすときと民法395条但書の準用による賃貸借の解除請求
カラオケ伴奏による客の歌唱につき、カラオケ装置を設置したスナック等の経営者が演奏権侵害による不法行為責任を負うとされた事例
国民年金の被保険者資格を有しない者は、長期間にわたり被保険者として扱われ、保険料を納付しても、被保険者資格を取得しないとされた事例
東京都の特別区の第三セクターである株式会社の設立に伴う株式引受けが地方財政再建促進特別措置法(昭和61年法律第93号による改正前)24条2項に違反せず、無効でないとされた事例
組合員の政治的活動が組合の統制を乱し、また組合及びその執行部に対する批判が組合の名誉を汚したものとする組合からの除名とこれを理由とするユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力がいずれも否定された事例
改正前の割賦販売法下の立替払契約に基づく信販会社からの立替金請求に対し、購入者が購入契約の効力の不発生を主張することができるか(積極)
税理士の作成した内容虚偽の確定申告書の記載を真実と信じて保証、担保の提供をした者からその税理士に対する損害賠償請求が認容された事例
市街地におけるマンション建設工事に伴う震動により建物に損傷の生じた場合の損害について寄与度に基づく割合的認定がされた事例
第1順位の相続人が相続放棄をした場合、第2順位の相続人の相続放棄の熟慮期間はその事実を知ったときから進行するとして、相続開始から7年余後の相続放棄を有効とした事例
被告の氏名冒用訴訟において裁判官が請求認諾で訴訟を終了させた場合に、裁判官に被告の同一性の確認につき過失がないとされた事例
ABO式血液型不適合による新生児溶血性疾患に基づく核黄疸による脳性麻痺につき、医師に治療のための交換輸血の適期を逸した過失を認めた事例
出産時の産婦の大量出血に際し、その原因を診断せず、出血源を確認せぬまま他の病院へ患者を転送した小規模個人医院の医師に過失がないとされた事例
妊娠腎等の既往歴のある女性の突然のショック死につき、急性肺炎の診断で治療を継続していた医師に、右予備状態を認識しなかったことに過失がなく、転医がないことも責めることはできないとして、請求が排斥された事例
雑誌の題号に「おとなの特選街」という標章を使用したことが、登録商標「特選街」(指定商品第26類、新聞、雑誌)の商標権を侵害しない、とされた事例
強盗殺人2件(2名殺害)等の罪を犯した被告人2名に死刑を、強盗殺人1件(1名殺害)等の罪を犯した被告人1名に無期懲役刑をそれぞれ言い渡した事例
吊橋が落下して通行人が死傷した事故につき、吊橋が設計された当時の技術水準からみて、設計の指導監督者に対し、主索又は素線の径の一定倍数以上の径を有するサドル又は滑車を使用する設計をしなければならない注意義務を要求することはできないとされた事例
当該覚せい剤の譲り渡しで実際に利益を得たかどうかにかかわらず、覚せい剤取締法41条の2第2項の「営利の目的」が認められるとされた事例