最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件控訴審の判決は、右事案につき、第一審の判決が医師の損害賠償義務を認めなかったのに対し、これを認めたものである。なお、第一審判決につき、西野喜一教授による評釈が本誌九五五号九七頁以下にある。
二 本件事案の概要は、次のとおりである(主として、第一審の判決による。)。
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《解 説》
一 本判決は、いわゆる日本商事株インサイダー取引事件についての控訴審判決である。
本件は、皮膚科医である被告人が、出入りの薬品卸販売会社の担当者から、日本商事株式会社(以下、「日本商事」という。)が実質上初めて開発した新薬について、その発売直後、これを投与された患者に他の薬剤...
《解 説》
一 Xは、平成四年一月当時、佐賀県立唐津東高校の生徒であったが、同月一六日、同校体育館内において、正課体育の授業としてラグビーの練習に参加した際、多数の生徒により背中から覆い被さられ、頚椎捻挫の傷害を負った。
そこで、Xは、体育担当教諭には、①練習開始前に、この練習に付随、発...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
警視庁公安部の司法警察員が旅券法違反の被疑事実により逮捕された被疑者の捜査のため必要であるとして、原告ら六四名につき、東京簡易裁判所に対し捜索差押許可状を請求し、同裁判所裁判官から右許可状の発付を受けた。原告らは、右許可状により自宅や...
《解 説》
一 原告Xは、平成四年中に、母Aの特別養護老人ホーム(老人福祉法五条の三)の入所に関して老人福祉法二八条一項に規定する措置費徴収金を市に支払ったが、同年分の所得税の確定申告において、これを所得税法七三条、同法施行令二〇七条により総所得金額から控除される医療費(医療費控除)に該当...
《解 説》
T県民であるXら九名は、建設会社のYら五社がT県の水道管理所監視制御装置の更新工事二件の指名競争入札において談合し、いずれもY1をして適正な価格の二ないし三割増しで落札させ(契約は、平成三年五月及び同五年六月)、T県に少なくとも一億二六八九万円余の損害を与えたが、T県は損害賠償...
《解 説》
一 XはYに採用されてYの乙病院事務長として、その後はYの参事も兼ねて勤務していた。Yの就業規則には参事の定年は七〇歳と定められていたが、乙病院の職員には乙病院就業規則を適用し、Yの就業規則は適用しない旨の定めがあり、乙病院就業規則には乙病院の職員の定年を六〇歳と定めていた。そ...
《解 説》
X1はゴルフ場を経営する会社であり、関連会社のX2及びX3と共にゴルフ場の敷地を所有していたものであるところ、平成六年五月二七日から同年六月三日にかけてXら所有の土地建物につきYのため売買を登記原因とする所有権移転登記(一部仮登記)が経由され、その後Yがゴルフ場の経営に乗り出し...
《解 説》
本件は建物の賃貸借保証金返還請求権を自働債権、賃料債務を受働債権とする相殺を認めた控訴審判決である。本判決は原判決を引用し、事案の内容も複雑であるが、判旨の点に絞って要約すると、およそ次のとおりである、
Aは本件建物の共有者の一人であるが(持分三万七八一四分の八八七四)、他の...
《解 説》
一 Xは、証券取引につき十分な経験のない年金生活をしている六〇歳の女性である。XはY1(証券会社)の社員Aからワラント取引を勧められたが、Aは、ワラントである旨の説明をせず、転換社債又は投資信託であるかのように装う等の違法な勧誘をしたため、Xは、誤信したままワラント取引を行い、...
《解 説》
一 本件は、出版社であるYの発行する週刊誌に掲載された「「あなたはガンだ」を連発!」、「統一教会系病院」、「命を弄ぶ霊感商法」等と題する本件記事が医師であるX1及び医療法人であるX2の名誉を毀損したとして、XらがYに対し、不法行為に基づき謝罪広告の掲載及び損害賠償の支払を求めた...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年ころから胆石症に罹患し通院加療を受けていたが、平成五年一二月、Yの開設する「恵愛堂病院」において、胆石症と慢性胆嚢炎の合併症と診断され、同月六日、全身麻酔による胆嚢摘出手術を受けた。
そして、Aは、同月二二日、同病院を退院したが、同月二五日ころ、黄疸が現...
《解 説》
一 本件は、乳癌の診断方法が適切であったか、乳房温存療法でなく、乳房切除術を選択・施行したことにつき、それが適切であったか、説明義務違反がなかったかなどが争われた医療過誤事件である。
Xは、昭和二一年生まれの女性である。Xは、平成元年一月中旬ころ右乳頭から出血があったため、同...
《解 説》
本件は、夫Xから妻Yに対する協議離婚無効確認本訴請求、離婚及びこれに伴う慰謝料、財産分与の請求(これらは控訴審において新たに追加されたもの)、YからXに対する離婚及びこれに伴う慰謝料(控訴審において請求が拡張されたもの)、財産分与の各反訴請求訴訟の控訴審である(原審は、Xの協議...
《解 説》
X1及びX2は、株式会社Y2の株式各八〇〇株を有することの確認を求める訴えを、これを争う祖父であるY1(Y2の代表者)に対して提起した。また、右Xらのほか、Y1の子であるX3、Y1の妻であるX4は、平成四年一月に開催されたY2の臨時株主総会の決議(定款変更及び取締役選任)の取消...
《解 説》
一 Xは、平成四年三月、Y保険会社との間で、その所有の建物と家財について火災保険を締結していたところ、同年四月、右建物で火災が発生し、右建物と家財を焼損したため、Yに対し、五四一七万円の保険金の支払を請求した。
これに対し、Yは、右火災は不審火が原因であること、右建物の施錠管...
《解 説》
一 本件は、「抗真菌外用剤」に関する発明の特許権者であるXが、「水虫・たむし治療用クリーム剤」及び「水虫・たむし治療用液剤」(被告製剤)を製造販売するYに対して、特許権侵害を理由として、被告製剤の製造販売の差止め、廃棄及び損害賠償を求めた事案である。
本件発明の特許請求の範囲...
《解 説》
一 本件は、コンピュータ用ゲームソフト等の製作、販売を主たる業務内容とする原告が著作者人格権及び著作権を有するゲームソフト(本件ゲームソフト)用のパラメータ(プレイヤーの能力を示す数値―能力値)をデータとして収め、本件ゲームソフトのプログラムの実行に当たりゲーム機のハードウェア...
《解 説》
一 Xは、昭和四九年一一月、Yの妻Aを借主として四五〇万円を貸し渡した際、Yが連帯債務者となったとし、平成八年に至って、Yに対し、貸金残金三九五万円と遅延損害金を求めるため本訴を提起した。
原審は、Yが口頭弁論期日に出頭しなかっため、X勝訴の欠席判決を言い渡し、この判決正本は...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教の関連事件であって、指名手配を受けたところから、偽名で就職するため、「甲田二郎」という偽名のほか、実際とは違う生年月日、住所等を記載して押印した履歴書を偽造し、これを就職先に提出行使して約一年間就職したなどの連続する三件の同種(二件は履歴書、一件は雇用契...
《解 説》
本件は、被告人が、被害者の執刀によるそけいヘルニアの手術を受けた後、体の不調を来たし、被害者らに対しその原因を追及したりするうち、次第に腹部に回転する物体があり、それに皮膚の下にある糸状のものが引っ張られて血管や内臓を締めつけているなどと思い込み、右手術の際被害者に人体実験をさ...
《解 説》
Xは、昭和六二年四月から市立A小学校教諭として六年生の担任をしていた者であり、Yは地教行法により市の教育に関する事務を行う市教育委員会である。
昭和六二年度の三学期には、卒業に向けて六年の旗を作るための実行委員会が設けられ、六年生によりピカソのゲルニカの絵を模写した旗(以下「...