最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 本件は,医療保険契約及び生命保険契約(以下「本件各保険契約」という。)の各保険契約者兼被保険者であるXが,保険料が一定期間未払のときは無催告で各保険契約が失効する旨の保険約款の定めは消費者契約法10条に違反し,又は公序良俗若しくは信義則に反して無効である等と主張して,各保険者...
[解 説]
1 本件は建築確認について周辺住民が取消しを求めた抗告訴訟であり,行政訴訟をめぐってしばしば取り上げられる論点である違法性の承継が問題となった。違法性の承継を最高裁が正面から肯定した初めての事例ともいえ,実務的にも理論的にも大きな意味を有する。
2 東京都建築安全条例4条1項は...
[解 説]
1 弁護士会である原告は,会則に基づき人権擁護委員会を設置しており,同委員会は人権侵害があったとされる事案について必要な措置をとるなどの活動をしていたものであるが,受刑者からの人権救済の申立てを受け,弁護士が調査の一環として被害状況を目撃したとされる他の受刑者との接見を求めたとこ...
[解 説]
1 本件は,タックス・ヘイブンとして有名なガーンジー(The Bailiwick of Guernsey)において会社が納付した税金が法人税法(以下「法」)69条1項,法人税法施行令(以下「令」)141条1項にいう「外国法人税」に該当するか否かが争点となった事件である。
2 ガ...
[解 説]
1 本件は,兵庫県西宮市内の市街化区域に所在する各土地の固定資産税の納税義務者であるXらが,それぞれ,その所有する各土地につき,西宮市長により決定され土地課税台帳に登録された平成12年度の各価格を不服としてY(西宮市固定資産評価審査委員会)に対して審査の申出をしたところ,Yからこ...
[解 説]
1 本件は,国(旧郵政省)との間で簡易生命保険契約を締結していたX(被保険者)が,流産後に子宮内容除去術を受けたことについて,Y(独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構)に対し,上記保険契約に基づき3万円の手術保険金の支払を求める事案である(日本郵政公社は,簡易生命保険契約上...
[解 説]
1 本件は,大正12年生まれ(当時80歳)の女性であるAが,Yの開設するB病院に入院中,当直の看護師らが抑制具であるミトン(ひも付き手袋)を用いてAの両上肢をベッドに拘束したこと(以下「本件抑制行為」という。)につき,診療契約上の義務に違反する違法な行為であると主張して,Yに対し...
[解 説]
1 本件は,兄弟であるXとYの共有に係る不動産(以下「Y管理不動産」という。)から生ずる賃料をYが単独で取得していたため,XがYに不当利得返還請求をしたのに対し,Yが,上記賃料収入をYの所得として税務申告した結果,所得税及び市県民税を余計に支払ったことなどが事務管理にあたるとして...
[解 説]
1(1)①事件は,Xが,貸金業者Yに対し,Yとの間の金銭消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると過払金が発生しており,かつ,Yは過払金の取得が法律上の原因を欠くもの...
[解 説]
1 XとYらはきょうだいであり,本件は,平成16年に死亡した母親の遺言がYらの遺留分を侵害しているとして,YらがXに対して遺留分減殺請求をしたところ,Xが,①Y1がXに対して遺留分減殺請求権を有しないことと,②Y2がXに対して有する遺留分減殺請求権は2770万3582円を超えて存...
[解 説]
1 本件は,A(平成15年5月24日死亡)の養子であると主張するXが,Aの実子であるYに対し,Aがその遺産の多くをYに相続させること等を内容とする公正証書遺言をしたことにより,Xの遺留分が侵害されたと主張して,民法1041条1項に基づく価額の弁償及び遅延損害金の支払を求める事案で...
[解 説]
1 Xは,発明の名称を「ナイフの加工装置」とする特許権(平成11年1月22日設定登録。以下「本件特許権」という。)の特許権者である。Y1は,自動刃曲加工システム(以下「Y製品」という。)を製造,販売し,Y2はこれをY1から購入して販売している。
Xは,本件特許権に基づき,Yらに...
[解 説]
1 原告は,大阪市住宅供給公社が昭和46年ころに分譲したマンション4棟からなる総戸数868戸の団地の管理組合である。原告においては,平成16年及び平成19年の2度の総会決議を経て,自ら自己の専有部分に居住しない区分所有者(ただし,
配偶者,3親等以内の親族を居住させる者を除く者。...
[解 説]
1 本件事案の詳細は決定に示されたとおりであるが,要するに,拓銀の代表取締役頭取が,実質倒産状態にあったAグループの各社に対し,赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したという事案である。なお,本件の原判決である札幌高判平18.8.31判タ1229号116頁も参照されたい。
2...
[解 説]
1 本件は,地方公共団体である被告(西伊豆町)のみが指定ごみ袋を販売するものとして,被告が販売しているごみ袋と同一の規格・成分のごみ袋であっても民間業者がそれを指定ごみ袋として販売することを認めないことは,憲法22条1項が保障する営業の自由を侵害するもので違法であること,及び,被...
[解 説]
本件は,就職情報誌の発刊その他各種情報の提供等を行う株式会社において,週刊誌の編集職及びインターネットサイトの編集制作職として勤務していたA(当時29歳)が休日に自宅でくも膜下出血を起こし,死亡したことについて,Aの父母であるXらが,Aのくも膜下出血発症及び死亡は業務に起因するも...
[解 説]
1 本件は,いわゆる建物のサブリースにおいて,建物所有者とサブリース業者との間のサブリース契約が期間満了により終了する際に,建物所有者が行った更新拒絶の適否が問題となった事案である。
X社は,平成3年10月3日,A社及びB社との間で,本件建物のうちX社使用部分を除く部分(本件賃...
[解 説]
1 訴外A(昭和29年生)は,Yの企画・主催する「流氷ダイビングツアー」に参加し,平成18年3月4日,北海道斜里町ウトロでダイビングをしていたが,海岸から約20メートルの地点で溺水により窒息死した。
そこで,Aの遺族であるXらは,Yに対し,Aに対する監視義務違反,救護義務違反等...
[解 説]
1 本件の事案の概要は,次のとおりである。
(1)原告は,平成15年4月,不動産賃貸業等を営む被告との間で,建物の一室(以下「本件居室」という。)につき,賃料月額3万8000円,期間1年の約定で賃貸借契約を締結した(以下「本件契約」という。)。本件契約には,法定更新・合意更新を...
[解 説]
1 本件事案
原告は,交通事故により,右肋骨骨折,右鎖骨骨折,左橈骨遠位端骨折の傷害を受け,右肩関節の機能障害により12級6号,右鎖骨の変形障害により12級5号,左手関節神経障害により14級9号で,後遺障害等級併合11級の認定を受けたものの,手話障害についての自動車損害賠償責任...
[解 説] X(原告)は,A社とB大学との共同研究契約に基づく研究の過程で「ガラス多孔体及びその製造方法」の発明(本願発明)をしたとして,Y(被告)が,A社及びXに無断で,自らを発明者として第三者に特許を受ける権利を譲渡し,当該第三者に特許出願させたこと,上記発明が自己の研究成果であるかのよう...
[解 説]
1 事案の内容
本件は,原告らの製造・販売するまつ毛化粧料(マスカラ)の容器(原告容器)及びその包装(原告包装)が原告らの商品表示として周知又は著名なものになっており,被告がこれに類似する商品表示を使用したマスカラを製造し,譲渡し又は引き渡したことは,不正競争防止法2条1項1号...
[解 説]
1 本件は,建物に対する強制競売事件において,売却許可決定を受けた抗告人が,同決定を取り消し,抗告人に対する売却を不許可とする旨の決定を求めて,執行抗告を申し立てた事案である。
事案の概要は,次のとおりである。
(1)申立債権者は,執行力ある判決正本に基づいて本件建物について...
[解 説]
1 本件は,①被告人が,高校敷地内に侵入し,クラブ部室内で女子高校生を強姦しようとしたが,その目的を遂げなかった事件,②共犯者1名と共謀の上,病院敷地内で,被告人が女性看護師を強姦しようとしたが,その目的を遂げなかった事件からなる事案である。本判決は,このうち②について,集団強姦...