最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、九州地方において集団予防接種を受け、その結果、死亡又は重大な障害を負ったとする七名の児童(一審では九名)について、生存児童本人や家族ら一八名(一審では二二名)が国に対して損害賠償又は損失補償を求めて提起した訴訟の控訴審判決である。
本件で問題となった予防接種の内容...
《解 説》
一 本件は、じん肺にかかり、その後死亡した労働者Aが、勤務していたYら四社(但し、うち一社は、勤務先の元請会社)に対し、安全配慮義務違反と民法七一九条一項後段の類推適用により損害賠償を求めて提起した訴訟を妻X1及び子X2が追行した事案である。
Aの勤務の状況はおよそ、昭和二七...
《解 説》
一 本件は香港の高等法院が下した民事判決に付随して下された訴訟費用の負担命令とその費用査定等について、日本国において執行判決が求められた事案である。
香港における右の民事訴訟は四件の本訴、反訴及び第三当事者訴訟から成っている。第一訴訟は、A銀行(バンク・オヴ・インディア)から...
《解 説》
一 申立人五代目山口組は、相手方兵庫県公安委員会から「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(以下「暴対法」という。)三条に基づいて暴力団として指定された(以下「本件処分」という。)。そこで、申立人は、審査請求を経た後、本件処分が憲法一四条一項(法の下の平等)、二一条一...
《解 説》
本件は、債務者との間で一年間の期間の定めのある嘱託契約を締結していた債権者が、契約期間の満了または解雇予告を理由とする契約の終了を主張する債務者に対して、右嘱託契約に基づく賃金相当額の仮払いを求めた事案である。
債務者は、前記判示事項記載のような更新拒絶条項の解釈及び効力を争...
《解 説》
Xら三名を売主、Y社を買主として平成二年六月二九日、代金額一億三〇〇〇万円、同日手付金一三〇〇万円を支払い、残額一億一七〇〇万円を翌三年四月三〇日までに支払う、双方とも同二年七月三一日までは契約を解除でき、Xらが解除した場合、受領済の手付金を返還するとともに同額の違約金を支払い...
《解 説》
昭和五九年三月X信用金庫とA(Yの兄)は信用金庫取引約定を締結したが、その際YとAの妻は、Aが現在及び将来負担する一切の債務につき連帯保証人となった。そのころ、Aは自己所有不動産に極度額四六〇〇万円の根抵当権を設定してXから三七五〇万円借り受け、さらに翌年二〇〇〇万円を借り受け...
《解 説》
一 本件は、被告会社に対立姿勢をとる労働組合の指導者(原告)を嫌悪する被告会社代表取締役(被告甲)が、原告を解雇する口実を得るため、関係者と共謀の上、原告のオートバイの座席の下に覚せい剤を隠匿してこれを警察に通報し(本件誣告)、その結果原告が覚せい剤取締法違反の罪により逮捕され...
《解 説》
一 ごく簡単に事案の概要を示せば、次のとおりである。
Aは、昭和五六年から毎年被告経営の病院において人間ドック検査を受けていたが、昭和五八年と昭和五九年の人間ドック検査において、便潜血検査で陽性(ワンプラス)の結果がでた。しかしながら、被告病院では、便潜血検査においてはツープ...
《解 説》
本件は、韓国人Aを被相続人とする遺産分割審判の即時抗告審の事例である。
本決定は、Aが日本に永住していたことから日本の裁判所に国際裁判管轄を認め、平成元年法律第二七号による改正前の法例二五条(現行法例二六条)により大韓民国民法(一九九〇年法律第四一九九号による改正前のもの。そ...
《解 説》
一 本件は有料道路となっている若戸大橋を日常的に通行している周辺住民が、平成元年六月一四日に通行した際徴収された料金は、道路整備特別措置法(道特法)三条一項二号が規定する選択性の要件を充足しておらず、不当利得に当たるとして、その支払を求めるものである。
二 道特法三条一項は、...
《解 説》
本件係争地はため池および墓地であるが、これらの登記簿の表題部所有者欄には三名の者の名の記載があり、Yらはそのうちの一名の権利義務を相続により承継した者である。Xは、本件係争地がT区(旧T村)の所有であると主張し、T区の代表者としての資格に基づき、Yらに対し、本件係争地の保存登記...
《解 説》
一 本件①、②事件は、いずれも民事執行法五五条一項の売却のための保全処分を認めた決定に対する執行抗告事件である。
(1) ①事件の事案の概要は次のとおりである。
競売建物(マンション複数)の所有者が銀行取引停止処分を受け、暴力的金融業者の支配下に入った後、空き家であった競売...
《解 説》
一 本件における併合罪の個数(いわゆる主文がいくつになるのかという問題)を検討するのに必要な事実経過をある程度単純化して示すと、以下のとおりである(時の経過に従って配列)。
○Aの犯行(窃盗)
○Bの犯行(道路交通法違反等)
●Aの裁判確定(小山簡裁)
○Cの犯行(本件...
《解 説》
本件一審判決は、被告人が平成四年七月二〇日ころ覚せい剤約二・五グラムを代金七万円で譲り渡したとの事実を認定し、別に認定した詐欺の事実と併せて被告人に有罪判決を言い渡したが、右覚せい剤代金について、特段没収・追徴の言渡しをしなかった。
本判決は、検察官の控訴をいれ、一審判決には...
《解 説》
一 本件は、被告人が保釈を許可されて釈放された後、弁護人から保釈制限住居変更の申立てがあり、原裁判所は職権を発動しなかったところ、これを不服とする弁護人から抗告の申立てがされた事案に関する抗告審の決定である。
本件申立ては、原裁判所がした当初の保釈許可決定に対して抗告を申し立...