最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 大量の架空転入を疑うべき事情があるのに転入者の住所の調査を一般的に怠ったと認められるときと選挙時登録の効力の有無
2 選挙時登録の全部が無効である場合に行われた選挙と公職選挙法205条1項にいう選挙の規定違反
私立幼稚園が4歳児教育のための組を設けているほか3歳児について正規の幼稚園教育ではなく月4回の保育を目的とする3歳保育研究会を設けている場合においてこれに在籍していた幼児の両親のした4歳児組への入園申込につき承諾を拒否したことをもって公序良俗に反するとはいえないとされた事例
新築されたビルに隣接する家屋の所有者がいわゆるビル風による被害発生を予防するための工事に要した費用の出捐と民法717条の損害発生の有無
他人名義で根抵当権設定登記を有する債権者が抵当不動産の譲渡後に開始された不動産競売事件において配当を受けることの可否
不動産競売手続の基礎となった抵当権に対抗できる短期賃借権も、その不動産競売手続に先行する滞納処分による差押えの後に設定されたものであり、かつその租税債権者が右不動産競売手続において交付要求をして支払いを受けたときは、右不動産競売手続における売却によって消滅するとされた事例
和議開始前に和議債務者(社会福祉法人)に雇用され、開始後に退職した従業員の退職金債権が和議債権にあたらないとされた事例
建築請負工事の目的たる建物が外形上完成した場合でも、注文者は右建物の受領および請負代金の支払いを拒絶することができるとされた事例
1 選択的併合請求にかかる甲請求を認容した一審判決のうち、その付帯請求認容部分が不当であり、乙請求ではこれと同額の主請求および付帯請求を認めるべき場合と控訴審の裁判
2 詐欺による不動産売買の代金返還請求における不当利得ないし不法行為の関係
賃貸中の建物が煙突の過熱により焼失した場合において、借主が受領する火災保険金の内金1500万円を貸主が取得することにより貸主の全損害を補填する旨の示談契約が成立したものと認められた事例
有機燐系農薬散布に従事していた農産課の職員が慢性有機燐中毒罹患の疑いのある症状を呈している場合に、右症状と右農薬散布との間の因果関係が認められなかった事例
土地取得者が宅地造成工事をすることを前提として融資したうえ抵当権の設定を受けた者が、宅地造成工事着工後に仮登記を経由した工事請負人の不動産工事の先取特権の優先権を否認して配当表の過誤を主張したとしても、信義則違反、権利濫用にあたらないとされた事例
1 期間および限度額の定めのない根保証契約において解約の申入れを認めた事例
2 右根保証契約において信義則を適用して保証人の責任を制限した事例
土地の共有持分を取得した場合であっても、地方税法595条の特別土地保有税の免税点となるべき基準面積は、持分の割合に応ずる面積ではなく、共有土地全体の面積により判定すべきものとされた事例
「黒田りよう」と記載された投票は石原瞭候補者に対する投票として無効であり、「前田」、「上田栄太郎」と記載された投票は太田栄太郎候補者に対する投票として有効であるとされた事例
外国為替および外国貿易管理法附則2条1項並びに対内直接投資等に関する政令7条2項の規定に基づき審査の対象とすべき会社を指した処分は、特定の個人、指定会社の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する効果を生ぜしめるものではなく、抗告訴訟の対象となる処分にはあたらない
確認に係る建築物が完成したかまたは確認申請を取り下げた場合には、建築確認取消処分の取消しを求める訴えの利益を有しないとされた事例
地方新聞社の再雇用嘱託が年末賞与計算期間に在籍していたがその支給日前に嘱託期間満了により退職した場合に、当該賞与の受給権を有しないとされた事例
起訴休職処分にされた職員について、その後起訴事件が第一審で無罪となった(ただし控訴あり)後も、公務上復職させる必要性を判断のうえ、右処分を取り消さないことに違法がないとされた事例
1 組合役員選挙の直前に組合推薦の委員長候補者に内定した者に対してなされた配転命令が不当労働行為に該当しないとされた事例
2 組合役員の転勤等に際しあらかじめ組合の意見を聞くこととする労働協約は、組合推薦の委員長候補者に内定したにすぎない者には類推適用されないとした例
3 有効な配転命令の拒否を理由としてなされた懲戒解雇が懲戒権の濫用により無効とされた事例(なお、無効な解雇後の賃金請求権は認められなかった)
退職金に関する労働協約はないが、会社の従業員就業規則および従業員退職金規程によって退職金の算定をなし結局未払退職金の請求が認められなかった事例
昭和47年9月出生児の未熟児網膜症による失明事故につき、医療水準に照らし医師の診療上の債務不履行がないとし、転送の説明義務違反による責任を肯定した原判決を覆し、請求を棄却した事例
昭和47年10月28日出生の極小未熟児が両眼を失明した結果につき、当時光凝固法が未熟児網膜症の治療法として一般的に定着をみていなかった等とし、診療関与医師に眼底検査等のすべてに過失を肯定することができないとして、請求が棄却された事例
地方公共団体の組合が神社参道の補修工事に公金を支出したことが憲法89条、地方自治法138条の2に違反するとされた事例