最も長い歴史をもつ判例実務誌
いわゆるサラ金業者の暴力的な債権取立行為が債権回収方法として通常あるべぎ程度を著しく逸脱した違法行為であるとされた事例
再審被告農業協同組合の代表者の欠缺を命じる補正命令に対して適法な補正がされなかったものとしてした裁判長の再審訴状却下命令が違法として取り消された事例
再審訴状等を再審被告に送達せず、かつ不服申立事由に該当する具体的事実について補正を命ずることなく、再審の訴を不適法として却下したことが違法とされた事例
東京都清掃局の下請会社の清掃車がスクールゾーンに違法侵入して通学途中の児童に衝突死亡させた事故につき、東京都と下請会社の損害賠償責任を肯定したが、道路の管理者と学校側の損害賠償責任を否定した事例
いつわりの米国留学生の募集・勧誘を行って応募者から旅費・学費等を騙取した留学斡旋業者と代表者の損害賠償責任が認められた事例
夜間要撃訓練中の航空自衛隊機が、着陸滑走直後炎上し自衛隊員が死亡した事故につき、事故機の整備・点検が十分でなかったとして国の安全配慮義務違背を肯定した事例
建物賃貸借における賃料等の不払につき信頼関係を破壊しないと認めるに足る特段の事情がないとして、右の不払を理由とする解除を有効とした事例
甲に対し住宅ローンによる貸付を実行し、かつ甲名義の不動産に右債権担保のための抵当権を設定した被告(銀行)が、右不動産が原告の所有であり、甲名義の所有権登記は右ローン設定のための譲渡担保であること知悉していた場合につき、譲渡担保契約を解除した原告は被告が甲に対する別の債権担保のために設定した抵当権の無効を主張してその抹消を求めることができるとした事例
公道との間に著しい高低のある準袋地に2階建建物が建築された結果、2階の出入口が公道に通ずるにいたった場合につき囲繞地通行権を否定した事例
請求原因の一部として主張された「被告会社は被告Aのダミーである。」等の記載が、訴訟上の権利行使の一場面であるとして、右記載の存在を理由とする損害賠償請求を排斥した事例
四会連合協定工事請負約款に従った請負契約において、「建設工事紛争審査会名」欄が空欄とされていた場合につき、同約款30条(2)の文言どおりの仲裁契約が成立したものと認定された事例
倉庫内に保管されている製品に対する強制執行の排除を求める第三者異議の訴において、右製品のうち原告の所有に属するものがどれであるかが判然としないときであっても、その大部分が原告の所有に属する場合には、全部の製品に対する強制執行の排除が許されるとされた事例
1 国立大学教授の外国大使館員に対する科学技術情報提供について、大阪府警警察官の報道機関に対する捜査結果の公表行為及び新聞社の右公表に依拠した記事掲載行為がいずれも右教授の名誉を毀損するものであるとして、大阪府と右新聞社に対し、謝罪広告並びに慰藉料の支払を命じた事例
2 右の場合、大学教授の警察官に対する供述自体にも、誤解を招き易い点があったとして、慰藉料の3割を過失相殺により減額した事例
建物の所有者が、建物に近接して構築された広告塔に広告板を設置して利用している者を相手にして、広告塔が建物の一部分を構成するとの理由で、広告板の撤去を求めた事案につき、当該広告塔は、物理的構造上のみならず、社会経済的観念上も建物とは別個独立の存在であるから、建物とは別個の独立した客体として所有権の目的となるとして、右請求を排斥した事例
分譲マンションの管理規約及び使用細則に、右マンショソの1階部分は、店舗又は事務所として使用し、かつ、そこで営む営業の態様については、競業関係を避けるため、あらかじめ管理者の書面による同意を得ることと定められている場合において、右管理規約等に違反し、管理者の同意を得ずに競業関係にある営業を始めた者を相手方として、同業者からの営業の差止め及び損害賠償の請求が認められた事例
住宅地の境界線上に築造された高さ約1メートルのブロック塀を5歳の子供が押して遊んでいるうち崩れ落ちてきたブロック片と駐車中の車に挟まれて死亡した事故につき、ブロックの占有者の損害賠償責任が認められた事例
溢水により市道部分と用水路部分の識別が困難となり、転落防止施設を欠く用水路に学生が転落し水死したときは、市は国家賠償法2条の賠償責任を免れない
土地の一部に非農地部分があっても全体として農地化したものと認め、知事の許可を得ない売買契約であるから無効であるとした事例
1 銀行が第三者の請負代金の一部を商社に対し肩替りして支払うとの覚書契約の法的性質
2 債権の一部の第三者弁済により根抵当権及び仮登記担保権全部を譲渡する契約につき同時履行の関係を認め、民法502条1項の適用がないとされた事例
地方公共団体の単純労務職員について定年制を定める労働協約は、地方公務員法(昭和56年法律第92号による改正前)27条2項に違反し無効であるとした事例
原子炉設置許可処分取消訴訟において、原子炉施設保安規定・保守要則・運転要則等の関係規定が行政庁側の主張で「引用」された文書であるとしてした文書提出命令の申立が、「引用文書」にあたらないとして却下された事例
昭和28年に地積訂正・分筆によって表示登記された土地は、その当時羽田飛行場沖の公有水面であったとして、登記官が職権で右登記を抹消したことが違法とはいえないとされた事例
ある敷地についていわゆる接道義務を満たすため、右敷地に接する南北2本の私道について同時に建築基準法42条2項の道路指定があり、それが右条項に違反するものではないとされた事例
1 町出身代議士の大臣就任祝賀式典開催が、条例事項たる行政事務又はいわゆる議決事件には該当しないとされた事例
2 右祝賀式典のための公金支出は、地方公共団体の通常の社交儀礼の範囲内における支出に該当し、その当不当については見解が分かれるとしても、これを違法とすべき理由は見当らないとされた事例
新聞社の支店(西部本社)について、不当労働行為救済申立の被申立人適格を否定しながら、同救済命令取消請求訴訟の原告適格を認めた事例 2 会社施設へのビラ貼りが違法とされた事例
公営バスの運転業務に従事していた従業員が、労働組合の威圧に屈した上司から右バスの運転業務に就くことを禁じられ、代務を命ぜられたことが原因で欠勤を続けたことを理由としてなされた懲戒免職処分が、懲戒権者の裁量権の範囲を逸脱したものとして取消された事例
地方公務員の争議行為のあおり・そそのかし(早朝決起集会等への参加呼びかけ)を理由とする戒告処分が懲戒権の濫用として取り消された事例
新生児メレナとの診断によりブドー糖等の注射の結果、大腿四頭筋拘縮圧を後遺とした場合につき、診療医らの過失責任が否定された事例
左肩胛間部に対する放射線治療法の結果、患者が放射線脊髄症を後遺とした場合において、右療法の選択、施行につき、それぞれの関与医師らに義務違背がともにないとされた事例
禁治産宣告と後見人選任が同時になされた審判に対する即時抗告において禁治産宣告が相当であるときは、抗告裁判所は後見人選任の部分についてその当否を審査することができないとした事例
財団法人が理事会の決議により解散し清算事務を結了して主務官庁への届出を了したときは法人は消滅して当時者能力を失いその後に右財団法人を相手方として提起された理事会の解散決議無効確認の訴えが不適法として却下された事例
1 社団法人の役員選任決議無効確認の訴訟係属中右役員の任期満了による改選決議がなされてもなお右訴訟の訴えの利益は失われないとされた事例
2 定款に「会長は理事の互選による」との定めがある社団法人において総会の決議により会長を選任することの可否(否定)
その金額が高額で、長期にわたり返還の予定されていない取引先への融通手形振出による仮払金の累積は、業界の不況、取引先および自社の規模、経営内容に照らし、特段の事情のない以上、放漫経営にあたるとして、代表取締役の商法266条の3に基づく損害賠償責任を認めたる事例
新東京国際空港に反対する現地ゲリラ闘争への参加を指示した行為につき、現地での凶器準備集合、火炎びん投てき等の犯行に関する教唆犯の成立が認められた事例
過失による赤信号無視の判決における「罪となるべき事実」として「信号機の表示する赤色の灯火信号に気付かなかった過失により、これに従わないで」と判示したのにとどまるのは過失の具体的内容を明示していない理由不備の違法であるとして控訴審において破棄自判された事例
覚せい剤所持について、営利目的のほか自己使用目的等が存しているとしても、それが当該覚せい剤のどの部分についてか具体的に特定されていないとして、その全部について営利目的を認めた事例
低血糖誘発効果を有するインシュリン注射をした約30分後に、かつ、ビールを飲んだ上で傷害致死の犯行に及んだ事案について、右犯行当時まだ右注射による低血糖症状下にはなかった等として、心神耗弱の主張を排斥した事例