最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,使用済みの特許製品に加工,交換等を施して再度製品化した,いわゆるリサイクル品に対する特許権に基づく権利行使の可否が争われた訴訟であり,特許法の解釈として重要な論点を含むとともに,リサイクルの促進,特許権者のビジネスモデルの不当性といった見地からの議論もされたため,新...
《解 説》
1 本件は,不作為を命ずる債務名義に基づいて間接強制の申立てがされた事案であり,その発令要件として,債務者が現にその不作為義務に違反している事実を立証する必要があるかどうかが争われた。
債務者Yは,債権者Xとフランチャイズ契約を締結して,「つぼ八」の名称で居酒屋の営業をしてい...
《解 説》
1 本件は,順次の相続を原因として直接第2の相続の相続人のためにされた所有権移転登記が実体関係と異なる場合に,登記の是正方法が問題となった事案である。
2 甲名義の不動産につき,甲が死亡し,第1の相続が開始したが,その相続による登記をしないうちに甲の相続人が死亡し,第2の相続...
《解 説》
1 Xは,地方住宅供給公社法に基づいて設立されたYとの間で,特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下「法」という。)の適用を受ける特定優良賃貸住宅の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結し,同住宅を賃借した。本件契約に係る契約書(以下「本件契約書」という。)には,賃...
《解 説》
1 本件は,病院を開設した原告が,健康保険法に基づいて,保険医療機関の指定の申請をしたところ,県知事から同指定を拒否する旨の処分(本件処分)を受けたことから,その取消しを求める事案である。
原告は,病院の開設の許可を受けるに先立ち,県知事から,医療法30条の7(平成9年法律第...
《解 説》
1 本件は,原告がした病院開設許可の申請に対し,被告知事が医療法30条の7に基づき病床数の削減の勧告(以下「本件勧告」という。)をしたので,原告が本件勧告の取消しを請求した事案である。
この事件の争点は,病床数削減の勧告の処分性の有無であるが,病院開設中止の勧告については,既...
《解 説》
1 本件は,北九州市の住民である原告らが,市の局長級の職員が出席した会合に係る食糧費の支出につき,出席者1人当たりの金額が6000円を超えるか又は1人当たりの酒量が2本を超える部分は違法であるとして,市長である被告らに対して,損害賠償などの支払を求めた住民訴訟である。
2 市...
《解 説》
1 本件は,篠山市の助役が,「海軍友の会」と称する民間団体の開催する総会及び懇親会に出席した際に,市が市長交際費として1万円を支出したことが違法であると主張して,篠山市の住民である原告が,市長の職にある被告に対し,損害賠償を求めた事案である。
1審は,原告の請求を棄却したが,...
《解 説》
1 本件は,下関市の住民である原告らが,経営が破たんした第三セクターに対して下関市が行った補助金の支出が,地方自治法232条の2に定める「公益上必要がある場合」の要件を満たさないから違法であると主張して,市長の職にあった被告に対し,補助金相当額の損害賠償を求めた住民訴訟である。...
《解 説》
1 本件は,地方裁判所がした過料不処罰決定に対し,抗告人が特別抗告をした事件である。抗告人は,被審人を代表者とする会社と抗告人との間の民事訴訟事件において,被審人が宣誓の上虚偽の陳述をしたとして,広島地方裁判所に対し,民訴法209条1項の規定により被審人を過料に処する旨の裁判を...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは,日本弁理士会に対し,平成15年5月15日,弁理士登録の申請をしたが,日本弁理士会は,同年8月15日までに登録又は登録拒否の通知をしなかった。そこで,Xは,弁理士法21条2項の規定に基づき,上記申請が拒否されたものとして,Yに対し...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。いずれもYの第三セクターであるA社,B社,C社の3社(以下「A社ら3社」という。)は,平成15年6月ころ,借入先金融機関とYとを相手方として,特定調停(以下「本件特定調停事件」という。)の申立てをした。弁護士であるXが,同年9月,Yの情報...
《解 説》
1 A(事故当時11歳)は先天的脳性麻痺による四肢体幹機能障害(生後基本的に寝たきりの状態であった。また,最重度の知能障害,精神運動発達遅滞も有していた。)を有し,Yの設置する養護学校教諭Bの訪問教育を受けていた者であるが,本件は,同訪問教育中,BがAに対してした座位姿勢保持の...
《解 説》
1 本件は,原告が,愛知県情報公開条例(平成14年愛知県条例第23号による改正前の平成12年愛知県条例第19号)に基づき,「空港近接部埋立造成事業に係る収支計画の積算内訳」の一式(「空港近接部埋立造成事業 事業費積算内訳」及び「平成13年10月収支計画積算資料」から成るもの。以...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Yは外資系証券会社であり,Xはその従業員であった者である。Yの就業規則によれば,社員の労働時間は平日の午前9時より午前5時30分までとされているところ,Xは平成14年11月1日から同16年4月30日までの間の平日,前記所定の労働時間のほか午...
《解 説》
1 本件は,Yに合併される以前の会社に勤務していた従業員Aが虚血性心疾患で死亡したのは,過重業務が原因であるとして,Aの妻と娘であるXらが,Yに対し,安全配慮義務違反ないし不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。Aは,電気通信設備の設計,施工等に従事していた者であるが,冠攣...
《解 説》
1 本件は,温泉採取権(温泉を掘削し,湧出する温泉を利用することができる権利のことをいう。以下「本件温泉採取権」という。)を使用して温泉給湯事業(以下「本件給湯事業」という。)を営んでいたYが,本件温泉採取権をXらに対して譲渡したにもかかわらず,平成5年8月1日から平成17年1...
《解 説》
本件は,顧客である被控訴人が,貸金業者(会社)から金銭を借り入れ,同社に対する返済を継続的に行っていたところ,利息制限法1条1項所定の利率に引き直すと過払金が生じており,同貸金業者は民法704条にいう悪意の受益者に該当するとして,同社を吸収合併した控訴人会社に対し,過払金と各過...
《解 説》
1 本件はテレビのニュース番組による名誉毀損の成否が争われた事案である。テレビ放送の報道番組による名誉毀損については最一小判平15.10.16民集57巻9号1075頁,判タ1140号58頁が判断基準を示しており,番組の内容が人の社会的評価を低下させるか否かについても,摘示された...
《解 説》
1 Aは,平成8年半ばころ,Yの開設するY病院を受診し,不安定狭心症のうち,いわゆる二枝病変(冠動脈のうち,左前下行枝近位部及び左回旋枝にそれぞれ狭窄がある。)と診断された。そして,結果的に,Y病院医師らにおいて,Aに経皮的冠動脈形成手術(PTCA)の適応があると判断され,平成...
《解 説》
1 訴外A(昭和35年生)は,平成9年12月1日,Y(生命保険会社)との間において,死亡保険金受取人をAとする配当付終身保険契約を締結していたところ,平成10年2月25日,肺血症性ショックにより死亡したため,Xは,Yに対し,死亡保険金2000万円の支払を求めた。
これに対し,...
《解 説》
1 事案の概要
X1(花卉の生産販売会社)は,登録品種「初冠雪グリーン」という名称のりんどうについての育成者権並びに「初冠雪2」及び「初冠雪ミニ」という名称のりんどうについて種苗法14条所定の仮保護の権利を有している。X2及びX3(りんどうの苗・切り花の生産業者)は,上記各品...
《解 説》
1 本件は,弁護士であるXが,インターネット・サービス・プロバイダ(以下「プロバイダ」という。)であるYに対し,Yの所有するサーバ上に開設されたホームページに「私たちにとってXらは,お金のために,何の関係のない私たちを利用し,沢山の幸せを奪い取るという精神的な虐待をした,恐喝犯...
《解 説》
1 事案の概要は次のとおりである。
ゴルフ場運営会社である相手方Yは,再生手続開始の申立て(以下「第1次再生手続」という。)をし再生計画認可決定を受けたが,同決定に対する即時抗告が申し立てられ,抗告審において,再生計画には債権者平等原則違反の不認可事由があるとして,同決定を取...
《解 説》
1 本件は,女性,同女の長男(当時6歳)及び同女の長女(当時4歳)と同居していた被告人が,(1)虐待の目的で,同女の長男に対し,左前頭部を右手拳で殴打する暴行を加え,同児に加療約1週間を要する頭部打撲,皮下血腫の傷害を負わせ,(2)女性とともに,同女の長男に対し虐待行為を繰り返...