最も長い歴史をもつ判例実務誌
家屋の共同賃借人の1人のした家主に対する暴行行為が他の用法違反等とあいまって賃貸借契約の即時解除の原因となるとされた事例
1 任意に支払われた法定の制限をこえる利息・損害金と弁済充当の順序に関する特約がある場合の充当関係 2 法定の制限をこえて支払われた利息・損害金を残存元本等に充当するには債務者からその旨の抗弁が提出されることを要するか 3 法定の制限を越える利息を支払った連帯債務者は他の連帯債務者に対して制限超過の利息相当金を求償することができるか
賃借権の譲渡・転貸を許容する旨の特約があってその旨の登記がされている借地契約において借地権の消滅を第三者に対抗するためには登記を経ることを要するか
旧物品税法第3条にいう「製造場ヨリ移出スル時ノ物品ノ価格」についての誤った解釈に基づく課税処分が当然無効ではないとされた事例
1 手形行為は農業協同組合の目的たる事業の範囲に含まれるか 2 農業協同組合の参事が代理名義を用いず直接組合の理事名義で手形を振出した場合における右手形行為の効力
法定の期間内に農地法第72条に基づいてされた未墾地買収処分の買収期日が右期間経過後の日に指定されていた場合と右買収処分前にされた未墾地の贈与の効力
在監中のため昭和27年法律第126号の公布を知らず所定期間内に在留資格取得申請をしなかった者と同法による退去強制処分の適否
1 別居中の配偶者が自己の生活費を婚姻費用の分担として他方の配偶者に請求する場合の主張・立証責任 2 別居中の配偶者が子の養育費を他方の配偶者に請求する場合の主張・立証責任
1 独立当事者参加人の被告に対する主張事実は、原告の被告に対する請求の当否判断の訴訟資料となるか 2(1) 他人所有不動産の売主が所有権を買主に移転しない場合の買主の所有権移転登記請求権 (2) 所有権移転登記の実行が不能の場合の所有権移転登記手続請求の訴の利益 (3) (2)の訴の利益肯定事例
敗訴の判決が確定したのち、敗訴の当事者から相手方に対し、敗訴の原因が相手方の偽造証拠の提出によるものとして、不法行為の訴を提起することが許されるか
労組を嫌悪しての企業財産処分、企業閉鎖、従業員全員解雇を不法行為とし、これに加功した使用者会社と財産譲受会社との各取締役に対し、従業員の賃金債権侵害による損害の賠償を命じた事例
刑訴法第366条第1項はいわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し在監者が特別抗告申立書を差し出す場合に準用されるか
1 犯行と被告人らとの結びつきに関する原判決の事実認定に不合理な点があるとして刑訴法第411条3号により破棄された事例 2 破棄判決の破棄の理由とされた事実上の判断の拘束力の有無 3 破棄判決の拘束力を有する判断の範囲 4 証人の尋問終了後に作成された同人の検察官調書と刑訴法第328条
甲会社が商号を変更して解散し、これと実体を同じくしかつ同一商号の乙会社が設立された場合において、乙会社が甲会社と同一の責任を負担することの有無
1 農業協同組合と取引する理事以外の理事は、その契約についで代表権乾有するか 2 右契約の締結について監事は事前に承諾を与えることがてきるか 3 任期満了後、新役員の就任までの間、当該監事のもつ職務権限は管理行為に限られるか
1 加害者の過失についての立証責任の関係から、不法行為者責任が否定され、運行供用者責任が肯定された事例 2 持病のため治療が長期化したことによる損害は、相当因果関係にある損害ではないとした事例
労働組合員が「積立斗争資金」の名称で組合に預託積立てた金員が、各組合員の預金的性質をもつものであって組合財産に属しないことを理由に、組合脱退に伴いその返還請求を認めた事例
懲戒解雇の意思表示が解雇事由を具備しないため無効であるとき、使用者はこれが通常解雇の意思表示として有効であるとは主張できない
1 組合中央委員会で3分の2の多数賛成を必要とする執行委員に対する統制権発動の可否を決するに当たり、起立採決の方法をとり、賛否留保者の有無およびその数を確認しなかった決議の効力 2 北九州市市政合理化反対の地域共斗に参加しない旨の組合中央委員会の決議に違反し、組合執行委員(組合業務専従者)が組合を無断欠勤し、社会党員として合理化反対の共斗会議集会に参加したことに対する組合統制権発動の可否
電気器具に関する「理研」という商標の登録を無効とする審決において、無効理由とされた「理研」という周知標章について、これを使用する企業が倒産しても、引続き第二会社、第三会社がその営業を承継して同一標章を使用しているときはその周知性はなお維持されるとし、審決を是認した事例
「合成樹脂皮膜と合成樹脂スポンジシートの貼り合わせ体」に関する実用新案について、その登録請求の範囲に示された技術内容を明らかにしたのち、無効理由として引用された外国文献の記事に示された技術内容を検討し、登録を無効とすべき旨を詳細に判示し、審決を取り消した事例
被告人が車道上に自動車を停車し、運転席右側の扉を開けて降車したところ、後方より原動機付自転車を運転進行してきた被害者が右扉に接触転倒した交通事故につき、被告人の過失責任を否定した事例
収入のない妻の生活費は、夫が婚姻費用の分担として負担すべきであって、子は夫である父に負担能力のないときにはじめてその余裕の限度において母の生活を扶助する義務が生ずるとした事例
1 夫婦間の扶助義務と婚姻費用分担義務との関係 2 夫婦間の協議で定められたところに従って婚姻費用を分担することが夫婦間の生活保持義務の要請に反する結果を招来するときは、その限度において婚姻費用分担の協議は効力を失うものと解すべきである
夫婦間において同居、協力扶助を求め得るのは、客観的に観察して正常な夫婦関係を維持し、円満な夫婦生活が継続されることを期待し得る場合に限られるべきである
現在フランスに居住する母からの親権者変更審判申立事件において、親権者を母に変更する審判に併せて、事件本人の病気の治癒するまでの間の監護者を日本に居住する申立人の兄と定める審判をした事例
精神障害者たる事件本人に配偶者、父母、兄弟のある場合において、姻族一親等にあたる申立人を事件本人の扶養義務者に指定し、精神衛生法第20条第2項により、保護義務者の順位を変更して申立人を事件本人の保護義務者に選任した事例
不在者のなした不動産売買につき、不在者財産管理人が買戻約款にもとづく買戻の意思表示に応ずる旨の約諾をすることは不相当であるとして、右買戻にもとづく所有権移転登記手続をするための権限踰越許可申立を却下した事例
当事者間に婚姻の合意ができ、一方が他方の委託によりその届出を了した場合、その他方において右届出当事婚姻意思を撤回しているといえるためには、相手方または戸籍事務担当者に対する明白な翻意の表示がなければならないと解すべきである
婚姻費用としての子の養育費用は、子の年令、環境、両親の経済状態、物価の変動等の条件により改訂されるべきであり、その条件は5年以上同一の状態を保つとは考えられないとして、一応5年間についてのみの分担額を定めた事例
原決定が罪となるべき事実として本件審判の対象となった犯罪事実の一部だけを記載し、他の部分を記載していないのは、少年審判規則第36条に違反し、この違反は決定に影響を及ぼす法令違反であるとして、原決定を取り消し、差し戻した事例
児童福祉法第34条第1項第7号の立法趣旨は、広く児童の福祉を保障するための規定であるから同条項の「引き渡す行為」には児童本人が就職の意思があり任意に引き渡す場合も含まれる
週休日のほかにも年末年始の休日を与えた場合は、その休日と同週間内の他の日に10時間を限度として週48時間の制限内で時間外労働させることは、労働基準法第60条第3項からみて許される
親告罪における告訴は訴訟条件にすぎないから、その行為をした少年について告訴がなくても、家庭裁判所は、少年法第3条第1項第1号にいう罪を犯した少年として審判権を有する
新宿騒擾事件のフィルム押収をめぐる決定例 (その1・目黒決定)1 差押処分が完了している場合に差押裁判の取消を求めうるか? 2 差押物が被疑事件との関連性はあるが特定の被疑者の具体的犯行を立証する作用はきわめて低く、しかもその物が第三者の所有物である場合にも強制的に差押することが許されるか? (その2・竜岡決定) 差押許可状に基づく差押処分が違法であるとして準抗告審で取り消しされた場合、これと実質的に矛盾するような再度の差押許可の裁判(令状)を求めることは許されるか?
村長が地方税法および村条例所定の村民税賦課方式をとらず、独自の所得控除を行なって給与所得者の村民税軽減を図った措置につき、背任罪の成立を認めた事例
1 再入国許可申請書に記載された旅行日程の最終日の経過と再入国不許可処分取消しの訴えの利益 2 在日外国人の再入国(海外旅行)の自由 3 北朝鮮からの再入国不許可処分が違法とされた事例