最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 公務員の懲戒処分取消訴訟において行政庁は処分説明書に記載されていない事由を処分事由として主張できるとした事例 2 教職員の半日一斉休暇の争議行為(但し実施前に中止)のあおり等が、地公法37条で禁止された行為にあたらないとした事例
国家公務員の争議行為中禁止されるものは違法性のある程度強いものに限られると解した事例 争議を理由とする懲戒免職が重すぎるとして取消された事例
県教育委員会主催の県芸術祭美術展に入選した作品を展示しなかったことが債務不履行になるとし、慰藉料の支払いを認容した事例
1 関税法111条一項所定の無許可輸出罪と同法113条の2所定の虚偽申告罪との罪数 2 関税法の無許可輸出罪の公訴事実中に税関吏に対し虚偽の申告をした旨の記載があるが同法の虚偽申告罪の起訴はなかったものとみるのが相当であるとされた事例 3 当初の関税法の無許可輸出罪の訴因につき第一審で無罪とされ、検察官が控訴したが控訴審でも罪とならないとされただ外国為替及び外国貿易管理法の罪の成立する余地があるとして破棄差し戻した判決に対し被告人のみが上告した場合と上告審の職権調査の範囲
1 民訴法313条4号の「証すべき事実」の意義 2 同法312条3号後段の文書の意義 3 近隣住民の提起した原子炉撤去請求訴訟において、被告会社が内閣総理大臣に提出した「臨界実験装置設置許可申請書」の写の提出命令の申立てが否定された事例
1 漁業協同組合の総会の議決の無効と水産協同組合法125条 2 漁業協同組合において定款所定の除名事由が存しないのになされた除名決議の効力
1 県立学校教職員の勤務時間外における職員会議への参加が所属学校長の職務命令に基づくものとされた事例 2 静岡県立学校長の適法な権限に基づかない命令により時間外勤務をした教職員の時間外勤務手当請求権
1 高等海難審判庁の裁決の取消訴訟における右裁決の事実認定の拘束力 2 船舶衝突海難事件における船舶の衝突地点に関する認定につき、沈没地点との関係において理由齟齬ないし理由不備の違法があるとされた事例 3 海難事件における船舶の針路の設定に採証法則違背があるとされた事例
1 死者自身の死亡による慰藉料請求権取得(消極) 2 致死傷を負ったことによる慰藉料請求権の相続(積極) 3 一人の死亡事故による慰藉料1,300万円の事例
1 調停調書を債務名義とする土地賃貸借契約解除による明渡請求権と執行力の承継 2 右の場合に執行目的物の占有移転後の賃貸借の解除と執行力の承継
1 債権者と予約権利者とが異なる場合における売買予約の形式をとった債権担保契約の成否 2 右売買予約が債権担保契約として清算義務を伴う場合に、仮登記を経由した予約権利者の目的不動産の差押債権者に対する本登記をするについての承諾請求の帰趨
1 交通事故の被害者は加害者に代位して保険会社に対し自動車対人賠償責任保険任意保険契約に基づく保険金を請求しうるか 2 右保険契約に基づき保険金を請求するためには被害者と加害者との間において賠償責任額が確定していることを要するか
1 就業規則で新たに定年制を採用したことが、労働契約の不利益変更にあたらないとされた事例 2 届出を怠った場合の就業規則の効力 3 添付意見書が無効な場合の就業規則変更の効力
1 国民健康保険被保険者は診療に関し医師と契約関係に立つか(積極) 2 腰椎麻酔施術時における医師の注意義務 3 麻酔ショックにより患者が呼吸困難に陥った場合の医師の注意義務
1 新生児の核黄だんに対する担当医師の診断および治療が不完全であったとして、診療契約に基づく債務不履行責任を認めた事例 2 新生児の脳性麻痺症状が核黄だんと生来の頭部疾患とにそれぞれ起因する高度の蓋然性があるとしながら前者の寄与率を少くとも50%と認め、右判示一の債務不履行を理由として請求する慰藉料額の算定に当り右寄与率を斟酌した事例 3 子の脳性麻痺による重度の身体障害についての父母の慰藉料請求を認めた事例
1 破傷風の診断について医師Y1の過失が否定された事例 2 破傷風について医師Y2に診断および治療上の過失があるとされた事例 3 右過失と死亡との間に相当因果関係があるとされた事例
1 医師の診断ならびに治療についての一般的な注意義務と過失の存否判断の資料 2 結腸癌の診断に際しての医師の注意義務 3 結腸癌の治療方法として右半結腸切除後抗癌剤の投与を継続する場合の医師の注意義務 4 抗癌剤の副作用により陥った再生不良性貧血の治療方法として鉄剤の投与を行なう場合の医師の注意義務 5 適法な医療行為に続いて違法な医療侵襲がなされた場合の損害額の算定
1 山笹の生立する丘陵状の傾斜地を不法占拠して宅地造成した後、建物所有の目的でこれを賃借したときの宅地造成費用は有益費となるか 2 右宅地造成費用の償還請求権と民法295条2項 3 土地賃貸借における原状回復の特約と民法608条2項
元来右手親指欠損の身体障害者が、事故のために左肩機能障害の後遺症を蒙った場合の逸失利益算定にあたり、労働基準監督局長通牒の労働能力喪失率表の定める基準より大きい労働能力喪失率を認めた事例
1 被用者が退職した日に無断で車を持ち出し5日後に起こした事故につき、会社に運行供用者責任および使用者責任、代表取締役に代理監督者責任を認めた事例 2 家具、建築塗装業者の約4年間の休業損害について、年々5%の収益増を認めた事例
ホテルのドアーマンが常連の客を外出先へ迎えに行くため、勤務時間外に客所有の車を運転中事故を起こした事案につき、ホテル会社に使用者責任を認めた事例
1 元請・下請両業者ともに共同運行供用者であるとした事例 2 右下請業者の2才の幼児が運転手の過失により轢死した事案につき、下請業者は元請業者との関係では自賠法3条の「他人」にあたるとした事例 3 共同運行供用者間の損害負担の割合は運行支配・利益の割合によるとし、本件につき、被害者である下請業者の損害負担部分を5割として、それを全損害額より控除した残余が下請業者が元請業者に対して請求しうる損害賠償額であるとした事例
1 公判調書の記載の正確性についての異議申立権の行使が妨げられた場合と刑訴法52条の適用の有無 2 第一審公判調書の記載の正確性についての異議申立権行使の機会が与えられなかった違法が控訴審判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の違法にあたらないとされた事例
土地賃貸借を合意解約し建物収去土地明渡しを約する訴訟上の和解成立後明渡期限到来前に目的建物を競落取得した者に対する承継執行文付与の許否(消極)
電話加入権に質権を設定して営業資金を貸付けることを目的として設立された電話取引業協同組合と組合員たる電話金融業者との間の消費貸借債権の存在が否定された事例
農地の売主が買主に対し所有権移転登記手続の拒絶による損害賠償義務を負担している場合、その後右農地につき訴訟上の和解が成立し、その和解条項中に右損害の点につき記載がないときは、買主において右損害賠償請求権を放棄したものと解された事例
建築工事の請負人に対し地盤の調査および工法の実施方法等に過失があったとして、隣地居住者の生活侵害による慰藉料請求を認めた事例
恐喝の被疑者が嫌疑不十分として不起訴処分に付された事案につき、その被害届の提出者に誣告の事実が認められないとして不法行為責任を否定した事例
裁判官個人を被告として、当該裁判官が別件の口頭弁論を終結した措置が違法であることの確認と右措置について文書により遺憾の意を表すべきことを求める訴の適否(消極)
借地人Y1の地代不払を借地権の放棄と認め、これをもって地上建物の借家人Y2Y3に対抗できず、この場合地主XがY1に対し地代不払を理由に借地契約を解除しても、、これによりY2Y3の借家権ないしこれに伴う敷地利用の権能に消長を来さないとした事例
代物弁済予約の完結に基づく目的不動産の本登記および明渡の各義務についていわゆる清算金の支払との同時履行関係を認めた事例
1 事故により脳挫創等の傷害を負い約2年後脳出血で被害者が死亡した場合につき、事故とその死亡との間の因果関係を認容した事例 2 訴訟提起後死亡した場合に被害者の傷害による慰藉料の相続を認め、これとは別に相続人(妻と子)に対し、被害者の死亡に対する固有の慰藉料を認めた判例
加害者の運転者およびその使用会社につき、過失が認められないとして民法709条715条の責任を否定したが、自賠法3条但書の免責までは認められないとして右使用会社に運行供用者責任を肯定し、被害者にも5割の過失相殺をした事例
1 もと勤めていた甲会社から車両を購入し、独自に砂利運搬を始めた乙の惹起した事故につき、甲と乙との事業の協同関係等を通して乙を指揮監督する立場にあるとして甲会社の運行供用者責任を肯定した事例 2 甲会社の代表者に民法715条2項の代理監督者責任を肯定した事例
同一不法行為により生じた、第三者に対する損害賠償により取得した求償債権をもって、加害者は被害者に相殺ができるとされた事例
1 事故の2日前に55才の停年になった保険会社月掛外務嘱託の休業損害算定例 2 事故による労働能力喪失部分から割出された推定給与減額分に対応する厚生年金(老令年金)の減収分を稼働期間終了後の部分に限り、事故と相当因果関係ありとして認容した事例
車体架装工事を業とする会社が、自動車の輸送を陸送業者に請負わせ、その途中で発生した事故について右会社は運行供用者責任を負わないとした事例
心臓疾患(心筋変性)者が追突事故に遭い、心筋内出血を来たして死亡した事案につき、事故と死亡との間に相当因果関係を認めた事例
右折禁止の交差点において右折しようとした小型四輪車と対向直進二輪車との衝突事故につき、後者の行動に対し過失相殺しなかった事例
1 交通整理の行われていない見透しの悪い交差点における直進車(西へ)と右折車(東へ)との衝突事故につき両者の過失割合を前者1.5、後者8.5とした事例 2 一下肢膝関節以上で失った人の労働骸力喪失率を80%とした事例
1 甲所有の車を甲の義弟が甲の商品運搬のために甲に無断で運転していた事故につき、甲に運行供用者責任を認めた事例 2 12才の少女の死亡事故につき、(1)葬祭関係費として348,701円、(2)慰藉料として4,000,000円を各認めた事例
東名高速道路インターチェンジにおいて加速車線から走行車線に進入した車に後方の走行車線を進行してきた車が追突した事故につき、両者の過失割合を前者4、後者6とした事例
1 東西に通ずる道路北側の空地に進入しようとして、西進中右折を開始した車と東進直進車との衝突事故につき、過失割合を前者8、後者2とした事例 2 同乗中の同僚の過失相殺につき、同僚運転者の過失を斟酌しなかった事例
1 信号機により交通整理の行われている交差点における既右折車と対向直進車との衝突事故につき、過失割合を前者3、後者7とした事例 2 夫運転の車に同乗中の妻の過失相殺につき、夫の過失を斟酌した事例
横断禁止場所の停滞車輌の間を横断中の歩行者とセンターラインを越えて対向車線上を走行中の車との接触事故につき、過失割合を5対5とした事例
1 死亡慰藉料450万円とした事例 2 直進車と同方向への左折車との接触事故につき、過失割合を5対5とした事例 3 娘婿に自動車を提供して土砂運搬業を営ませ収入を得ていた事案につき、逸失利益算定の収入とはいえないとした事例
県道を自動二輪車で走行中、窪みに乗り入れたためハンドルをとられて転倒した事故について、地方公共団体に道路の設置管理の瑕疵があったとして損害賠償責任を認め、また被害者にも過失があったとして6割の過失相殺をした事例
改札口から上り線ホームに到達するには渡線路を利用する必要のある、普通電車のみ停車する駅において、右渡線路を歩行中の被害者に上り特急電車が接触した事故について、電鉄会社に損害賠償責任を認めた事例
深夜ドライブに誘われ、運転者が免許取得後間がないことを了知して、同乗した者に対し、事故発生の危険を共同にする方向に一歩を踏み出したものとして慰藉料算定の一要素として斟酌すべきであるとした事例
片側三車線で道路端寄りの二車線は車両が渋滞し、中央線寄りの一車線は(右折車専用のために)空いていた道路上を、中央線寄りの車線を進行して来て、右道路が巾員9メートルの道路と交わる交差点内において、右渋滞車両の間から道路を横断しようとした者に、自車左後部付近を接触させ転倒させた自動車運転者に対して過失を認め、その過失割合を、横断者8、運転者2とした事例
片側車道の巾員が17メートルもある交通頻繁な道路を自転車に乗って横断しようとした者と、右道路の中心線寄りを進行し、併進するバスのために左前方の見透しが悪くて、右横断者のために右バスが減速したのに、かえって加速して追い抜こうとして右横断者に衝突した自動車運転者との過失割合を横断者2.5、運転者7.5とした事例
自動車販売会社のセールスマンが、会社から割賦購入した自動車(事故当時所有名義は会社にあった)を利用してセールスに従事した後、帰宅途中に起した事故について、会社に運行供用者責任を認めた事例
後進しようとするダンプカーの後方を突然横切った被害者に一方的な過失があったとし、運転者および運行供用者の免責を認めた事例
借地法8条の2第2項の「増改築ヲ制限スル旨ノ借地条件ガ存スル場合」とは、契約にその旨の借地条件が存する場合のみでなく、当事者の一方が相手方の増改築の請求に異議をのべ、当事者間に紛議が生じた場合をも包含する
1 付近の土地の利用状況の変化を理由に建物の構造に関する借地条件変更の申立を認容した事例 2 客観的事情の変更とは、改築すべき建物が建築された当時存在した借地契約の成立時を基準とし、地主所有の建物を買い受けて借地権の設定を受けた場合には、右建物の建築時を基準とし、それ以後の事情変更を指すものと解する
タクシー営業を営む会社による競争関係にある他会社の株式取得ないし所有が、独禁法10条1項(会社の株式保有の制限)にあたらないとされた事例
売買契約に基づく代金債務の保証人は、買主がその代金債務の支払方法として振出した手形の債務につき、民法上の保証債務負担の意思があるものと推認しうるか(消極)
商品取引所法91条、同条の2および94条に違反する無登録外務員による営業所以外の場所における不当勧誘があっても、右勧誘に基づく先物取引契約が無効となるものではないとした事例
証券業者が東京証券取引所制定の委託契約準則13条の8に違反し、顧客に対し値洗の結果生じた株式の信用取引継続に必要な委託保証金の追加を請求しなかったとしても、業者と顧客との右取引が無効となるものではないとされた事例
吸収合併に反対する被合併会社の株主の株式買取請求権における公正な価額決定の方法として、当該株式の市場価額、被合併会社の収益力および企業資産等を考慮して算出すべきとした事例
1 出張所長が商法42条の表見支配人にあたらないとされた事例 2 解雇された出張所長が営業所長名義で手形を振り出した場合において、代理権があると信じたことにつき相手方に過失があったとして、民法110条、112条の表見代理の成立が否定された事例
1 権利能力なき社団でなく、組合であるとされた事例 2 為替手形の引受人欄に「甲組合A」と署名がある場合の手形債務者
1 行政事件訴訟における訴えの交換的変更と審査請求前置および出訴期間の遵守 2 法人税法35条および法人税法施行令(昭和45年政令106号による改正前のもの)71条の解釈
2 旧都市計画法に基づく都市計画事業の起業者の意義及び損失補償の増額を訴求するには裁決中の補償額の変更を求めることなく直ちに増差額の給付を求めうるか
「密閉容器」に関する特許出願について、拒絶理由とされた引用例には本願発明における第2の線刻印に相当するものがないが、周知技術と併せ考えると、格別の発明思想なしとした審決の結論を是認した事例
「浮彫写真像製作方法」に関する特許出願について、本願発明は、1枚の写真の撮影位置をとくに規準平面に直交する軸線上と限定する点において引用例と異なるとし、拒絶相当とした審決を取り消した事例
「不活性ガス作動の吸収冷凍装置」に関する実用新案登録出願について、その考案の要旨を「2個の熱源が、交互にのみ作動し、互いに熱分離される」と限定する意味に解すべき根拠なしとして拒絶相当の結論を是認した事例
「原子炉」に関する特許出願について、出願公告前の補正が要旨変更に当るとして却下した決定および同旨の審決の結論を是認した事例
薬剤を指定商品にする三角フラスコの図形中に「OHTA」の文字を記した商標の登録出願について、引例の「OHTA ISAN」とは「オータ」の称呼を共通にし、拒絶相当の審決を是認した事例
「孔版写真原紙」に関する特許権に基づく差止等の請求が、被告の工程におけるビニール板は、特許にいう「ラッカー又はワックス等」には該当しないとして、排斥された事例
「すっぽん煮」について「大市」を要部とする登録商標について、江戸時代からの歴史を有する料理店に先使用権が認められた事例
犯人が債権者からの強制執行を免れる目的をもって、自己所有の財産の一部を仮装贈与し、その他の部分について仮装債務を担保するために仮装の抵当権を設定した場合、後日右抵当物件を鑑定した結果、犯行当時、その価額が右仮装債務を支払ってなお債権者の執行債権を支払うに足りる残余財産があったかも知れなかったことが判明した場合でも、前記行為の時点で強制執行妨害罪が成立するとした事例
警察官が派出所在勤中であっても、火災びんを投げこんだときににたまたま休憩あるいは用便中であった場合、右暴行は「職務を執行するに当り」加えられたものと解することはできないとして、公務執行妨害罪の成立を否定した事例
公務執行妨害、傷害の訴因につき、被害者の負傷の程度が極めて軽微であり、刑法204条にいう傷害に該当しないとして、公務執行妨害罪のみを認めた事例
業務上過失傷害の事案において第一審の認定にかかる右傷害の程度の認定が第二審のそれと著しく異なったため判決に影響を及ぼす事実誤認ありとして破棄された事例
第一審において被告人に業務上過失責任を認めて有罪としたのに対し、右過失を認めるに足る証拠なく、審理不尽として破棄差戻した事例