最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、上告人(公正取引委員会)が、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「法」という。)六九条に基づき、公正取引委員会平成一一年(判)第四号事件(以下「本件審判事件」という。)の事件記録の謄写申請をした上告参加人ら外一名に対し、本件審判事件の事件記録のうち第一...
《解 説》
一1 本件は、労働者災害補償保険法(平一一法一六〇号改正前。以下「法」という。)に基づく遺族補償年金を受給していたXが、その二女が外国の大学に就学するに際して法二三条一項二号(現行法の二九条一項二号)に定める労働福祉事業である労災就学援護費の支給を申請したところ、Yから、同大学...
《解 説》
一 本件は、千葉県内に事務所を有する権利能力なき社団である第一審原告が、千葉県公文書公開条例(昭六三千葉県条例三号。以下「本件条例」という。)に基づき、本件条例の実施機関である第一審被告に対し、知事交際費に係る公文書の公開請求をしたところ、その一部につき非公開処分を受けたので、...
《解 説》
一 本件は、A株式会社(以下「A」という。)の従業員であったXが、懲戒解雇されたため、当時のAの取締役(代表取締役を含む。)であったYらに対し、違法な懲戒解雇の決定に関与したとして、民法七〇九条、商法二六六条の三に基づき、損害賠償を請求する事案である。Aは、大阪市西区に本社を置...
《解 説》
一 本件は、被告(上告人)から建物の新築工事を請け負ってその建築をした建築業者である原告(被上告人)が、被告に対し、請負残代金の支払を求めた事案である。被告は、建築された建物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権等を自働債権とし、請負残代金債権を受働債権として対当額で相殺したなどと主張...
《解 説》
一 本件は、特許取消訴訟の取消請求を棄却した東京高裁の判決に対する上告・上告受理申立て事件が最高裁に係属する間に、当該特許につき特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合に、上告審としていかなる裁判をすべきかが問題とされた事件である(なお、本件には、平成一五年法律第...
《解 説》
一 本件は、被告人らが国際運転免許証を偽造したという有印私文書偽造の事案である。被告人らは、偽国際運転免許証を顧客に販売することを業としており、本件偽国際運転免許証も、顧客に販売する目的で作成されたものである。本件文書は、道路交通に関するジュネーブ条約に基づく正規の国際運転免許...
《解 説》
一 本件は、外国人である被告人が、航空機で来日するに際し、麻薬であるMDMA塩酸塩の錠剤を大量にリュックサック内に隠匿して持ち込もうとしたとして、麻薬及び向精神薬取締法違反、関税法違反に問われた事案であるが、上告審で問題となったのは専ら没収・追徴の問題である。
二 被告人は、...
《解 説》
一 本件は、原告が被告に対し、不動産登記法一〇〇条一項二号に基づき、土地の所有権保存登記申請をしたところ、被告が同申請を却下したため、その取消しを求めた事案である。
問題となった土地については、既にその登記簿表題部に「共有惣代甲外四名」との記載があり、いわゆる記名共有地の一種...
《解 説》
本件は、Y県警察の警察官が、その請求にかかる令状に基づき、平成一〇年一一月九日に革マル派の活動拠点となっている建物及び建物内に在所する者の身体に対して実施した捜索差押に関して、令状の請求あるいは捜索差押の執行に違法があったなどとして、同派の代表者Xが、Y県に対して損害賠償を求め...
《解 説》
一 本件は、福岡県(以下「県」という)の住民である控訴人らが、主要地方道局部整備測量委託事業に係る測量委託工事(以下「本件測量工事」という)に関して違法な財務会計上の行為が行われ、県が損害を被ったとして、地方自治法(以下「法」という)二四二条の二第一項四号前段に基づき、県に代位...
《解 説》
一本件は、建設・設計を業とするY株式会社に雇用されていた従業員のXが、職場内のセクシャル・ハラスメント行為に関する苦情及び就業環境改善要求を申し出たのに対し、適切な対応がされないまま転勤の打診を受けたため、これを断った後、配転命令を受けたので、これにも応じないでいたところ、就業...
《解 説》
一 以下に紹介する二件の裁判例は、関連事件であり、漁業協同組合に交付された消滅漁業補償金の組合員に対する配分に関する紛争について判断を示したものである。
二 ①事案は、漁業補償金が、正組合員としての資格要件を充足していないものに対して不正に配分されたとして、組合員である原告ら...
《解 説》
一 本件は、歯科医師である被告との間で歯列矯正治療契約を締結した原告が、同契約の無効、債務不履行解除を主張し、被告に対し、既支払済みの治療費の返還等を求めた事案である。右矯正治療は、上下左右の第一小臼歯を抜歯し、コルチコトミー(皮質骨切除術)を併用して歯列を矯正するという外科併...
《解 説》
一 本件は、集合住宅の居住者が、階上の居室からの漏水により損害を被ったとして、階上居住者に対し、損害の賠償を求めた事案である。
二 Xは、都内の公団住宅の二階に居住するものであり、フリーのプロカメラマンとして世界各地を旅行し、旅先で撮影した写真等をもとに写真集等の多数の著作を...
《解 説》
一 大企業七社の共同出資で設立された株式会社Y1(フランチャイザー)は、飲食店事業の全国展開を目指して都内にフランチャイズ一号店を開店したが、同店は営業不振のために閉店に追い込まれた。本件は、フランチャイジーであるXが、Y1、Y1設立前にXとの交渉窓口となっており、中心的な出資...
《解 説》
一 本件は、元帝京大学副学長であるXが、Yが発行する日刊紙(昭和六三年二月五日、平成八年三月一二日及び同月一六日付け)及び週刊誌(平成八年三月一七日号)に掲載された記事によって名誉を侵害されたとして、Yに対し、慰謝料四〇〇〇万円及び遅延損害金の支払と、名誉回復のための「判決の結...
《解 説》
一 Xら四名は、いずれも中華人民共和国籍を有する女性であり、第二次世界大戦中、日本の軍人らにより拉致され、監禁されて継続的に暴行され、性奴隷状態に置かれたため、精神的苦痛を被ったと主張する者である。
(1) Xらは、まず、日本国Yに対し、各自二三〇〇万円の慰謝料と謝罪広告の...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yの設置する病院において排卵誘発剤を使用した不妊治療を受けたところ、卵巣過剰刺激症候群(以下「OHSS」という。)を発症し、その結果、脳血栓症を発症して左上肢の機能全廃等の後遺症が残ったとして、Yに対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である...
《解 説》
一 訴外A(昭和一〇年生)は、平成一二年四月八日、建物屋根から転落し、左大腿骨骨折等の傷害を負ったため、救急車でYの経営する「B病院」に搬送され、入院した。
そして、Aは、同月一三日、Yによる大腿骨骨折の手術を受けたが、同手術中、ガイドピンの先端が折れて骨盤付近に残り、その後...
《解 説》
一 訴外Aは、平成五年五月二九日、突然頭痛、気分不良になったため、済生会病院でCT検査を受けたところ、くも膜下出血の疑いがあるとされたため、同病院の紹介により、Y1の経営する市立病院に転院入院した。
そして、Aは、六月二四日、市立病院において、医師Y2、Y3の執刀により脳底動...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。X1は、平成一一年八月一一日から、実家のある岡山市で第一子を出産するため、産婦人科医師であるYの診療を受けていたが、胎児は、同年九月二一日、X1の胎内で死亡した。X1及びその夫であるX2は、Yが出産予定日に当たる同月八日以降、胎児の発育・健...
《解 説》
一 X1は、平成元年三月、大学を卒業し、自動車会社等に勤務していたが、平成六年一二月、躁うつ病と診断され、精神療法を受けていた。
X1は、平成七年二月、Yの管理運営する「△病院」に医療保護入院し、担当医師により鎮静のための薬剤の投与を受けたところ、呼吸停止になるなど容体が急変...
《解 説》
本件は、三井不動産販売株式会社の株主であった原告が、三井不動産販売株式会社の代表取締役である被告に対して、取締役の善管注意義務に違反し、賃借不動産を、その賃料を下回る賃料で第三者に転貸し三井不動産販売株式会社に損害を与えたとして損害賠償を求めた株主代表訴訟を提起したところ、その...
《解 説》
一 本件は、Xら(抗告人・債権者)がY(相手方・債務者)に対し、Yが飲食店の営業に使用する「Cafe GQ GINZA」、「Soul Cafe GQ GINZA」等の構成のY標章(本決定別紙目録参照)の使用差止等を求めた保全抗告事件である。X1の請求は、不正競争防止法二条一項一...
《解 説》
一 事実関係と問題の所在
本件は、貸金業者が債権回収のため、抵当権の実行を申し立てたのに対して、借主がその被担保債権の不存在確認を請求した事件である。貸金業者は、平成四年に最初に貸し付け、平成一〇年三月にその借り換えがあった。そして、平成一〇年一二月には、これとは別個にカード...
《解 説》
一 本件は、Xが、Aから譲り受けたというBに対する貸金債権につき、既にAと、亡Bの相続人であるというYとの間に、AのYに対する前訴請求を認容した確定判決が存するが、その判決後、まもなく一〇年が経過するので、消滅時効を中断する必要があると主張して、Xにおいて、改めてYに対して本件...
《解 説》
本件は、新規物質である「新規芳香族カルボン酸アミド誘導体の製造方法」に係る特許権(「本件特許権」)を有していたXが、本件特許権の目的物質の一つであるトラニラストを製造販売し若しくはトラニラストを便用した製剤を製造し、これを販売したYらに対し、特許法一〇四条の生産方法の推定規定の...
《解 説》
一 Xは、債権者申立てにより破産宣告を受けた者であるが、免責手続において異議の申立てはなく、Xを免責する旨の決定(以下「原決定」という。)がされ、同決定は確定した。ところが、Xが免責手続中に自己名義の銀行口座に現金で二億六〇〇〇万円を預け入れ(以下「本件預金」という。)、それを...
《解 説》
一 本件は、破産管財人に選任されたものの、管財業務を長期間にわたって放置した上、破産裁判所に対し、自己の職務懈怠を糊塗するため、債権回収のために訴訟を提起して勝訴したなどと虚偽の報告をしていた弁護士である被告人が、破産裁判所から、その判決正本の写しの提出を求められたことから、こ...
《解 説》
一 本件は、ゴルフ用品製造販売等を営む被告会社の代表取締役である被告人が、同会社のいわゆる免税店において、事業用に購入する意図をもつ韓国人バイヤーに対し消費税分を上乗せしない値段でゴルフ用品等を販売して得た課税売上について、あたかも外国人旅行者に対する免税売上であるかのように装...
《解 説》
本件は、原審で付された接見禁止決定が、抗告審において取り消された事例である。
本決定自体はごく簡単なものであるが、抗告申立書が詳細な事実関係を指摘しているので、この申立書、更には本決定に先行する保釈請求却下決定に対する抗告審決定(東京高裁平成一五年(く)第二五一号同年六月六日...
《解 説》一 本件は、遺産分割の審判に対する即時抗告期間が争われた許可抗告事件である。
本件の被相続人には、相続人が七名おり、このうち四名が残りの三名を相手方として遺産分割の調停を申し立てたが、不調となり、審判に移行した。相手方の一人である抗告人Xは、残りの六名を相手方として、寄与分を定め...