最も長い歴史をもつ判例実務誌
非業務用の資産として取得された土地の買受代金支出に引き当てるべき金額を他から借り入れた場合の借入金利子は、譲渡所得の課税上、所得金額から控除される取得費に含まれるとされた事例
1 観念的競合の関係にある数個の業務上過失致死罪の一部につき時効が完成しているとして免訴の判断をした事例 2 胎児時に病変を生じ、出生後これが原因となって死亡した者も刑法211条の「人」に当るとして、これに対する業務上過失致死罪の成立を認めた事例
1 営利の目的で麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責 2 税関長の許可を受けないで麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責
建物の収去を命ずるいわゆる授権決定に対しては、債権者の右決定を求める申立が信義則に違反し、または権利の濫用に当るというような理由をもって、不服を申立てることができないとされた事例
振出人から人的抗弁の対抗を受けることを知りながら受取人から約束手形の裏書譲渡を受けた場合右裏書譲渡について詐害行為が成立しないとされた事例
請負契約の瑕疵の修補に代わる損害賠償請求訴訟において第一審で主張した瑕疵数10か所のうちの一部を第二審において撤回し、その後右一部を再び主張するにいたったときと民訴法237条2項の適用の有無(消極)
プレハブ住宅建築請負契約にいわゆる所有権留保条項があるにかかわらず請負人から注文者に対する目的建物の引渡により注文者が所有権を取得したとされた事例
自衛隊の航空機墜落事故による国家賠償請求訴訟において右事故に関する調査報告書が民訴法312条3号に該当するとされた事例
1 借地法4条1項による契約更新の請求及び右更新請求に対する異議が黙示的にされたものと認められた事例 2 正当事由の存否を判断するにあたっては基準時後に生じた事情であっても基準時において予想しえたもの及び基準時における正当事由の存否の徴憑たりうるものについては考慮するのが相当である
信用金庫が真実の預金者と異なる者を定期預金の預金者と誤認してその者に対し、右定期預金を担保に貸付し、定期預金債務と相殺した場合に、民法487条の類推適用により、右相殺をもって真実の預金者に対抗できるとされた事例
1 登記申請書に添付された偽造の登記済証に押捺された庁印の文字が1字裏文字となっていたのを看過して登記申請を受理した登記官に過失があるとして国家賠償請求を一部認容した事例 2 登記官の過失による無効な所有権移転登記を信頼して該不動産を買受けた者が被った損害につき、右過失との間に相当因果関係が認められるための一般的基準
他主占有者が明示的に所有の意思を表示しなかったときでも、その内心の意思が所有の意思に転換したと推認されるような客観的状況が存し、かつ占有をなさしめた側がそれを認識しながら、当該占有を容認した場合にはその占有は自主占有に転換したものと解すべきである
兇器準備集合罪の共同加害目的ありとして現行犯逮捕した警察官の逮捕行為、右逮捕に基づく検察官の勾留及び勾留延長請求行為、これに対する裁判官の勾留状発付行為、検察官の公訴提起及び追行行為をいずれも違法ではないとした事例
1 木造建物に増設された2、3階部分が区分所有権の目的として増設者に原始取得されたものと認められた事例 2 建物の滅失登記手続を求める訴がその利益を欠くとして却下された事例
検察官の公訴提起及び公訴追行につき、有罪の裁判を得られるとの当該検察官の心証が合理的根拠を欠くとはいえないとして、その違法性を否定した事例
1 保管金規則1条所定の期間は時効期間か(積極) 2 競売手続における余剰金交付請求権の消滅時効の起算点 3 保管金規則1条第3は時効中断の根拠規定か(消極) 4 債権仮差押により被差押債権は時効中断するか(積極)
1 借地人がその地上建物につきなした工事が、建物の存続期間を著しく伸張させひいて地主との間の信頼関係を破壊するようなものではないとした事例 2 借地人が、借地上の建物について、その構造、機能及び美観を維持保全するためになす合理的範囲内の補修工事は、無断増改築禁止特約がある場合においても許される
4才の児童が擁壁から池の中へ転落して死亡した事故につき右擁壁の所有者に対し転落防止柵等の設置をしなかった瑕疵があるとして賠償責任を認めたが、池の所有者である地方公共団体については、池の設置・管理に瑕疵があったとはいえないとして賠償責任を否定した事例
刑務所長が受刑者に使用を許可していた訴訟用ノートを領置不許可としたうえ廃棄処分にしたことが違法とされ、国に対して3,000円の慰藉料の支払が命ぜられた事例
小学校の児童らのために小学校の校庭及びプールに対する日照阻害を理由として、9階建マンションの7階以上の部分について工事禁止を命じた事例
1 作業賞与金の法的性質 2 作業賞与金の基準額の改訂について法務大臣に裁量権を濫用した違法性が認められないとした事例
1 宗教法人における予算等の議決機関である宗議会の開催につき、僧侶が宗教法人及び僣称代表役員に対し、前者については開催権の剥奪を、後者については開催行為の禁止を求めた仮処分申請が認容された事例 2 宗教法人の内部法規上、代表役員、責任役員とは別に代表、執行機関として管長、最高の事務決定機関として宗議会が創設されていても、その権限は宗教的事項に限られ、世俗的組織的事項については権限を有しないか、又はそれぞれ代表役員、責任役員の補助的下位機関としての権限を有するものとして位置づけられ、その場合、宗議会の招集権限は代表役員に帰属すると判示した事例 3 宗議会の開催は、責任役員によりその意思決定が適法になされれば、召集権限のない者により招集されても適法なものとなるか(消極) 4 宗教法人の宗教活動のための予算は、宗教法人法の規律の対象となるか(積極) 5 宗議会の招集事務が終了している段階においてもなお拾集権者等に対する宗議会開催禁止の仮処分が認められるか(積極)
1 複数の事由による給付義務を各別の和解条項として表示した和解調書に対する請求異議訴訟において、条項を特定しないでなされた請求の認諾は全ての和解条項による請求についてなされたものと解すべきである 2 和解調書の条項中に「当該賃貸借」契約が一時賃貸借であることを確認する定めがあるにかかわらず、なお一時使用目的の賃貸借であるということを否定した事例
準工業地域に用途指定された地域内に3階建建物を建築したことによる日照通風妨害が受忍限度内であって不法行為としての違法性を欠くとされた事例
債権の贈与にあたり、贈与者が受贈者に対して委任状、印鑑証明など贈与者に代って債権の弁済を受領し得るに足る書類を交付したことをもって、当該贈与につき履行を終ったものと認容された事例
競業禁止契約が時間的、場所的に無限定であっても、判示のような契約締結の動機その他に照らし、右契約が公序良俗に反しないとされた事例
1 区分建物のバルコニーは不動産登記法における登記対象の床面積に入らないとされた事例 2 区分建物のバルコニーが利用上避難通路としての制限を受けていることは民法563条の「権利ノ一部力他人二属スル」場合にあたるか(消極) 3 区分建物のバルコニーが利用上避難通路としての制限を受けていることは民法570条の「隠レタル瑕疵」にあたるか(消極)
AがBに対し融通手形として振り出したが、Bが更に融通手形として振出し事情を知らないCに譲渡した約束手形につき、AはBに対する融通手形の抗弁をもってCに対抗することができるか(積極)