最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、皮膚科の開業医である被告人が、かねて取引のある薬品販売会社であるT社の従業員から、日本商事株式会社(主として医薬品の卸売業を営み、大阪証券取引所第二部に株式を上場していた会社であり、T社との間で医薬品の販売取引契約を締結していた。)が開発、製造して発売を開始したばか...
《解 説》
一 概要
本件判決は、いわゆるロス疑惑事件のうちの銃撃事件に対する控訴審判決である。
この事件は、被告人甲野が、その妻Cを殺害して保険金を詐取する目的で、相被告人乙野と共謀の上、ロスアンジェルスの道路上で乙野にライフル銃でCの頭を銃撃させて殺害したとして、甲野と乙野が起訴さ...
《解 説》
一 本件は、徳島県麻植郡川島町の議員であったが議場において特定業者の利益誘導に当たる発言及び差別発言をしたという理由で平成一〇年一月一九日に除名の懲罰を受けた申立人が、除名処分の取消訴訟を提起するとともに、除名処分の効力停止の申立て(行政事件訴訟法二五条二項)をした事件である。...
《解 説》
一 本件は、譲渡担保の目的物である本件建物及びその敷地を被担保債権の弁済期経過後に譲渡担保権者から贈与を受けた原告が、これを占有する譲渡担保設定者である被告に対し、その建物の明渡しを求めた訴訟である。なお、本件については、譲渡担保権が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、民法上の組合から任意の脱退(民法六七八条)をしたとする者が他の組合員に対して持分払戻金の請求をした事案であり、組合契約においてされた任意脱退を制限する約定の有効性が争われた事案である。
Xら二名とYら五名は、一口一〇〇万円の出資金でヨットを共同購入し...
《解 説》
株主総会決議不存在確認の訴えは、株主による会社管理の方法の一つとして法が用意したものであるが、本判決は、右訴えの適法要件(確認の利益)について、踏み込んだ検討を行ったものである。
一 事案の概要
1 本件の事実関係について、本判決が摘示しているところに若干補って紹介すると、...
《解 説》
一 原告は、「大径角形鋼管の製造方法」という名称の本件発明の特許権者であったが、被告が無効審判を請求し、本件発明が進歩性を欠くとして本件無効審決がされた。本件は、原告が本件無効審決の取消しを請求する審決取消訴訟である。原告は、本件訴訟を提起するとともに、明細書の特許請求の範囲を...
《解 説》
本判決は、更正登記を行うことができる限界が問題となる一場面に関して論ずるものである。
一 本件事案の争点は多岐にわたるものであったが、本判決が採り上げた論点に関する事実関係は、次のようなものであった。本件の被上告人であるXら三名と、上告人二名のうちのY1は、いずれも、昭和五九...
《解 説》
一 被控訴人(以下「X」という。)は、東京都の区域内に住所を有する者であるが、東京都公文書の開示等に関する条例(昭和五九年東京都条例第一〇九号。以下「本件条例」という。)に基づき、控訴人都知事(以下「Y」という。)に対し、都の執行機関が開催した都議会議員との会議の際の飲食費関係...
《解 説》
一 事案の概要
本件事案の概要は以下のとおりである。
Xは、フィリピン共和国の国籍を有していた夫が業務上の事由により死亡したので、労働者災害補償保険法(以下「労災法」という。)に基づく遺族補償年金等の受給権者となった。
Xは、Yに対し、当時、東京都立高校在学中の次女のため...
《解 説》
一 本判決は、袋地所有者が、民法二一〇条により巾二メートルの範囲で囲繞地通行権を有すると共に、その部分に上下水道、ガス、電気、電話の配管線をする権利があることを認めたものである。
二 民法二一〇条は、袋地所有者は、公道に出るために囲繞地を通行することができるとし、下水道法一一...
《解 説》
一 建物建築請負契約での請負人が材料の全部または大部分を提供したときは、原則的には、建築建物の所有権は請負人にまず帰属し、そののち引き渡しにより注文主に移転すると言われている。しかし、現在では注文主が材料を提供することは殆どなく、総合請負をさせた上、材料提供の代わりに前払い金を...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告と海外商品先物取引オプション取引(以下「本件取引」という。)を行った原告が、本件取引の勧誘の際に、被告従業員が「一週間だけ委せて貰えば儲かりますよ。」と述べて断定的判断を提供したこと(断定的判断の提供)、本件取引の仕組み、危険性等を十分に説明しなか...
《解 説》
一 Xは、長年税務行政に携わったうえ、平成二年四月から平成九年三月まで、A大学において、法学部及び大学院法学研究科教授として、租税法の講義、演習等を担当しながら研究、教育に従事し、平成九年三月末日付けで同大学を定年退官した。Xは、同日B弁護士会に弁護士登録の請求をしたところ、日...
《解 説》
一 本件は、いわゆる「ロス疑惑」報道に関するものであり、妻に対する保険金目的の殺人未遂・殺人既遂事件の被告人である原告が、ワイドショー(生放送)の放送内容(原告が嘘つきであり女性を騙している、乱交パーティーに出たことがある等)が虚偽であり原告の名誉を毀損するものであるとして、複...
《解 説》
一 遺産分割の審判の対象となった物件の一部について、その後の判決により遺産でないことが確認された。そこで、改めて相続人の一部から、遺産の範囲に変動が生じたとして、遺産分割の申立てがなされたのが本件である。
二 本決定は、右遺産分割の申立てを、不適法であるとして却下したが、その...
《解 説》
本件は、有責配偶者である夫Xから妻Yに対する離婚請求の可否をめぐる訴訟であり、第一審は、Xからの離婚請求を認容したが、控訴審は原判決を取り消し、請求を棄却したものである。
事実の詳細は不明であるが、控訴審判決の判断欄等からすると、およそ次のようである。XとYは、昭和五三年に婚...
《解 説》
一 原告ら(五人兄弟のうちの三人)の父は、信用金庫である被告に預金を残したまま死亡した。そこで、原告らは、右預金の法定相続分に相当する五分の一の部分について、各自にその権利が帰属したと主張して、被告に対し、右預金の五分の一に相当する金額の払戻しを請求すべく、本訴を提起したもので...
《解 説》
一 原告は、円筒状のコイルボビンに適用される巻鉄心に係る特許権を有し、自ら巻鉄心を製造、販売しており、被告も巻鉄心(被告製品)の製造、販売を業としている。本件は、原告が、被告による被告製品の製造、販売が原告の特許権の侵害に当たるとして、被告に対し、被告製品の製造、販売の差止めを...
《解 説》
一 本件事案の概要を判旨との関係で簡略化すると次のとおりである。Xは不動産競売で鉄筋コンクリート造三階建のマンション一棟(以下「本件建物」という)を買い受けた者であるが、本件建物の一階車庫部分(約三〇平方メートル、以下「本件車庫部分」という)はYが占有していた。Xは、執行裁判所...
《解 説》
一 被告人は、中国人であり、かつて就学生の在留資格で本邦に滞在していたことがあったが、窃盗未遂等の事件を起こして執行猶予付き懲役刑の判決を受け、中国へ自費出国した。そこで、被告人は、今回、中国残留日本人の二世を仮装して本邦に入国することを企て、首尾よく入国を果たした後、豊橋市役...
《解 説》
一 本件判決は、道路運送法九八条二号の自家用自動車有償運送の罰則のうち、懲役刑を含めて罰金二〇万円を超える重い部分について、法令の相互関係上、これを貨物軽自動車の有償運送に関して適用することは許されないと判示し、法定刑を文言のまま適用して処断した原判決を職権破棄し、自判で軽い刑...
《解 説》
一1 本件は、知事の許可を得て、おからやビールかす等を廃油を用いて熱処理し、飼料を生成する事業を営んでいた被告人が、乾燥機の故障などでその工場における乾燥処理が追いつかなくなったことから、新たに岡山県内に本件工場を建設し、兵庫県内・京都府内・京都市内の三つの豆腐製造業者から処理...