最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、Xらの長男であるAがYに入社して約一年五か月後に自殺したことにつき、長時間労働がその原因であるとして、その使用者であるYに対し、遺族であるXらがAの相続人として、民法四一五条又は七〇九条、七一五条に基づき、Aの死亡による損害賠償を請求した事案である。
原審における...
《解 説》
一1 本件は、Xの娘A(看護婦で死亡当時二九歳であった。)が、Y1大学の経営するY病院の救命救急センターに入院したが、その八日後に死亡し、その直後、腎臓移植のためにAの腎臓が摘出されたことに関して、救命救急センターの医師らのAに対する入院中の措置の当否及び腎臓等の摘出に関する家...
《解 説》
一 本件の事案は、次のとおりである。大韓民国国籍を有し、我が国に永住することの許可を受けていたXは、昭和60年2月、外国人登録証明書を汚損したとして、京都市右京区役所を訪れ、引替交付申請手続をした。その際、外国人登録法一四条一項(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの)に従...
《解 説》
一 本件は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「駐留軍用地特措法」という。)一四条に基づき適用される土地収用法の規定に基づき、その所有...
《解 説》
一 本件は、仮差押えによる時効中断の効力の継続に関して、学説及び下級審判決において対立のあった論点について、最高裁の見解を明らかにした判例である。
二 Yの夫であるAは、Xに対して貸金債権を有していたが、内金一〇〇〇万円を被保全債権として、Xの所有する(一)から(五)の物件に...
《解 説》
一 本件は、Aが倒産直前に債権を多重譲渡したため、債権の譲受人であるXYらの間でその優劣が争われている事案であり、債権譲渡の通知が詐害行為取消権行使の対象となるかが問題となっている。
二 本件の事実関係及び訴訟経過の概要は、次のとおりである。
1 Xは、平成五年一二月一日、...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yの先代から買い受けた農地(本登記未了・仮登記経由)につき、売買から二〇年以上経過した後に、YがXのために経由されていた仮登記を抹消した上で第三者に売却したとして、Yに対し、債務不履行(履行不能)による損害賠償を求め、Yが消滅時効を主張して争っている事案である...
《解 説》
一 本件は、Xが、Y1(信販会社)から提起された前訴において、訴状等の付郵便送達が違法無効であったため、訴訟手続に関与する機会が与えられないまま、理由のないX敗訴の判決が確定して損害を被った旨主張し、Y1に対しては、前訴での受訴裁判所からの照会に対しXの就業場所不明との誤った回...
《解 説》
一 本件は、生活保護を受給していたXが、保護の実施機関であるYから、保護開始の直後に書面でなされた自動車の所有及び借用等を禁止した指示に違反したことを理由に保護廃止の処分を受けたのに対し、右処分は違法であるとしてその取消しを求めた事案である。
Xは、四人の未成年子を抱えて平成...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、地方公共団体が、誘致した企業を優遇するために行った各種の財政的措置の違法性が争われた住民訴訟である。事案の詳細は、判決文を参照していただきたいが、概要を紹介すると、甲製紙会社の工場の誘致をめぐり、甲社、A県知事及びA市長との間で、甲社に供給する工業用水...
《解 説》
新技術事業団法に基づいて政府の一〇〇パーセント出資により設立された新技術事業団X′(控訴審係属中に科学技術振興事業団Xに承継された)は、同法三〇条によって新技術の開発の企業への委託、新技術開発の成果を企業に実施させる場合、内閣総理大臣の認可を要するものとされていた。X′は、その...
《解 説》
一 原告は、重大刑事事件の被疑者の私選弁護人であった者であるが、原告の弁護活動中の言動等に関する記事が、週刊誌に掲載された。原告は、その掲載内容が原告の名誉を毀損するものであるとして、右週刊誌を発行した出版社、発行人及び編集人並びに右記事において原告に関する取材に答えた弁護士に...
《解 説》
一 訴外Aは、平成六年七月一四日、札幌市中央区内を走行中の普通乗用車に同乗していたが、同区内の交差点を赤信号無視して進行してきたY運転の普通乗用車に衝突され、死亡するに至った。
そこで、Aの遺族であるXらは、Yに対し、自賠法三条、民法七〇九条に基づき損害賠償を請求したが、その...
《解 説》
一 原告の夫は、生前、自己所有の不動産(以下「本件不動産」という。)に対する権利一切を妻である原告に相続させる旨の自筆証書遺言(以下「本件遺言一」という。)をしたが、その後、その他一切の財産を原告に相続させる旨の自筆証書遺言(以下「本件遺言二」という。)をした(なお、本件遺言二...
《解 説》
一 本件は、「GEO」(X商標、正確には後掲の目録を参照)という商標の商標権を有するXがYに対し、Yの業務用テレビゲーム機に「NEO・GEO」等の標章(Y標章、正確には後掲の目録を参照)を付して販売する行為等がXの商標権の侵害行為に該当するとして、損害賠償を求めた事案である。X...
《解 説》
一 本件は、「ポリエチレン延伸フィラメント」に関する特許発明の特許権者であるXが、Yに対して、Yの製造販売する製品が右特許権を侵害するとして、Y製品の製造販売等の差止め、廃棄及び損害賠償を求めた事案である。
本件発明の特許請求の範囲には、特定の物性(以下「本件物性」という。)...
《解 説》
一 O脚歩行矯正具についての平成五年改正前の実用新案権者であるX1及びその独占的通常実施権者であるX2が、Y1の製造し、Y2の販売している製品が、Xらの権利を侵害しているとして、X1がYらに対し侵害行為の差止等を、X2がYらに損害賠償を請求した。本判決は、Yらの権利侵害を認め、...
《解 説》
一 本件は、原告が被告に対し、原告が著作権を有する写真を被告が店内装飾用にコルトンとして百余枚複製した行為が著作権(複製権)侵害に当たるとして、著作権法一一四条二項の「通常受けるべき金銭の額に相当する額」の損害賠償を求めたのに対し、被告が、①被告による複製は原告の許諾を受けたも...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Y1は、A所有の土地一〇七・三一平方メートル(以下「本件土地」という)を賃借し、右土地上に建物を建築した(以下「本件建物」という)。Y1が代表取締役をしているY2会社は、Xから金員を借り入れ、右債務を担保するため、本件建物に抵当権を設定し、...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。X(差押債権者・抗告人)は、Y裁判所に対し、物件1ないし3について、担保権の実行に基づく競売の申立てをした。Y裁判所は、物件2、3は優先債権者ZがいるためXには配当がいかず無剰余であるとして、物件2、3についての執行手続を取り消した。これに...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告人が、夜間、自己の所属する暴力団が介入していた民事紛争の一方当事者である会社の事務所が所在するマンション四階の通路において、(一)自動装てん式けん銃一丁を適合実包二四発と共に携帯し、(二)同事務所玄関扉に向けて右けん銃で実包四発を発射したという事案...
《解 説》
一 近時、報道機関による捜査段階における事件報道が盛んになってきており、捜査機関としても、積極的にこれと関わり、あるいは消極的にこれと関わらざるを得なくなってきているが、本件(覚せい剤等の営利目的所持の事案)では、そのような状況の中で、捜査機関と報道機関の関わりと捜査の効力が問...
《解 説》
一 消費税の仕入税額控除の可否が問題となった事件である。
二 消費税法(平成三年法律第七三号による改正前のもの。以下「法」という。)は課税資産の譲渡等の対価の額を課税標準とし(法二八条一項)、それに係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除した額を納付すべき税額としているが...
《解 説》
一 本件は、訴外Aの債権者であるXが、AがYとの間で締結した生命保険契約の解約返戻金支払請求権を差し押さえた上、差押債権者の取立権に基づき、当該保険契約を解約して、Yに対し、解約返戻金の支払を求めたものであり、主たる争点として、解約返戻金支払請求権の差押債権者が、その取立権に基...
《解 説》
一 概要
本件は、平成三年九月一九日、下流での洪水を防止するため千葉県が発注して工事中であった国分川のトンネル式分水路に台風の豪雨により増水した川水がなだれ込んでトンネル内の七名の作業員が溺死し、県の現場責任者が業務上過失致死罪で起訴されたものである。控訴審判決は、第一審判決...