最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆるゼネコン汚職事件としてマスコミに大きく取り上げられた一連の贈収賄事件のうち、元仙台市長に対する収賄被告事件の第一審判決である。
二 本件公訴事実は、仙台市長で、同市が発注等する各種工事に関し、請負業者選定のための指名競争入札の入札参加者の指名、請負契約の締...
《解 説》
一 本件の事実関係を時間の経過に即して整理すると、次の①から⑥のとおりである。①Xは所有する不動産についてAとの間で買戻特約付きで売買契約締結、②YはAに対する売掛代金債権を請求債権として、AのXに対する右売買契約に基づく買戻代金債権(本件債権)について、差押命令及び転付命令を...
《解 説》
本件は、新聞記事による名誉棄損の成否を論ずるに当たり、記事の公表媒体である新聞の持つ性格等がどのような影響を与えるかが問題とされたものである。
一 本件の事案の概要は、以下のとおりである。本件記事は、被告(被上告人)Y1社が発行する昭和六二年九月六日付け新聞紙面に公表されたも...
《解 説》
一 本件は、宅地開発区域の隣接地に居住する住民であるXらが、右の開発行為に係る開発許可処分(以下「本件処分」という。)には種々の違法がある旨主張して、①市長Y1に対して本件処分の取消しを、②開発業者Y3らに対して開発工事の差し止めを、③市Y2及びY3らに対して損害賠償金の支払を...
《解 説》
本件は、交通事故を起こした後、Y府警の警察官により暴行の罪で現行犯逮捕されたXが右逮捕を違法であると主張し、総額一五二万円余の損害賠償を求めた事案である。本件は、XY双方の控訴による控訴審判決であり、原判決(一部認容)を引用しているため、事案の詳細は不明であるが、YはXの現行犯...
《解 説》
Xは、公立小学校の給食調理師として勤務中、熱風消毒器の通電部分に右手人差指を接触させて感電し、右事故による電撃障害及び全身倦怠について、公務上の災害の認定を受けた。その後、Xは、右事故によって狭心症を発症したと主張して、Yに対し、公務災害追加認定請求をしたが、狭心症は公務に起因...
《解 説》
一 Xの亡夫Aは、B会社に製鋼作業員として勤務し、ペンダント作業に従事していたが、休憩時間中に心筋梗塞を原因とする急性心不全で死亡した(当時四六歳)。XがYに対し、Aの死亡について労働者災害補償保険法に基づき遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、YがAの死亡は業務に起因するも...
《解 説》
本件は、更新された場合には新家賃の二か月分の更新料を支払う旨の約定のある賃貸借契約に基づき、賃貸人たるX(原告・被控訴人)が、賃借人たるY(被告・控訴人)に対し、更新料の支払いを求めた事案であり、右賃貸借契約が法定更新された場合にも更新料支払いに関する約定の適用があるかが争点と...
《解 説》
一 原告は、所有する猫(アビシニアン種)の出産にあたり、獣医師である被告にその処置を依頼した。この猫は、過去に二回帝王切開による出産歴があったため、原告は、今回についても、帝王切開による出産を希望していたが、被告の勧めに従い、自然分娩によることを承諾した。そして、被告が、猫に対...
《解 説》
一 事案の概要
本件は平成七年三月三日に産業用及び工業用機械・工具の販売並びに仲介、金型製造及び加工等を業務とする株式会社である原告を売主、硝子製造同機械同金型同部品の製造等を業務とする株式会社である被告を買主とするセイコー電子株式会社製のUNIGRAPH・CAM・CADシス...
《解 説》
一 Xは、平成二年八月、事務所、ロビー、ショールーム、会議室などとして使用する目的で、Yから、Yの所有する建物の一階部分(以下「本件建物」という。)を、賃貸期間二年、賃料月額四二二万八八〇〇円、保証金三億七〇〇〇万円(契約終了時に二割を控除して返還する。)との約定で賃借し(以下...
《解 説》
一 Xは、平成二年八月、訴外Aに対し、訴外B所有の本件土地に本件根抵当権を設定して五〇〇〇万円を貸付するに当たり、司法書士であるYに対し、本件根抵当権設定登記手続の代行を委任したところ、Yの代行によって、本件根抵当権設定登記と先順位の根抵当権設定登記の抹消手続が完了したので、A...
《解 説》
一 本件は、暴力団組員に組員と誤認されて射殺された高校生の遺族が、刑事訴追された実行行為者に対する不法行為責任を追及するとともに、右実行行為者が、島袋一家及びその上部組織の沖縄旭琉会の構成員であるとして、島袋一家の総長(被告島袋)及び沖縄旭琉会の会長(被告富永)の使用者責任又は...
《解 説》
一 X1は、一流会社の課長を退職して不動産賃貸管理会社X2を設立して代表取締役に就任したが、平成元年八月から平成二年二月までの間にY(外資系証券会社)の営業社員Aから勧められて、X1及びX2名義で外貨建ワラント及び株式の現物取引をして、このうち本件外貨建ワラントの買付額は累計で...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年一一月の深夜、飲酒の上自転車で帰宅途中、路上で転倒しているところを第三者に発見され、救急車にてYの経営する「坂本病院」に収容された。
坂本病院における頭部X線検査やCT検査では、Aの前頭葉と側頭葉に挫傷が認められたので、Yは、入院措置を取ったうえ、Aに対...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告日本赤十字社及び献血時の右試験採血を担当した看護婦である原告甲野花子が、右試験採血により皮神経損傷を受けたとして休業損害、慰謝料等を請求していた被告に対し、右試験採血による損害賠償債務を負担していないことの確認を請求した事案である。
二 本件の要...
《解 説》
病院において閉鎖病棟に収容されていた精神分裂病の患者が、時間開放を許されて開放されている間に、近くのマンションから投身して自殺した。その病院の開設者である原告は、患者の両親に対して病院側の責任を認め、投身によって破損したマンションの受水槽の損害を支払い、その分及び両親の被った損...
《解 説》
X2女とY男は昭和六〇年一一月以降交際してきたところ、X2は同六二年一一月X1を出産した。本件は、Yに対し、X1の認知を、X2がX1の監護費用としてX1が二〇歳に達する日の属する月まで一か月八万円の支払をそれぞれ求めた事案である。Yは、X2と交際し、X2がX1を出産したことを認...
《解 説》
Xはパチンコ店を経営する有限会社Kに景品用のライターの発火石を納入していたが、K社が倒産したため代金一億六八二七万円余の回収が不能となった。XはK社の倒産の原因は、K社の売上金がその親会社である株式会社Sの負債の返済のため流用されたことにあり、K社の取締役であるYがこれに関与し...
《解 説》
一 木造、軽量鉄骨及び鉄筋建築の設計施工を業とする会社の代表取締役であるX1の次男である訴外A(昭和五〇年二月生)は、平成六年一二月五日、横浜市緑区内の建設会社前の駐車場内において倒れているところを発見され、救急車で近くの病院に搬送されたが、五日後に、後頭部打撲による脳挫傷兼頭...
《解 説》
本件は、洋品店を経営するYが、商品の毛皮を二回にわたり盗難されたとして(被害総額約一億一〇〇〇万円)、動産総合保険契約に基づき保険金を請求したのに対し、保険会社であるXが、Yが主張する価値を有する毛皮の存在及び盗難事故の立証がないとして、保険金の債務不存在確認を求めた事案である...
《解 説》
一 本件は、青果物の包装体に関する特許権を有している原告が、被告が製造、販売している複合フィルム製袋(被告物件)が右特許権の技術的範囲に属する青果物の包装体の生産にのみ使用する物であるから、被告物件を製造、販売する被告の行為は、右特許権のいわゆる間接侵害(特許法一〇一条一号)を...
《解 説》
Y1社の取締役を辞任したXは、①Y1社に対して、取締役在任中に金銭を貸し付けたと主張して、その返還を求め、それとともに、②Y1社のほか、Y1社の代表取締役であるY2、及びその妻でY1社の取締役であるY3に対して、取締役報酬を不法に減額されたと主張して、不法行為を理由に、右減額分...
《解 説》
一 本件の被告人は、いわゆるアダルトビデオ制作販売業者であり、その制作にあたって、A子をその女優として自慰等の性戯をさせる目的で雇い入れたのであるが、雇い入れに際し、職業安定法六三条二号にいう「労働者の募集」に該当する行為があったのか否かが争われた。本件の特色は、被告人がいわゆ...
《解 説》
一 Y1は中国で気功による治療に携わった経験がある中国人女性であるが、来日後、宇宙パワーで難病を治すと称して、難病患者を相手に治療行為を行ってきた。その料金は九か月コースで三八〇万円等という高額なものであった。Y1の治療行為については、テレビ番組で四回にわたって取り上げられ、「...