最も長い歴史をもつ判例実務誌
同一不動産について,前訴とは異なる所有権取得原因事実を主張して,後訴で遺産確認の訴えを提起することは,既判力に抵触するか
《解 説》
一 原告らは、クロロキン製剤を服用し、その副作用によりクロロキン網膜症に罹患した患者とその家族であり、国、製薬会社、医療機関を被告として、損害賠償請求訴訟を提起した。
一審判決(東京地判昭57・2・1本誌四五八号一八七頁)は、各被告の責任を認めたが、二審判決(東京高判昭63・...
《解 説》
一 本件の事実関係及び本案前の争点は、本判決の理由一に簡潔にまとめられているとおりである。要するに、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)による保険給付に関する決定のように、行政処分に対する不服について審査請求、再審査請求という二段階の不服審査手続が定められ(同法三...
《解 説》
一 Y2は、昭和四七年、Y1の母であるA子と婚姻届出をしてA子の実家で同居を始めたが、昭和五七年ころから家庭内別居の状態となり、昭和五九年ころには、Y2がA子の実家を出て、完全な別居状態となった。A子は、昭和五八年ころから、Xと肉体関係を持つようになり、昭和六二年Y1を出産した...
《解 説》
一 本件訴訟は、幼稚園の運動場用地の賃貸借について、借主であり幼稚園の経営者であるXが、本訴請求として、借地権の存在確認を求めたのに対し、貸主であるYが、反訴請求として、賃貸借の終了を理由に本件土地の明渡し等を求めた事案である。一審、原審における主たる争点は、①右賃貸借が建物の...
《解 説》
一 本件は、東久留米市公文書公開条例に基づき、自己の小学校在籍時の小学校児童指導要録(以下「指導要録」という。)の公開を求めたところ、被告東久留米市教育委貞会教育長からこれを公開しない旨の処分を受けた原告が、これを不服として右非公開処分(ただし、異議決定により一部取り消された後...
《解 説》
一 本件は、暴力団員A及び不動産業者Bが、共謀して、知人Cをして、広島法務局から、更地で抵当権の設定されていない土地の登記簿原本を盗み出し、あらかじめ用意したタイプライター及び登記官印を用いて、Aが所有権移転登記を受けた旨原本に虚偽の登記を記入し、右原本を登記簿冊に返還し、Aが...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次の通りである。
Xら二名(夫婦)の土地につき、駐留米軍用地として使用するため、「日本国とアメリカ合衆図との間の相互協力及び安全保障条約六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用に関する特別措置法」に...
《解 説》
一 本件は、Y(被告・被控訴人)の勝馬投票券発売所に勤務しているX(原告・控訴人)が、年次有給休暇の行使として勤務を休んだところ、Yから、Xの雇用形態が年次有給休暇行使の法律上の要件である労働基準法三九条一項の「一年間継続勤務」(但し平成五年改正前)には該当しないとして、欠勤と...
《解 説》
本件は、X1から大学を経営する学校法人Y1に対し、主位的には学長兼理事Y2(後記丙事件被告)を介してY1に二億円を貸したことを理由にその返還を求め、予備的には右Y2を介してY1との間でX1らが大学移転のプランニングを行い、事業費の二パーセントの報酬を得るとの業務委託契約に基づく...
《解 説》
一 X1は、平成三年一二月、Yの経営するガソリンスタンドにおいて、灯油と誤ってガソリンを買い求め、自宅まで運搬されてきたガソリンを石油ストーブに給油して点火したところ、ガソリンが内圧の上昇によりオーバーフローして引火し、マンションの内部を焼損するに至った。
そこで、X1とその...
《解 説》
Xは不動産業者であるが、平成二年九月二八日、準学校法人Yとの間で、XがYから大阪市北区内の学校の敷地と建物を代金六五億円(道路部分を除く土地の一平方メートル当たりの単価は七三七万六五六五円)で買受ける契約を締結し、同日、手付金及び中間金合計一九億五〇〇〇万円(違約金と同額)を支...
《解 説》
X1の妻であり、X2の母であるAは昭和五一年五月に死亡したが、X1は平成二年六月、Aの遺骨を骨壺に入れた状態で日蓮正宗の被包括法人であるY寺に一年間の保管料二〇〇〇円の約で寄託した。Yは、Aの遺骨を小さな骨壺に移し替え、入りきらなかったAの遺骨を合葬処分した。X1が同三年一〇月...
《解 説》
Xは、Y1保険会社と代理店Y2を通じ、自動車運転者損害賠償責任保険契約(ドライバー保険)を締結したが、その後、姉Aの甲車を借用して運転中に他人B所有の乙車と衝突事故を起こし、乙車は全損し、甲車もかなりの損傷を受けた。XがY2に事故の発生を連絡したところ、Y2は翌日、本件事故はX...
《解 説》
Aは特定郵便局長であったが、顧客であるXに、「今は金利が安くなっているが、自分達局長しか加入できない局長会という組織があり、郵政省がバックアップしている。局長しか投資できないが、自分が代わって投資して運用してあげるから」と言って二回にわたり合計九〇〇万円を騙し取ったという。Xは...
《解 説》
本件は、ダイアルQ2の利用に関し、Y(NTT)からこれに伴うダイアル通話料金(情報料を含む)の請求を受けたXらが、Yに対し、通話料金債務不存在の確認、既払の通話料金の不当利得返還、一部の者については不法行為に基づき、財産的及び精神的損害の賠償を求めた事案である。
Xらがダイア...
《解 説》
本件事実の概要は、Xらの主張によれば次のとおりである。Xらの祖父であるAは、従来Y1大学の「学園創設者」として広く認められ、Y1大学の学園史でも「学園創設者」として紹介され、大学構内に設置されたAの句碑や胸像にも「学園創設者」との文字が付されてあった。ところが、Y1大学の理事長...
《解 説》
一 X(被控訴人)は、Y(控訴人)に対して土地を再売買予約付で売買した。Xは、右土地の所有権移転登記手続及び引渡請求訴訟を提起して、予約完結の意思表示を公示の方法により行い、勝訴判決を得たところ、Yに対する送達はすべて公示送達によって行われたが、Yは訴訟提起及び判決があったこと...
《解 説》
Xは昭和六二年一〇月から平成元年二月までの間にYに対し一〇回にわたり金銭を貸し付け、その残元本は七一八〇万円余に達すると主張し、Yが平成六年四月に夫が死亡したことにより相続した不動産の共有持分について仮差押えを申し立てた。これより先の同三年三月、Yは破産宣告を受け、破産管財人が...
《解 説》
一本件は、被告人が中学の同級生又は後輩ら四名(A~D)と共に飲酒した後、深夜の盛り場で相手方六名(ア~カ)のグループと行き合った際、酔余、被告人が相手方に「こらガキ。ええかっこしやがって。くそガキ。」などと罵声を浴びせたことから、集団で喧嘩となったものである。相手方の暴行が被告...
《解 説》
一 本件は、競馬に耽溺した被告人がカードローン等からの借入を繰り返して多額の負債を抱え、一旦は勤務先の銀行に顧客として来店して知り合った被害者から借金をしてこれを清算したものの、その後も懲りることなく競馬を続けて金銭に窮し、再度被害者に金銭の借用を懇願したが拒絶されたことから、...
《解 説》
一 判示事項一について
被告人は、情婦のAと共謀して、覚せい剤を共同で所持していたが、被告人については営利目的所持で、Aについては非営利目的所持で、個別に起訴された。右覚せい剤は、被告人が所有し、Aが現実に保管していたものであるが、個別に起訴されたため、被告人に対する事件とA...
《解 説》
一 本件は、かつての妻である乙女の再婚相手である甲男を殺害し、かつ乙女に傷害を負わせたとして起訴された事件である。第一審判決において、甲男に対する殺人については起訴事実どおり有罪とされたが、乙女に対する傷害については、結局同罪で有罪とされたものの、乙女の捜査段階及び原審における...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤使用事犯について、その意に反して被告人を警察署に同行し、約五時間半留め置いた後に採尿した手続の違法性と尿の鑑定書の証拠能力が問題となった事案である。原審は、未だ令状主義の精神を没却するほどの重大な違法はないと判断して、鑑定書の証拠能力を肯定して有罪判決を言い...