最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本件は、広島県第一区の選挙人である原告らが被告広島県選挙管理委員会に対し、平成五年七月一八日に行われた衆議院議員総選挙の議員定数配分規定が憲法一四条一項に違反する旨主張して、右選挙における右選挙区の選挙の無効確認を求めた訴訟である。
本件選挙は、平成四年の改正法により改正され...
《解 説》
一 本件は、宗教法人であるXがY(東京都)に対し、YがXの寺号と同一の「泉岳寺」という名称を都営地下鉄浅草線の駅名に使用している行為について、不正競争防止法二条一項一号、三条一項(混同惹起行為)、法人の氏名権(名称権)等を根拠に、その差止めを求めた事案である。
Xは、赤穂義士...
《解 説》
一 本件は、東京電力株式会社(以下「被告会社」という。)千曲川電力所在勤の従業員四名(以下「原告ら」という。)が、日本共産党員であるがゆえに被告会社から長年にわたり賃金等の処遇面で差別を受けているほか被告会社による人権侵害行為を受けたとして、人格権侵害、均等待遇を受ける権利の侵...
《解 説》
一 税務署長が、所得税及び相続税の更正をした結果未納税額があるとして、上告人に対し、国税通則法三七条により納付の督促をしたり、所得税に係る還付金について同法五七条により未納税への充当をしたりしたところ、上告人は、前提となっている各更正やそれらについての審査請求を棄却した裁決は違...
《解 説》
一 上下水道・電気・ガスなどの設備は、現代生活に不可欠であるが、これらの設備を設置するのに、隣接地を利用しなければならない場合も少なくない。この場合に、隣接地の所有者から利用の許諾を得たときはともかく、許諾を得られないときは、余水の排水に関する民法二二〇条、下水の廃水設備の設置...
《解 説》
一 Xの妻AはY(保険会社)との間で、被保険者をA、事故による死亡保険金を一〇〇〇万円、保険期間を五年とするなどの内容の積立女性保険契約(本件契約)を締結した後、事故により死亡した。本件契約の申込書の死亡保険金受取人欄に受取人の記載はされていなかったが、同欄には「相続人となる場...
《解 説》
一 Y(滑川市)は、昭和三二年にXの先代のAから本件農地を具体的な使用目的を定めないまま買い受け、代金全額を支払ったが、右農地については昭和三七年に所有権移転仮登記を経由するにとどめ、引き続きAの占有に任せていた。その後、昭和四六年にAが死亡して、Xが本件農地を相続し、占有も承...
《解 説》
一 X(原告・控訴人)は、海外旅行をした際、フィンランドでみやげ物として、フィンランド製のさや付きステンレスナイフ(刃渡り八ないし一〇センチ)八本を買い、小包で自宅宛に郵送したが、Y(被告・被控訴人)が、右ナイフは銃刀法によって所持が禁止されている「あいくち」に当たるとしてその...
《解 説》
一 本件は、県立高校二年のXら四名及び訴外五名の生徒らが、一年の生徒Aに対し、一か月にわたり、集団で、「絞め落とし」(柔道の絞め技をかけて気絶させること)、殴打、蹴り、「ちょうちょ」(両手足を持って上下に振り、怖がらせること)、「デコピン」(額を指で強く弾くこと)等のいじめを行...
《解 説》
一 Xらは、新東京国際空港建設予定地に使用権を有するものであるが、空港公団の申請に基づきY1(千葉県収用委員会)が「公共用地の取得に関する特別措置法」に基づいてした土地明渡しなどの緊急裁決とY2(建設大臣)がした審査請求棄却の裁決について、土地収用法及び特別措置法の損失補償規定...
《解 説》
一 Xは、建築物の解体工事及びそれにより生ずる産業廃棄物の処理を業とする会社であり、主として大手メーカーの下請けとして住宅用建築物の解体を行うことを業務としているところ、厚生省通知では、「建設業については下請業者がその事業活動に伴って発生させる産業廃棄物の処理についても廃棄物の...
《解 説》
一 青色申告の承認を受けていた家電製品小売と電気工事を業とする原告が、確定申告をしたところ、被告税務署長は、税務調査の際原告が終始非協力的な態度をとって帳簿書類を提示しなかったとして、青色申告の承認を取り消した上、家電製品小売の仕入金額については反面調査により把握した金額とし、...
《解 説》
一 Xらは、いずれも埼玉県上尾市の住民であるが、Y1(市長)が、平成元年と二年度に、Y2(商工会議所)に対し、「地域活性化基金設立補助金」として合計一億五六〇〇万円を支出したことについて、右補助金交付決定は、地方自治法二三二条の二、地方財政再建促進特別措置法二四条二項、昭和六二...
《解 説》
一 本件には、不動産業者である原告兼反訴被告・控訴人は戦前から所有する東京都品川区の本件土地を区分して賃貸し、借地人が建物を建て自ら居住し又は建物を更に賃貸する等していたが、その中央部に私道である幅員二米前後の本件道路が貫通し、沿道居住者・周辺住人の通行に使用されていたが、戦後...
《解 説》
本判決が認定した事実によると、本件係争土地は、Yらの共有に属するが、その南側に沿って存在する公道と一体となって、昭和二五年一一月二三日(建築基準法の施行日)以前から三・八メートルの幅員を有して一般の通行の用に供され、道路の形態が整い、道路敷地が明確であって、昭和三〇年七月三〇日...
《解 説》
一 本件は海外旅行ツアー(一行約二〇名)がバンコックでアテネ空港一部ストの通報により目的のギリシャ・アテネに行くことができなかったため、乗客一名が添乗員及び旅行会社の指示等の不手際を理由として損害賠償を請求した事案であるが、一・二審とも原告の請求を棄却した。
ツアーが使用予定...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年五月、Y1に対し、一八〇〇万円を貸し渡し、Y2は、Xに対し、Y1の借受金債務について連帯保証したと主張して、Yらに対し、右貸金残金の支払いを求めた。
これに対し、Yらは、XとYらの消費貸借及び連帯保証契約は、Xが、訴外A会社に対して融資をするに際し、A会社...
《解 説》
XはA社の破産管財人であるが、A社が代表者Bに対して有する損害賠償請求権を保全するため、Bに代位して、国Yに対し、養老保険を解約し、解約返戻金として一一〇万円を支払うよう求めた。Yは、生命保険契約の解約については、保険契約者以外の第三者の代位行使に馴染まないと主張し、さらに簡易...
《解 説》
一 Xらは、東京都世田谷区北沢に所在する製綿工場の近隣に居住する者であるが、平成元年五月一一日、右製綿工場の本件たたみ機の電源コードの被覆の剥離による短絡により発生した火災の延焼によって、その居住する賃借家屋等が全半焼し、所有動産を焼失した。
そこで、Xらは、製綿工場の経営者...
《解 説》
一 Xは、Y2の発行する広告情報誌『ぴあ』の深夜営業の店舗の広告に、自分の電話番号が誤って掲載された。そのため、頻繁に間違い電話がかかり、Xは、身体的・精神的な損害を受けたとして、Y2及びこの広告を企画制作したY1に対して、不法行為に基づく損害賠償請求(休業損害、慰謝料、弁護士...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六一年三月、中央大学商学部を卒業し、同年四月以降広島銀行に勤務していた者であるが、平成二年二月一九日、原付自転車に乗車して広島市内を走行中、前方を走行して停車した貨物自動車の運転手Y1が開けたドアに衝突して路上に転倒し、後方から走行してきた自動車に轢過されて死...
《解 説》
Xは、Yの設置する病院で入院治療を受け、横断性脊髄炎と診断された者であるが、同病院医師により実施された腰椎穿刺により馬尾神経を損傷された旨、また、Xの諸症状からして脊髄腫瘍を疑い、速やかに脊髄造影検査(ミエログラフィー)を実施して確定診断をすべき義務があったのにこれを怠り、Xの...
《解 説》
X(平成二年三月生)は、A男とB女との間に婚姻外で出生し、A男から認知され、その際、親権者はA男と定められ、現在、A男及びB女と一緒に暮らしている。A男には妻C、長女D、長男Eがいるが、昭和六二年八月ころから別居し、一か月に一回、生活費を渡すため、家に帰るだけである。X(法定代...
《解 説》
X及びA夫婦は、養子Yとの間の養親子関係を継続し難い重大な事由があると主張し、離縁請求訴訟を提起したところ(Aは訴訟継続中に死亡した)、第一審裁判所は養子縁組の破綻につきXらに主たる責任があったと認定し、Xの請求を棄却した(上告棄却により確定)。その後、Xは再度、Yとの養親子関...
《解 説》
Xを賃貸人、Yを賃借人とするおおとり丸等三隻の裸傭船契約が終了した際、これら船舶の修繕費の範囲及び負担者につき紛議が生じ、日本海運集会所の仲裁に付されたところ、平成元年一一月二〇日、Xの負担額を五〇七万円余、Yの負担額を一一九六万円余とし、YからXにその差額六八九万円余を支払う...
《解 説》
本件は、地方税法における軽油引取税の徴税の仕組みを利用して軽油の脱税取引(税を納入する意思のない取引)を敢行した犯行グループから軽油を購入した業者が、不納入罪の共同正犯として起訴されたものである。
軽油の流通過程においては、地方税(道路目的税)である軽油引取税が徴収される。即...
《解 説》
本件は、玩具の販売等を業とする被告会社二社それぞれの代表取締役である被告人二名が、その取扱い商品である消しゴムのケースの装飾として漫画主人公の姿態を無断複製して製造されたシールが使われていること、すなわち著作権を侵害する行為によって作成された物であることを知りながら、これら消し...
《解 説》
本件は、被告人が殺意をもって甲、乙両警察官に対しけん銃で銃弾一発を発射し、甲を心臓銃創による失血により死亡させて殺害し、更に同銃弾を乙の左下腿部に命中させたが乙殺害の目的を遂げなかったとの起訴状記載の訴因につき、検察官が、釈明等により、甲を狙って発射された銃弾がその身体を貫通し...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、東京都公文書の開示等に関する条例(以下「本条例」という)の中の事業活動情報に関する非開示要件の解釈・適用が争点になった事案である。本条例は、一応あらゆる公文書を開示することを原則としているが、例外的に、開示することにより事業者の競争上又は事業運営上...