最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、以前水俣湾周辺地域に居住し、後に関西地方に転居した原告らが、種々の症状等を訴え、この原因は、水俣湾周辺地域で魚介類を摂取し、メチル水銀が体内に蓄積されたことによる水俣病であるとして、被告チッソ株式会社(以下「チッソ」という)に対しては、同被告がメチル水銀化合物を含む...
《解 説》
一 Xらは、Yに雇用されるタクシー運転手である。Xらの勤務体制は、隔日勤務であり、所定労働時間が午前八時から翌日午前二時まで(このうち二時間が休憩時間)であった。Xらの賃金は、月間水揚高に一定率の歩合を乗じて得た金額を翌月五日に支払うというものであり、歩合の率は、勤務歴によって...
《解 説》
民法三九五条ただし書の規定による短期賃貸借解除請求訴訟をめぐる問題の一つとして、賃貸人(抵当権設定者・所有者)が賃借人に対し、短期賃貸借の解除を命ずる判決(解除判決)を理由として明渡請求をすることができるかというものがある。本判決は、この問題を積極に解した最高裁の判決である。
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《解 説》
本件は、幼児が町立中学校のテニスコートの審判台に上って遊んでいたところ、これが転倒し、その下敷きになって死亡したという事故につき、被害者の両親が、町に対し、国家賠償法二条一項に基づく損害賠償を求めた事案である。被害者が「審判台の後部から降りる」という本来の用法とは異なる用法によ...
《解 説》
本件は、Xが、その夫であるY1と別居する際、生後三か月の長女のZを連れて出たため、その七日後に、Y1がXの下からZを連れ戻し、以後、Y1の両親であるY2・Y3宅で監護養育するようになったため、Xが、人身保護請求として、Yらに対し、Zの引渡しを求めた事案で、従来の人身保護請求によ...
《解 説》
一 本件は、都市計画法三二条所定の同意及び協議が、抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するか否かが争われた事案である。都市計画法によると、開発許可の申請をしようとする者は、開発行為に関係のある公共施設の管理者の同意を得、かつ、当該開発行為等により設置される公共施設を管理することに...
《解 説》
一 本件は、時価に比して低額の譲渡価額で代表者個人に株式が譲渡された場合に、譲渡価額と時価との差額に相当する金額が法人税法二二条二項にいう無償による資産の譲渡に係る収益に該当するか否かが争われた事案である。本判決は、この点に関し、資産譲渡に係る法人税は、資産が有償譲渡された場合...
《解 説》
本判決は、区分所有建物である本件建物の管理規約によって、管理者としての職務に関する訴訟の当事者となる(区分所有法二六条四項)旨が定められている本件建物の管理者が、共用部分である本件建物の耐力壁に、縦〇・五メートル、横一メートルの開口部を設けた区分所有者と、同人からの賃借人を被告...
《解 説》
X(銀行)は、A社に対して金一億〇三八八万六五八〇円を貸し付け(本件貸金)、A社はY(保険会社)との間で被保険者をA社代表取締役B、保険金受取人をA社とする一時払変額保険契約二口(本件保険契約)を締結し、締結時に右貸付けを受けた金員で一括して保険料を払い込んだ。またXは右貸付け...
《解 説》
本件は、商品名「カビキラー」の名で知られる、噴霧式家庭用かび取り剤の使用によって健康被害を被ったとして、使用者XがメーカーYに対し損害賠償を求めた事件の控訴審判決である。Xは、Yに対し、主位的に、カビキラーの反復継続的使用により、カビキラーに含まれている次亜塩素酸ナトリウム、水...
《解 説》
一 本件は、勾留中の刑事被告人に関する新聞記事が名誉毀損となるか否か、名誉毀損の不法行為が成立するとして、その消滅時効が成立するか否かが争われた事例である。
Yは、その発行する昭和六〇年○月○日付けスポーツ新聞紙上に、「○○調書は白紙状態」とのタイトルで「幼児的手段―たとえば...
《解 説》
一 Xは、Yの経営する百貨店にテナントとして飲食店を出店していたが、XYの右関係は当事者間では賃貸借契約的なものとして意識され、Xがその店舗を改装するにはYの承諾が必要とされていた。当時(昭和六一年から平成二年)、Yにおいては店舗全体にわたる大がかりなリニューアル事業が進められ...
《解 説》
一 A(昭和六〇年五月一三日生)は、昭和六一年六月ころ、Yが開業する病院で心房中隔欠損を伴うファロー四徴症と診断され、同病院に通院して検査を受けていたが、同六二年八月二七日同病院に入院し、同年九月三日、ファロー四徴症に対する手術である心内修復術を受けた。Aは、右手術終了後、血圧...
《解 説》
一 本件は、Y設置の新居浜商業高等学校において、暑熱環境下でのバスケットボール部のクラブ活動の練習中により、脱水、熱中症状を来たして急性心不全により死亡した女子生徒Aの両親であるXらが、右死亡事故は、同クラブ活動の指導を担当したB教諭が練習中の生徒の心身の状況に応じた適切な措置...
《解 説》
一 本件の事案は、本決定が引用する原決定の理由第一「経緯」の欄にまとめられている。これによると、原告の養父で、被告の兄である亡小林誠吉は、三回にわたって公正証書遺言をし、被告は二回目の遺言に基づき、亡小林誠吉所有の不動産について、相続を原因とする所有権移転登記を経由した。これに...
《解 説》
本件は、アルツハイマー病に罹患し徘徊がひどく、犯行当日も警察に保護されて自宅に戻ってきた母親が、なかなか家に入らなかったため、被告人において同女を家の中まで引きずったり足で蹴るなどの暴行を加え、死に致した事案である。
裁判所は、被告人の妻も精神的に異常をきたしており、被告人が...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件はいわゆるバラバラ殺人事件であり、平成元年二月五日に被害者のものと思われる下半身が名古屋港海上を浮遊していたビニール袋内から発見され、続いて同二年五月二五日に白骨化した頭蓋骨が愛知県瀬戸市の国有林山中で発見されたが、死体の残部分は未だに発見されてい...
《解 説》
一 本件は、いわゆる「袴田事件」と呼ばれる住居侵入、強盗殺人、放火事件の死刑確定者の再審請求に対する棄却決定である。
昭和四一年六月三〇日午前一時五〇分ころ静岡県清水市内の味噌製造販売会社である通称「こがね味噌」商店の専務方から火災が発生し、鎮火後の焼け跡から家人四名(専務、...