最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、愛媛県今治市富田地区に所在する織田が浜と呼ばれる海岸の埋立てに関して同市住民XらがY市長に対し、地方自治法二四二条の二第一項一号により公金支出の差止めを求めた住民訴訟に関する最高裁による差戻後の控訴審判決である。本件訴訟の経過の概要は、次のとおりである。
第一審の...
《解 説》
本件は、昭和六三年七月二三日、遊漁船第一富士丸(第一富士丸)と潜水艦なだしお(なだしお)が浦賀水道航路の西側境界線を出た付近で衝突し、第一富士丸の乗客及び乗組員の合計三〇名が死亡し、一七名が負傷するに至った事故(本件事故)について、高等海難審判庁が、原告を受審人としてした裁決(...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、いわゆる三越事件の控訴審判決である。
三越事件というのは、当時百貨店三越の代表取締役であった甲が、出入り業者乙と共謀の上、その任務に背き、乙の利益を図る目的で、海外で買いつけた商品を輸入するに当たり、ことさら乙の経営する会社を経由するなどして、合計二〇...
《解 説》
X都は昭和二八年五月、Yに対して都営住宅の使用を許可し、Yはいずれ右住宅の払下げを受けられるものと信じ、自費で二回にわたり建増しをして居住してきた。Xは、Yの収入が最近の二年間引き続き高額所得者基準月額を超えたものと認定し、Yに住宅供給公社住宅の優先入居の斡旋等を行ったが、Yは...
《解 説》
一 X1とX2の子Aは、昭和五八年四月、Y1の設置する岐阜県立中津商業高校に入学し、同校陸上競技部に所属して、同校の保健体育担当教諭Y2の指導の下に毎日やり投げの練習に励み、県高校選手権大会で優勝するなどして活躍していたが、昭和六〇年三月二三日早朝、Y2の過酷な練習、暴力・暴言...
《解 説》
一 Xらは、本件に先立って二度にわたり、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、東村山市長であるYを被告として、同市が固定資産税額に満たない額の報償費を各所有者に支払って借り受けていた体育施設用地について、Yが非課税用途に供されている固定資産に当たると...
《解 説》
一 地方自治法によれば、普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払又は口座振替の方法によってこれをすることができるものとされ(同法二三二条の五第二項)、右の政令である同法施行令一六二条によれば、同条各号に掲げる経費については、概...
《解 説》
一 本件は、JR西日本の労働者二五名が、同社に対して、同社において国労の役員及び活動家に対する夏季期末手当の査定差別があったが、これは考課査定権の濫用又は不当労働行為に該当するとして、夏季一時金請求権又は不法行為による損害賠償請求権に基づく金員請求をしたケースである。
争点は...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五四年三月から交安タクシー株式会社にタクシー乗務員として勤務していた者であるが、昭和六〇年一月二二日出社し、タクシー流しの業務に従事中、脳出血を発症して自動車を電柱に衝突した状態で発見され、直ちに救急車で病院に収容されたが、同年二月三日、脳出血による心衰弱によ...
《解 説》
一 本件は、市立小学校及び市立中学校の教職員十数名に対する戒告処分の取消が求められた事案である。懲戒事由はいずれも職務命令違反であるが、具体的には、小学校の関係では校長就任式のボイコットであり、中学校の関係では校舎等落成式のボイコットであって、両者は事実関係を異にする。
二 ...
《解 説》
本件訴訟は、昭和五〇年九月に建築された地上八階、地下一階のマンションの管理組合法人Xから、その地下一階の駐車場部分と地上一階の事務所・店舗部分の区分所有者であるYに対し、Yの支払っている管理費が五回にわたる総会決議で定められた金額に充たないとして、不足分の支払いと総会で定められ...
《解 説》
本件は、X(出版社)がY(新聞社)とのXの出版物についての広告掲載契約の成立を前提に、その掲載をしなかったYに対し、債務不履行を理由として損害賠償を求めたもので、右広告掲載契約の成否が主要な争点である。
原審は、XとYとの間の契約の成立を否定し、Yの出版広告部の部員Bらが広告...
《解 説》
1 本件は、売買代金融資名下に金銭の融資を受けようとした者に名義貸しをした被告に対し、それと知らずに融資金の支払いを保証した原告信販会社が、求償請求する事案である。特徴的なことは売買の実体がなく、名義上の法律関係として、被告が販売店から自動車を購入する旨の売買契約、その売買代金...
《解 説》
Xは元国会議員であるが、Yの発行する日刊新聞中にXがかつて選挙違反で起訴され、自民党から三年間の役職停止を受けたことがある旨の記事が掲載されたため、名誉と信用を毀損されたと主張し、Yに対し、慰謝料として五〇〇〇万円の支払い及び謝罪広告の掲載を求めて出訴した。Xは、右記事の「選挙...
《解 説》
Y2の従業員で証券外務員であるY1は平成二年七月二七日Xに対して、「『インサイダーぽい情報』であるとして、A社が近く店頭取引から東証二部に上場するが、一〇〇〇株で一〇〇万円から一五〇万円位の利益を得ることができる」と断定的判断を示して、A社の株式の購入を勧め、Xはこれに応じて同...
《解 説》
一 訴外A(昭和四五年六月生)は、生後七か月頃に喘息様の発作が起こり、その後も喘息発作が続いたため、近隣の病院などに入通院して治療を受けていたが、昭和五三年一月、小学校に入学する機会に、Y1の開設する西奈良病院に入院した。
そして、Aは、その後同病院において、ステロイドホルモ...
《解 説》
一 Xは、昭和五二年一月、訴外Aと婚姻し、一四年間にわたる結婚生活の後、平成三年四月離婚したものであるところ、Aは、婚姻中他の男性と不貞行為に及んでYを懐胎、分娩したにもかかわらず、YがXとAの長男として戸籍に記載されていることが誤りであるとし、Yに対し、XとYとの間に親子関係...
《解 説》
本件事案の概要は、次のとおりである。X(中国国籍)は、夫Y(日本国籍)のXに対する暴行及びYの自己中心的な行動により同人らの婚姻が完全に破綻したと主張し、神戸地方裁判所に対し、Xを原告、Yを被告とする離婚及びそれに伴う財産的給付等の訴を提起した。
なお、Xは、査証で入国し、「...
《解 説》
一 本件は、XY間に、(1)YはX経営の病院の近隣で、①「解雇撤回」「職業病の責任をとれ」等と発言したり、又はハンドスピーカーを使用するなどして連呼すること、②「解雇を撤回せよ」「職業病の責任をとれ」その他Xの経営の病院に関する記事を記載したビラ配り行為をすること、をしてはなら...
《解 説》
一 本判決は、第一次第一審の大津地判昭54・3・8判時九四八号一三一頁が第一次控訴審の大阪高判昭56・12・15判時一〇三七号一四〇頁により破棄差戻しとなり、差戻後の第二次第一審判決である大津地判昭59・2・7判時一一二三号一四九頁に対する控訴審判決である。本件事案は、暴力行為...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、親権者変更申立事件を本案とする審判前の保全処分(家審一五条の三、家審規五二条の二)として、幼児引渡の債務名義を得たXが、執行官に対して幼児の引渡執行(直接強制)の申立てをしたところ、執行官は、幼児の引渡執行は執行官法一条所定の事務に該当せず、かつ、意思...