最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、公立中学校における生徒間のいわゆる「いじめ」が原因となって自殺した少年Aの父母X1、X2から、学校の設置者であるY2区に対しては在学契約又は国家賠償法一条一項に基づき、学校の費用負担者であるY1都に対しては同法三条一項に基づき、いじめをした少年B、Cの父母Y3ないし...
《解 説》
一 関西電力の高浜原子力発電所二号機(いわゆる高浜二号機)は、福井県高浜町にあり、昭和五〇年に営業運転が開始された発電機である。本件は、高浜二号機の蒸気発生器の伝熱管が老朽化によって破断し、これにより炉心溶融の危険があるとして、周辺住民である原告らが、関西電力に対し、高浜二号機...
《解 説》
一 現職の参議院議員である本件の被告人は、中日ドラゴンズ私設応援団などの活動により、名古屋地方を中心に人気を得ていたタレントであったが、民社党からの出馬要請を受けて、平成四年七月の参議院議員選挙に愛知選挙区(定数三)から同党公認で立候補し、第三位で当選した。ところが、当選直後か...
《解 説》
一 Yの理事長(代表権を有する理事)であったAは昭和六〇年四月七日に辞任し、同月一七日その旨の登記がされたが、その後同人は、自己の在任中にのみ使用されていたYの記名ゴム印及び理事長印等を冒用して約束手形三通を振り出した(額面合計二三一万円。振出の日は少なくとも理事を辞任してから...
《解 説》
一 申立人は、外国人であり、覚せい剤取締法違反等被告事件について通訳を介して審理を受けたところ、高等裁判所は、控訴棄却の判決において「当審における訴訟費用は被告人の負担とする。」との裁判をし、上告棄却により右訴訟費用の裁判は確定した。申立人は、その後、検察官から通訳人の旅費、日...
《解 説》
一 本件は、原告である受刑者X(なお、Xは本件訴訟継続中に刑の執行を終えて釈放された。)が、在監中に受けた懲罰処分等の本件各処分が違法であるとして、刑務所長に対し右各処分の取消しを求めるとともに、国に対し合計三六〇万円の慰謝料の支払いを求めた事案である。
Xは、刑務所内におい...
《解 説》
一 本件の経過は大要次のようなものであった。
1 X3、X4は昭和六二年一月二二日(以下、年の記載を省略するときは同年を指す。)暴力行為等処罰に関する法律違反の被疑事実で警視庁新宿警察署に逮捕された被疑者であり、二月一二日までX3は新宿署の留置場に、X4は中野署の留置場にそれ...
《解 説》
一 Xは、昭和五八年一二月、熊本県人吉市の下水道工事現場の歩道上を自転車に乗って通行中、歩道に掘った穴の上に敷かれていた道板の隙間に自転車の前輪がはまりこみ、そのため転倒して頚椎捻挫等の傷害を負った。
そこで、Xは、右事故現場は、歩車道の区別のある市道で、歩道に下水道工事のた...
《解 説》
一 本件は、旅客鉄道事業を営む被告の社員であった原告が改札業務従事中に管理にかかる現金を着服したとしてなされた諭旨解雇処分につき、右着服の事実を否定する原告が、諭旨解雇処分の取消と賃金の支払いを求めたものである。
二 もっとも、本件においては、原告が、改札業務従事中に、その着...
《解 説》
Xらは、Y日本電信電話公社(現NTT)の社員であるが、いずれも成田空港出直し開港阻止闘争の開催が予定されていた昭和五三年五月二〇日前後に年休を請求し、上司から時季変更権が行使されたが欠勤し、停職、減給、戒告等の懲戒処分を受けた。Xらは、右時季変更権の行使は違法・無効であると主張...
《解 説》
本件の事実関係の概要は、次のとおりである。Xの先代はY1に建物を売り渡した後死亡し、Xがその代金請求権の一部を相続した。Y1から右売買に関する事務の委任を受けていた弁護士Y2は、Xの所在が不明であったため、同人の戸籍附票等に記載された住所に連絡を取って所在を調査し、弁護士会館で...
《解 説》
一 X(埼玉県内の病院の院長)が昭和六一年に施行される参議院議員選挙において日本医師会の政治団体である日本医師連盟から比例代表選出議員候補者として推薦を受けようとして名乗りを挙げていたところ、日本医師連盟において推薦候補者を選出するための選挙期日の数日前、Y(医師、当時は日本医...
《解 説》
一 本件は、建築業者である甲(原告・控訴人)が、乙銀行(被告・被控訴人)の行員Aから、乙銀行が融資する予定のビル建築工事を斡旋するから右融資を円滑に行うために建築主B名義で乙銀行に預金をして欲しい、ともちかけられて、これを信じ、約一年の間に、計九回にわたり、乙銀行の本店営業部応...
《解 説》
一 X1は、平成元年二月三日、Yの開設する産婦人科医院で女児Aを出産したが、Aが仮死状態のままで生れてきたため、臍帯圧迫による臍帯血流の完全途絶によって無酸素症を起こし、重篤な脳障害を発症して、平成三年四月六日死亡するに至った。
そこで、X1とその夫X2は、医師Yには、(一)...
《解 説》
一 本件は、上顎無歯顎症例に骨膜下インプラント(人工歯根技術のひとつで、詳細は判示の傍線部分参照)による治療を受けた結果、咀嚼能力が健常者の一一パーセントとなる後遺障害を負った事案について、治療方法として骨膜下インプラントを安易に選択し、しかもその施術の時期方法を誤った点に歯科...
《解 説》
一 本件は、胎児摘出処置のため入院していた妊婦が子宮破裂により失血死した事案につき、妊婦が激しい腹痛を訴えていたにもかかわらず胎児摘出処置にともなう痛みにすぎないと軽信して診察を怠った点に産婦人科医師らの過失を認めた事案である。
二 訴外亡A子は、昭和六二年八月一八日、第二子...
《解 説》
一 本件は、当時Y市立中学校三年生であったXが、柔道の授業において負傷し、Yに対し、国家賠償法又は債務不履行に基づき合計四八七三万二四九二円の損害賠償を求めた事案である。
Xは、これまでに柔道を学んだ経験がなく、三年生に進級して初めて体育実技の授業で柔道を学ぶようになったもの...
《解 説》
XはAの自筆証書遺言により遺言執行者に指定され、その職務を遂行したとして家庭裁判所に報酬の付与を申し立てたところ、報酬額を五〇〇万円とする審判が下され、確定した。しかし、右審判には執行力がないため、相続人Yに対し、その相続分一八〇分の五七に応じた額である一五八万三三三三円の支払...
《解 説》
一 Xは、Yとの間で、昭和六一年五月から同年一一月までの間に、Yを被保険者として、三口の総合保険契約(保険金合計一二億円)を締結したところ、昭和六二年五月三〇日、保険の目的物と家財産が不審火により焼失するに至ったが、Yが保険金の不正取得を目的として右保険契約を締結したものである...
《解 説》
一 Xら及びYは、父Aの遺産について「遺産分割協議書」と題する書面を作成したが、その中には、(1)Yは母Bを扶養することを前提にA所有の不動産等を承継する、(2)右不動産が市に収用された場合には、YはX1、X2に五〇万円、X3に一五〇万円を分配する、(3)Yが右条件の一つにでも...
《解 説》
本件は、物上保証人所有名義の土地について担保権の実行としての不動産競売がなされた後、その競売手続における配当表に対し、右担保権の被担保債権の債務者である控訴人が配当異議の訴えを提起した事案であり、一審判決は、担保権の実行としての競売手続において、配当異議の申出ができる者は、差押...
《解 説》
A社は平成三年一二月二一日、裁判所に破産の申立てをし、同月二四日破産宣告を受け、Xが破産管財人に選任された。これより先、同年一〇月二四日、Aは国Y(大蔵省所管)に対してA所有不動産上にBを債務者として債権額五八五〇万九〇〇〇円の所得税(延滞税を含む)債務について抵当権設定登記を...
《解 説》
一 本件は、妹の結婚式に出席するため松山に来た被告人が、披露宴が終わった後の平成四年二月一日午後八時ころ、男性招待客の着替えのために用意されていたホテルの一室において、同じ披露宴に出席した愛知県に住む甲に対し、コカイン約一・五グラムを無償で譲り渡したというものである。
本件の...