最も長い歴史をもつ判例実務誌
①名古屋高裁金沢支部昭和56年4月14日判決 ②名古屋高裁金沢支部昭和60年12月19日判決(高検速報609号、本誌620号243頁)
《解 説》
一 本件は、第二次世界大戦後、シベリア等の旧ソ連邦領土内に抑留され、劣悪な環境のもとで過酷な強制労働を課せられた日本人捕虜Xらによる国Yに対する損失補償・損害賠償請求訴訟の事案である。原審の東京地判平1・4・18本誌七〇三号六三頁は、Xら六二名の請求を棄却した。右判決に控訴した...
《解 説》
一 大阪府では、公文書公開等条例(以下「本件条例」という。)が制定されており、大阪府の公文書を、府内に住所を有する者等の請求によって公開することとしている。本件条例八条四号は、「府の機関又は国等の機関が行う調査研究・企画・調整等に関する情報であって、公にすることにより、当該又は...
《解 説》
X1ら七名は、「天皇制を考える討論集会」を企画し、Y県が設置する婦人会館の会議室の利用方を申し込み、集会のチラシを多数の市民に配布した。しかし、Y県の知事は、右集会が同県総合福祉会館の設置、管理及び使用料に関する条例五条二号の「管理及び運営上支障があると認めるとき」に該当すると...
《解 説》
本件は、逆飛込み(両腕を頭の先へ伸ばし、耳を挾むようにしてそろえ、頭から先に水に入り、水中に手が入ると同時に指先を反らす飛込み)の授業中に中学三年の生徒がプールの底に頭部を打ちつけて負傷した事故につき、生徒及び両親が損害賠償を請求した事案である。一審は、担当教師の過失を否定した...
《解 説》
一 X1とX2の子Aは、平成元年一一月当時、埼玉県立吉川高等学校三年に在学中であったが、同月二日午前の休憩時間中、同学年の生徒Y1と些細なことからけんかとなり、Y1にナイフで胸部、腹部を突き刺されて死亡した。
そこで、Aの両親であるX1、X2は、加害者Y1に対しては民法七〇九...
《解 説》
一 Xは、平成元年一月当時、Y(JR東日本)の秋田支店大曲保線区の施設係として勤務していた者であるが、昭和六三年三月から昭和六四年一月までの間に、四回にわたり自己の社員用割引券で購入した乗車券を部外者に譲渡するという割引券の不正使用を行ったとして、平成元年一月三一日、懲戒解雇処...
《解 説》
一 Xは、機械等のリースを主たる業務とする会社であり、Y1とオフィスコンピューターについてファイナンスリース契約を締結し、Y2がY1の債務を連帯保証した。これに伴い、Y1はサプライヤーZから本件コンピューターのほかに顧客管理用ディスク及びコンピューターソフトウェア一式を導入し、...
《解 説》
一 Xは、化粧品等の委託販売業を営む会社であり、昭和二六年ころから、Y1との間で化粧品等の販売を委託する旨の商品委託販売契約を締結したうえ、商品の販売を委託してきたものであるが、Y1は、昭和五七年ころから、自ら健康食品及び化粧品を販売する二つの会社を設立し、Xの販売網を利用して...
《解 説》
一 Xは、夕食材料の販売事業を営むものであるところ、右事業に参加を予定していたAらから既払金の返還や損害賠償を求める三件の訴えを福岡地方裁判所小倉支部等に提起されていた。Xは、右三件の訴えについて、B弁護士に訴訟遂行を委任していたが、その後B弁護士が辞任したため、C弁護士を選任...
《解 説》
一 本件は、妻に対する生命保険金目あての殺人容疑で起訴された刑事被告人であるX(原告、被控訴人)が、新聞社の取材に応じてXに対して死刑判決が下る旨のコメントをした刑法学者Y1(被告、控訴人)と右コメントに基づく記事を掲載した新聞社Y2(被告、控訴人)を相手方として、右コメント及...
《解 説》
一 X1は、昭和六一年三月ころから、Yの経営する美容院に勤務していたところ、昭和六二年春ころ右美容院を退職したが、Yは、退職後の昭和六二年八月ころから、X1に対し、在職中に貸付けた金員の返済を迫るとともに、Yと情交関係をもつならば、一回五万円の割合で返済したことにするなど申し向...
《解 説》
Xは、Y会社の建設し所有する近隣の事務所ビル(地上二五・五メートルの八階建て)のためにテレビに電波障害が発生し、ゴーストが生じて映像が極めて悪い状態となる被害を被った。そこで、Xは、ケーブルテレビを利用することによって対処することにし、Yに対して、ケーブルテレビの加入料・工事費...
《解 説》
一 Xは、昭和五七年一一月二六日、名古屋市内を自転車に乗って進行中、Y1の運転する普通貨物自動車に衝突され(以下「第一事故」という。)、頭部打撲、腰部打撲等の傷害を受けたので、中京病院等に入通院して治療を受けていたが、昭和五九年一二月二二日、名古屋市内を夫の運転する普通乗用車に...
《解 説》
一1 本件は、抗告理由書を参考にして記載すると、A宗教法人(教団)は二勢力に分裂(内紛)し(抗告理由書では、昭和六一・四・一六分裂と記載されている)、二人の代表役員X・Yが選任されてそれぞれ正当性を主張したが、本件債権者(抗告人)XはA代表役員Yに対し職務執行停止等仮処分を申立...
《解 説》
一 Yは、A社の資金繰りを援助するため同社に対し融通手形(本件手形)を振り出し、同社はB信用組合で本件手形を割り引いたが、A社が事実上倒産したため、A社のB信用組合に対する一切の債務について連帯保証をしていたXが、B信用組合に対してA社の割引手形買戻義務を代位弁済し本件手形を取...
《解 説》
一 本件は、肝硬変に罹患し、英国で肝臓移植手術を受け、その後死亡した者の闘病記について、著作者が誰であるか等が争われた事案であり、その概要は次のとおりである。
Y1は、Y2に、Dの闘病記をY1を著者として出版することを許諾し、Y2はこれを書籍として出版した。ところが、Dの両親...
《解 説》
一 X1及びX2はともに旅行業者であり、Y1は航空会社、Y2はY1の子会社の旅行会社である。本件は、Yらが運輸大臣の認可運賃を下回る、いわゆる格安航空券およびかかる航空券を組み込んだパッケージツアー(両者を併せて「格安航空券等」という)を販売し、もしくは、その販売を黙認ないしは...
《解 説》
一 本件は、原告が、米国企業のM社に対して貸し付けた金員(以下「本件貸付」という。)につき、弁護士である被告らがそれぞれ一部保証をしたとして、被告らに対して右各保証金額の支払いを請求した事案である(原告は、予備的に右貸付が無効であるとしても、被告らはM社の不当利得返還義務を保証...
《解 説》
本件は、Xが建物を改装したことにより、従前のYの入居部分の賃料が不相当となったと主張して、建物賃料増額の確認及び支払を求めたケースである。Xは建物改装工事のためYに一時居室を渡す等の協力を求め、これに協力したことに対する対価として平成二年六月末日までの賃料は月額七万三〇一円とし...
《解 説》
本判決は、離婚に伴う財産分与及び慰謝料請求の実質を有する民事訴訟について、わが国の裁判管轄権を否定した東京地判平3・12・20本誌七九五号二五四頁の控訴審判決であり、原判決の理由をほぼそのまま引用して、Xの控訴を棄却したものである。
Xの請求は、Yの悪意の遺棄によってXは少な...
《解 説》
本件は、船舶の衝突により、所有船舶及びその積載貨物の全損、乗組員全員死亡、流出油の対策費の損害を受けたとする船主が、日本の船主責任制限法九五条及び油濁損害賠償保障法四〇条の船舶先取特権を根拠に、上記の損害賠償債権について弁済を受けるため、船舶の代わりに、船体保険により被保険者に...
《解 説》
本件は、K市計画局都市計画部風致課長等の地位にあって、風致地区内の現状変更の規制に関する事務等に従事していた被告人両名において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び市風致地区条例等に違反して山林を違法開発している疑いの濃厚な業者に対し風致課を含む市の関係五課によって行われる合同...
《解 説》
本件は、被告人の妻に当たる外人女性に対する略式命令謄本の送達がいわゆる補充送達として適法とされ、かつ正式裁判請求の法定期間の徒過は、申立人(被告人)及び代人である右女性の重畳的な責に帰すべき事由に基因するとして、正式裁判請求権回復請求が棄却されたものである。
類似の先例として...
《解 説》
一 本件は、単独犯と共同正犯を択一的に認定することの可否が争われた珍しい事案であり、本判決の判旨は、講学上も極めて興味を惹かれるものである。
二 被告人は、実兄(F)と共謀の上コンビニエンスストアで強盗を実行したとして起訴されたが、検察官の主張によると、右強盗の実行行為者は被...
《解 説》
X(日本電信電話株式会社)は、電話加入契約者であるY(大阪府内居住)に対し、平成三年二月から同年五月までの間の有料情報サービスシステム(いわゆるダイヤルQ2システム)料金合計六五万円余の支払いを求める訴えを提起した。これに対しYは、有料情報サービス契約が成立したというためには、...