最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 Yは、指定商品を第一類に属する化学品、薬剤及び医療補助品とする「ダイエー」の文字からなる商標等(本件登録商標)の権利者であるところ、Xが本件登録商標につき不使用取消審判(商標法五〇条)を請求した。なお、Xは、以前、指定商品を第一類に属する商品として、「ダイエー」との文字から...
《解 説》
本判決は、旧国鉄の高架下施設の賃貸借に借家法が適用されるのか否かにつき、これを肯定した原審の判断を最高裁が是認したもので、事例的な判断であるが、実務的な意義は少なくないと思われる。
事案は、旧国鉄の鉄道高架下施設の賃貸などを目的とする訴外会社から本件施設物の使用承認を受け、そ...
《解 説》
本件は、賃料増額請求に係る増額賃料の確認請求事件で、所有建物をYに賃貸していたAが、賃料増額の意思表示をして、適正賃料の確認を求める本訴を提起したところ(その直後に死亡したため、Aの長男であるXが本訴を承継している)、現行賃料に改定されてから右の増額請求まで一年半余しか経過して...
《解 説》
本判決は、処断刑の範囲を超えた罰金を科したことを理由に、非常上告をいれて、確定した略式命令を破棄し、自判したものであるが、その前提として、酒気帯び運転の所為(道交法六五条一項、一一九条一項七号の二)とその際の免許証不携帯の所為(同法九五条一項、一二一条一〇号)の罪数について、こ...
《解 説》
一1 本件は、株式上場会社(原告X)から証券取引法第一八八条一項に対する主要株主(被告Y)に対し同法一八九条所定の利益を得たことを理由に、会社相殺後の残額を請求した事案で、第一審ではいわゆる欠席判決により、X勝訴。
2 Y控訴
Yは、証券取引法第一八九条は、会社の役員・主要...
《解 説》
本件は、終日駐車を禁止されていた道路上に車両を駐車していたため、警察署長から近くの駐車場までこれを移動する措置を受け、署長からこの措置に要した費用として九〇〇〇円の納付を命じられ、かつ、その督促を受けた原告が、右納付命令につき、その無効確認を(出訴期間経過のため取消訴訟は提起で...
《解 説》
一 判示事項一について
公法上の当事者訴訟に関して行政事件訴訟法四一条は同法二五条を準用してない。そのため、公法上の当事者訴訟には、執行停止が適用されないと解する余地が生ずる(渡部吉隆=園部逸夫編・行政事件訴訟法体系中の藤田耕三「執行停止及び仮処分」四二九頁は、原則として執行...
《解 説》
一 本件は東京地判昭58・7・20訟月三〇巻二号二六一頁、判時一〇九一号三〇頁の控訴審判決(なお、原審ではXは裁判官に対して、国税犯則取締法二条に基づく許可状発布を処分としてその取消しを求めているが、これに関しては控訴されていない)である。東京国税局はA外四名に対する犯則嫌疑事...
《解 説》
一 本件は、昭和天皇の大喪の礼が予定されていた平成元年二月二四日に、大阪市立大阪城音楽堂(以下「本件音楽堂」という。)において集会開催を企画したXが、Y1(大阪市)教育委員会社会教育課長Y2らに、本件音楽堂の使用許可申請の受理を拒否されたため、Y2に対しては民法七〇九条に基づき...
《解 説》
Xは公正証書原本不実記載罪、不動産侵奪罪の容疑で警視庁立川警察署に逮捕され、住居も二回にわたり捜索等の強制処分を受けた。また、立川署警察官は警視庁記者クラブ加盟の報道機関に対してXの逮捕を発表した際、Xが歴史上の人物の孫の妻であることを広報し、その顔写真を提供した。そのため、X...
《解 説》
Xは、生命保険の募集等を業とするYの従業員であり、その従業員の一部で結成されたA組合の執行委員長として昭和四八年以降、組合活動に有給で専従していた者である。Yは、同五九年にA組合等との間で労働協約を締結し、組合専従者は専従期間中、無給休職とすることと定め、さらに同六一年九月に九...
《解 説》
一 X(原告)は、持ち帰り弁当等の加工販売店経営の総合指導およびそのチェーン店の総合指導を目的とする株式会社であるが、Y1、Y2(被告ら)との間で、次のような内容の本家かまどやチェーン店加盟契約を各々締結した。(a)Xは、加盟店に対し、本家かまどやの登録商標等の通常使用権を許諾...
《解 説》
一1 Xは昭和六二年一〇月甲・乙に対し七〇〇〇万円を貸し付け、その担保のため本件建物を含む乙ら所有の不動産について譲渡担保契約を結び、同六三年四月Xと甲・乙間で本件建物を含む不動産の所有権をXに確定的に移転し、清算金六五〇〇万円を支払う旨を合意した。Yは本件建物を占有しているか...
《解 説》
一 Xは、訴外Aに対する約束手形に基づく債権合計三六四万〇三〇〇円の執行を保全するため、AがYに対して有する右同額の本件預託金返還請求権の仮差押えを申請して、昭和六〇年四月一九日これを容認する仮差押決定を得たうえ、Aの相続人であるB外五名を相手方として、本件預託金提供の原因とな...
《解 説》
一 Y1は商品先物取引の取次業を営み、Y2は小豆の先物取引市場を開設しているものである。Xらは、Y1と小豆の先物取引をY1の外務員Aを通じて行ってきた。XらのY1との取引方法は、X1及びX2がその他のXらの分をとりまとめ、主としてX1がAを通じて注文するというものであった。Xら...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年二月、名古屋市内にある遊戯場を、その所有者から、賃料月額五〇万円、期間一年と定めて賃借し、右遊戯場においてパチンコ店を経営してきたが、昭和六三年三月に右遊戯場を買受けたYが、右遊戯場の賃貸借は一時使用のためのものであり、解約申入れにより終了したとしてXの賃借...
《解 説》
一 事案の概要
Aは戦前からBに本件建物を賃貸していたが、昭和二二年に死亡し、Y1~Y8(本訴被告・反訴原告)が賃貸人の地位を承継した。X(本訴原告・反訴被告)はY1の知己であるが、Y1に対して本件建物の賃借を申し込み、昭和二五年、Y1の代理人Bと賃貸借契約を締結し、現在本件...
《解 説》
XはA社の代表取締役社長であったが、経営不振による会社立て直しのため、Xらの有するA社発行済株式の約八六パーセントをY社(当時の代表取締役B社長)に有償譲渡することとし、これに付随してY社に対し、XがA社の銀行借入につき負担した個人保証債務(物上保証を含む)を肩代わりして引き受...
《解 説》
一 Y1は、私設市場におけるパラジウムの先物取引等を行うことを業とする株式会社であり、Y2はその代表取締役、Y3及びY4はその取締役であり、Y5及びY6はその従業員であり、Y9ないしY11はその設立発起人である。Y7は、パラジウムの私設市場を開設していた株式会社であり、Y8はそ...
《解 説》
一 本決定は、株券の受寄者が株券を喪失した場合に同人からの公示催告申立ができるかという論点に関する決定である。事案の概要は、原決定にあるように、本件株券は申立外のAからBに譲渡され、名義人がBであったところ、XはBから管理目的で右株券を寄託されたが、保管中これを喪失したため、B...
《解 説》
一 X1は、京都市左京区所在の本件マンションの管理組合であり、X2、X3は、右マンションの区分所有者であるが、右マンションの一階一一一号室を賃借占有するY1は、会津小鉄河村組の組長の地位にあり、二度にわたり他の区分所有者の同意を得ないで一一一号室を違法に改装して暴力団事務所とし...
《解 説》
一 本件は、姉弟(共同相続人の一部)間の争いであり、資金調達の関係で土地買受人が誰かが相続財産の取得部分と関連して争われた事例で(売主との関係ではない。おそらくは売主との関係では買受名義人となろうか)、主要な争点に必ずしも的確な証拠がないために、事実上の推定を活用して事実を認定...
《解 説》
一 ①事件は、不動産の登記請求権を保全するために行なわれた処分禁止の仮処分に際して、立担保額を二〇〇万円とする決定がなされたため、債権者が、担保金額が不当に高額であるとして即時抗告したのに対し、抗告審において原決定を変更し担保金額を一〇〇万円とした事案である。
担保命令におけ...
《解 説》
一 Xは、昭和五七年五月、訴外A会社に対して有する請負工事残代金債権を保全するため、仮差押の執行を申し立て、A会社の事務所、倉庫、工場内に保管してあった家具、建具、機械類を仮差押えして、その保管を債務者に委ねた。そして、Xは、昭和六〇年二月、A会社に対する仮執行宣言付き勝訴判決...
《解 説》
一 本件は、中核派革命軍の対人闘争部隊の班長であった被告人が、(1)同軍のメンバー数名で行った自動車の窃盗、及び(2)同じく数名で行った強盗致傷(千葉県収容委員会会長を路上で襲い、鉄パイプ等で殴打し金員を強取したもの)の各犯行につき、いずれも共謀共同正犯者として起訴された事案で...
《解 説》
本件は、大型ダンプカーを運転していた被告人が、渋滞の最後尾について、横断歩道をまたいで一時停車したのち、発進するに際して、横断歩行者の有無、動静に注意しなかった過失により、青信号に従って自車の直前を横断歩行中の被害者を自車に衝突させ、轢過し、死亡させた事実について、加害車両と被...
《解 説》
一 本件は、著名な実業家である被告人が、仕手筋として知られた人物と密接な関係をもって、同人物の扱う株について昭和六二年と同六三年に大量の取引を行い総額約五六億七八七一万円の巨額の利益を得ていながら、その株取引による所得について申告せず、右二年分の所得税合計三三億九三七四万円余を...
《解 説》
本件は、覚せい剤を注射して使用した被告人が、帰宅途中に気分が悪くなりサウナで覚せい剤を抜こうと考えてホテルに行きそのホテルで異常な言動に及んだことから、ホテルの従業員の通報で駆けつけた警察官によってとり押さえられて警察署に連行され、そこで尿を任意提出して緊急逮捕されたという覚せ...
《解 説》
判決文によると、本件における被告人の尿の任意提出、差押を巡る事実関係は、概要以下のとおりであった。
被告人は、一月二九日午後五時すぎころ、札幌市内のコンビニ店で心身の異常をきたし、通報により駆けつけた警察官が手配した救急車で病院の集中治療室に収容された。治療に当たった医師は、...
《解 説》
一 Xは、平成四年七月に執行された参議院議員通常選挙において愛知選挙区から立候補したものの、当選しなかった者であるが、同選挙に民社党公認候補として立候補して当選したA議員は、自己の当選を得る目的をもって、明治大学に入学したこともないのにかかわらず、同大学に入学した旨の虚偽の学歴...