最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件訴訟の経緯
本件は、愛媛県西宇和郡伊方町に原子力発電所(伊方原子力発電所)の建設を予定していた四国電力株式会社から、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和五二年法律第八〇号による改正前のもの。以下、「規制法」という)二三条一項に基づいてされた原子炉設...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件訴訟の経緯
本件は、福島県双葉郡富岡町、楢葉町に原子力発電所の建設を予定していた東京電力株式会社から、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和五二年法律第八〇号による改正前のもの。以下、「規制法」という。)二三条一項に基づいてされた原...
《解 説》
一 本件は、職業病罹患を原因とする損害賠償請求事件であるいわゆる日鉄鉱業松尾採石所じん肺訴訟である。
Xらは、Y1(日鉄鉱業株式会社)の松尾採石所においてY1との間の請負契約に基づいて坑道掘進等の作業をしていたY2(合名会社菅原工業)に雇用され、昭和四一、四二年ころから右作業...
《解 説》
一 A弁護士会は、その所属弁護士である原告に対し、退会を命ずる旨の懲戒処分を行った(懲戒事由とされた非違行為の内容については、原判決本誌七一〇号一二九頁参照)。原告は、これを不服として、被告(日本弁護士連合会)に対して審査請求をしたところ、被告は、A弁護士会のした右懲戒処分を変...
《解 説》
一 本件は、ひそかに猫の死がい等を被害者の執務机引き出し内などに入れておき、これを同人に発見させて畏怖させ、その執務を不可能ならしめた行為が、威力業務妨害罪に当たるとされた事案である。
本件の事実関係については、本決定が理由中で、一、二審判決が認定した事実の概要を摘示している...
《解 説》
首都高速道路公団は昭和六二年に首都高速道路の通行料金を五〇〇円から六〇〇円に値上げしたが、これに反対するグループが従来料金しか払わないで首都高速道路を通行したため、公団はこれらの者に差額分、割増金及び手数料の支払いを請求した。本件は、その請求を受けた原告らが、右値上げは、その必...
《解 説》
一 昭和五四年九月、鹿児島県の屋久島地方に台風一六号が接近襲来したが、その際、多量の降雨による山地崩壊により土石流が発生し、これが土面川と永田川に流れ込んだことにより河川が溢水し、民家一二棟が流出又は全壊するなどの災害(以下「本件災害」という。)が発生した。
そこで、本件災害...
《解 説》
本件は、地方労働委員会が発した救済命令を維持した中央労働委員会の再審査命令に対する取消訴訟の控訴審判決である。
本件救済命令は、Xが自己の経営する病院のパートタイムの看護助手(ナースコンパニオン)二名を雇止めにしたことが、労働組合法七条一号及び三号の不当労働行為に該当するもの...
《解 説》
一 本件債権者らはいずれもフィリピンにおいて電子工学ないし化学工学系の大学を卒業後、現地面接のうえ製糖業者である債務者に採用され、在留資格を「技術」とする査証の発給を受けて来日した外国人労働者である。債権者らは来日後約三か月間債務者において製糖作業に従事したが、右現地面接の際「...
《解 説》
XはYに本件建物を建築材料販売等ホームセンター用店舗として賃貸していたが、Yが本件建物の敷地内にXの明示の承諾を得ず、プレハブ建物、看板、広告塔等を建てたり、床を全面改装したりしたので、Yの行為は契約当事者間の信頼関係を破壊するものとして賃貸借契約を解除し、その明渡しと賃料の倍...
《解 説》
一1 本件は、いわゆるロスアンジェルスの妻銃撃殺人の被疑者として逮捕状の執行を受けた段階でした新聞報道について、現在刑事訴追を受けている被疑者甲(現同殺人事件について刑事被告人・別件の殺人未遂被告事件については一審有罪判決で無罪を主張して控訴中)の、名誉毀損を理由にする損害賠償...
《解 説》
一 X(昭和四二年一二月生)は、昭和六二年当時、京都市内の栄養専門学校の学生であったが、その頃、妻子のある男性Y(昭和三五年二月生)と知り合い、Yの妻と別れて結婚するとの言葉を信じて肉体関係を持ち、Yの子を懐胎、出産し、内縁生活を始めたが、突然内縁関係を破棄され、別居するに至っ...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年一二月二七日、普通乗用車を運転して、静岡県榛原郡御前崎町の道路上を走行中、前方を飛び出してきた幼児との衝突を避けるため急停車したところ、後続のY運転の普通乗用車に追突され、頚椎捻挫等の傷害を負った。
そこで、Xは、その後長期間入通院して治療を受けたが、てん...
《解 説》
一 X(当時一六歳の男子・高校生)は、無免許でオートバイを運転中、転倒事故を起こし、左足関節の上部に完全骨折等の傷害を負って、Yら先代(訴訟係属中に死亡し、Yらによる受継があった。)の経営する病院に入院した。
Xの治療にあたったYら先代は、入院の翌日、骨折部位を切開し、骨折部...
《解 説》
一 Xは、訴外A会社の代表者Bの実兄であるが、訴外C銀行から、Yの振出に係る約束手形五通(金額合計四三五〇万円)の交付を受けてこれを所持しているとして、Yに対し、内金三八〇〇万円の支払いを求めた。
これに対し、Yは、右手形は、YがA会社の資金繰りを援助する目的で、A会社宛に振...
《解 説》
一 Xは、京都府下精華町内の農業生産性の向上、農業生産の増大等を目的として設立された土地改良区Yの組合員であるが、Yの平成二年一〇月二四日開催の臨時総代会における理事の選任手続には、役員選挙規程三条、四条、五条、一〇条、一五条の違反があって無効であると主張し、右理事選任選挙が無...
《解 説》
Xは大阪府高石市を本店所在地とする会社であり、Yは韓国釜山市を本店所在地とする会社である。Xは、水道管の清掃に用いる機械類をYに賃貸したが、賃貸期間が終了したと主張し、賃貸借契約書上、日本国内の地裁又は簡裁を管轄裁判所とする旨の記載があるとして大阪地裁に機械の引渡しを求める訴え...
《解 説》
本判決は、暴力団道仁会A一家と山口組系F一家との対立抗争に起因して、甲一家組員を中心に、これに道仁会内の他の組の組員が加わって敢行した、一連の殺人未遂事件二件、殺人事件一件(ほかに、この抗争事件とは無関係の暴力行為等処罰に関する法律違反、覚せい剤取締法違反事件も併合審理されてい...
《解 説》
本決定は、五億円の献金を受けた自民党前副総裁に対する政治資金規正法違反被告事件の確定訴訟記録の閲覧を東京地方検察庁に請求し、不許可となった者が刑事確定訴訟記録法(以下、「記録法」という。)の定める手続に従ってその不許可処分の取消し変更を求めた準抗告申立事件についての決定である。...
《解 説》
本件は、長崎市長Yが市内の忠魂碑一四基を維持管理する保存会、遺族会等の団体に維持管理費の補助金として総額五六万円を支出したことが憲法二〇条一・三項、八九条に違反し、かつ、地方自治法二三二条の二に定める公益上の必要がなかったと主張する同市の住民XからYに対し、損害賠償の代位請求を...
《解 説》
一 土地に対する担保権実行としての競売事件において、債務者兼所有者及び賃借権を主張する第三者らが、執行妨害を目的として土地上に土砂を搬入し、建物を建築した。そこで原決定(東京地決平4・9・16本誌七九七号二五八頁)は、売却のための保全処分(民執五五条一項)として、土砂の撤去、建...