最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本件は、昭和五三年二月下旬から三月上旬にかけて、富山県内の女子高校生と長野県内のOLとが連続して誘拐、殺害された、いわゆる「富山長野連続女性誘拐殺人事件」の控訴審判決である。事件は、被告人甲と同丙とが、共謀の上、長野市内などで、みのしろ金目的拐取、殺人、死体遺棄、拐取者みのしろ...
《解 説》
一 いわゆる帝銀事件の死刑確定囚であった上告人が(なお、上告人は上告後の昭和六二年五月一〇日死亡)国に対し、上告人については死刑判決確定後三〇年を経過し時効が完成しているから、右時効完成後である昭和六〇年五月七日以降の拘束は違法であると主張して、国家賠償法一条一項に基づき、一日...
《解 説》
Xら二名は都議選立候補予定者の演説会の告知ポスターを所有者の了解を得て、駐車場の塀に貼っていたが、これを目撃した警察官らから職務質問を受けた後、自動車に乗せられて警察署まで連れて行かれ、同署に三〇ないし四〇分留め置かれた。本訴はXらから捜査の指揮に当たった警備課長Y2個人及びY...
《解 説》
一 本件は、岩手県立北陽病院に措置入院中の精神病院患者Aが、昭和六一年四月一九日、同病院の治療の一環である院外散歩の途中に離脱し、四月二三日、横浜市内で金員を奪取する目的で通行人Bを刺殺した事件について、Bの遺族であるXらが、北陽病院の設置者であるYに対し、国家賠償法一条一項に...
《解 説》
本件は自治体が施行者となる都市再開発事業についての案の変更をめぐる差止及び損害賠償の住民訴訟であり、事実関係は複雑であるが、判旨の理解に必要な限度で要約すると、次のとおりである。
F県K市においては、駅西口に小規模な低層建物が密集し、広場が狭小であったため、昭和四六年ころから...
《解 説》
一 Xは、昭和四二年に重機会社に入社し、以来、板金、製罐等の作業に従事していたが、昭和五五年三月、自動車駐車場の金属部品の穴あけ作業中、重さ二キロのボール盤のハンドルが頭上に落下し、その日から頭が重い状態が続いた後、激しい頭痛が起こり、くも膜下出血と診断されて手術を余儀なくされ...
《解 説》
一 本判決の認定した事実を判旨との関係で簡略に説明すると、以下のとおりである。①被告は、訴外会社の原告に対する債務を四五〇万円の限度で連帯して保証する旨の根保証契約を原告との間で締結し、右根保証債務を担保するために訴外会社振出の本件手形に裏書してこれを原告に交付した。②右根保証...
《解 説》
一 X(原告・被控訴人)は、昭和六三年二月九日、Y(被告・控訴人)との間において、「(一)Xは、Yに対し、その所有建物を昭和六二年五月一日から昭和六三年六月三〇日まで、賃料を一か月五〇万円として賃貸する、(二)解除その他の事由により契約を終了したときは、Yは直ちに右建物を明渡す...
《解 説》
一 Xは、不動産取引を業とする会社であるが、平成元年一〇月、Yらから、Yらの共有にかかる兵庫県三田市の山林を、代金一億八七一八万円で買受け、手付金二〇〇〇万円を支払い、国土利用計画法に基づく届出をして、「不勧告通知書」を受領したので、Yらに対し、右山林について所有権移転登記手続...
《解 説》
本件は、顧客(控訴人)が信販会社(被控訴人)から警備機器のリースを受けていたにもかかわらず、同機器を利用して警備を行っていた訴外警備会社が倒産したため警備(役務)を受けられなくなったので、リース料の支払を止めたところ、信販会社からリース料不払を理由にリース契約を解除し、残リース...
《解 説》
本件は、覚せい剤取締法違反(輸入)等の罪で被控訴人(被告)とともに共犯者として逮捕、起訴され、二年余の身柄拘束を受けた控訴人(原告)が、刑事事件の二審の無罪判決が確定した後に、同逮捕、起訴、身柄拘束は、捜査段階及び刑事公判廷における被控訴人(同人に対する刑事事件は一審で分離して...
《解 説》
一 Xは、昭和三五年以来プロレスラーとしての道を進み、平成元年七月の参議院議員選挙に立候補して当選し、スポーツ平和党の党首の地位にある者であるが、平成三年四月の東京都知事選挙に際し出馬する旨いったん表明したものの、後日出馬を断念した。
Yは、Xの右出馬断念に関し、日刊紙「東京...
《解 説》
一 Xは、平成元年二月当時、設計事務所の事務員として勤務していた女性であるが、同月四日午後、JR荻窪駅南口の地下一階に通ずる階段を降りかけたところ、後方より駆け降りてきた小学生Y1に激突され、階段下まで転落して、肋骨亀裂骨折等の傷害を負い、通院加療を余儀なくされた。
そこで、...
《解 説》
一 本件は追突事故であり、外見的に重大な後遺症があったわけではなく、むしろ他覚的所見のない耳鳴り症状を主たる後遺症とした被害者が自殺した結果、事故との因果関係が争いとなった事案である。
二 初期の学説は自殺という本人の意思決定を重視し、そこで因果関係が切断されるとみたが、次第...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年一月当時、建設関係のビル型枠工事を主な業務とする工務店に勤務していた者であるが、同月一〇日、同僚の運転する普通貨物自動車に同乗して作業現場に向う途中、センターラインを越えて進行してきた大型貨物自動車と衝突し、脳挫傷、頭蓋骨骨折等の傷害を負った。
そして...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年一〇月当時、下着関係の訪問販売会社の会長をしていたというのであるが、同月三一日、知り合いの運転する普通乗用車に同乗して倉敷市内を走行中、普通貨物自動車と側面衝突して腰部、陰部打撲等の傷害を負い、九六日間の入院治療を受けたと主張して、保険会社Y1~Y14に対し...
《解 説》
一 本決定は、競売事件において、債務者兼所有者A及び第三者Bが競売建物を内装工事の上、他に占有させようとしているとして、ABに対し、占有移転禁止、工事禁止、工事用資材の撤去命令及びその搬入禁止を命じ、かつ執行官に対し、その公示を命じた売却のための保全処分命令(民執五五条)である...
《解 説》
一 本件は、「第三者」に対する「執行官保管」の売却のための保全処分が認められた事例である。
事案の概要は、次のとおりである。平成四年三月、本件土地につき、競売開始決定がなされた。当時本件土地は更地で、道路沿いには、所有者が設置したと思われる鉄板の塀があった。所有者会社は、投資...
《解 説》
X(国)の機関である名古屋防衛施設局は、破産者である社会福祉法人Aが経営していた保育園の園舎を木造から鉄筋コンクリート造りに改築する防音工事費用の一部としてAに補助金等を交付することとし、昭和五二年四月までに総額八二九一万円余の補助金等を交付した。Aは右補助金等により鉄筋コンク...
《解 説》
本件は、被告人が、共犯者と共謀して、公正証書の原本たるべき電磁的記録である自動車登録ファイルに所有者等ではないA又はBの氏名で不実の新規登録又は移転登録をした上、これを備え付けさせたとして起訴された事案であるが、その事実関係の概要は、次のとおりである。
被告人は、友人Aに対し...
《解 説》
本件公訴事実は、被告人が常習として、被害者方において、腕時計一個を窃取したというものであるが、被告人はこれを否認し、犯人と被告人の同一性が争われた。
一審判決は、①被告人が、本件被害物件を所持しており、その入手経緯についての弁解が信用できないこと、②被害物件の入手の経緯につい...
《解 説》
一 本件事案の概要はこうである。京都市教育委員会がカセットテープを購入して、これに「君が代」を録音したうえ市内の小中学校校長に配付した。本件は、原告らが京都市住民として提起した住民訴訟である。即ち、原告らは、このカセットテープの購入及び配付は、憲法の国民主権に反する君が代を斉唱...