最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、大阪―神戸間の幹線道路をめぐり、沿道住民が往来する自動車の一定量以上の騒音や排ガスの差止と損害賠償を求めていた事件で、先に本誌六一九号一三九頁に掲載された神戸地判昭61・7・17の控訴審判決である。本件の争点は多岐にわたり、差止請求の可否、一律請求、被害認定の方法、...
《解 説》
一 Xは、Y2市の設置した高校の入学を志願したところ、調査書の学力評定及び学力検査の合計点において優に合格点に達していたが、Y1高校長は、Xがデュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患しているため、高校の全課程を無事に履修する見込みがないとの理由により不合格処分とした。本訴は、Xが、...
《解 説》
一 昭和六二年四月一二日奈良県議会議員(大和郡山市選挙区)一般選挙(これが所謂親選挙)が執行されたが、Xは、同月二七日右親選挙の執行が公職選挙法一四四条の二、二〇条等に反するとしてY(奈良県選挙管理委員会)に異議の申出をなしたが、これを棄却されたので、平成元年一〇月一六日大阪高...
《解 説》
一 本件事案は、次の通りである。
X(申請人、抗告人)は、昭和五五年五月二四日頃、進行性筋ジストロフィー(デュシェヌ型)と診断された者であるが、昭和六三年三月に、公立の小学校を卒業し、ついで、平成三年三月に同じく公立の中学校を卒業した。
Xは、A市立のS高等学校に入学するこ...
《解 説》
一 事案の概要
本件土地甲が所在するN村は人口約二五〇〇人の山間部の農村であるところ、宗教法人Aは、修行のためのキャンプ地として本件土地甲を開発し、ここにAの信者多数が短期間に各地から移転してきた。
本件は、Aの信者である原告らがN村村長である被告に対し、本件土地甲ないし乙...
《解 説》
相手方は、死刑判決確定者として拘置されている被参加人からの申立人ら外一三一名に対する外部交通(面会又は信書の発受)許可申請に対して、許可しない旨の告知をした。そこで、被参加人は、右告知が不許可処分にあたるとして取消訴訟を提起した。申立人らは、右訴訟において被参加人を補助するため...
《解 説》
一 事案の概要
Aは、F拘置支所に収容されている死刑確定者である。F拘置支所においては、死刑確定者が外部交通(面会、信書の発受等)の相手方として申請した者で同支所において許可した者から、当該死刑確定者に対する差し入れの願い出があった場合は、原則としてこれを許可し、他方、外部交...
《解 説》
一 F市は土地区画整理事業の施行者であったが、F市の市長は、同事業の費用にあてる等の目的で、保留地をTに売却したところ、F市の住民である原告らが、右売却は随意契約によることができないのになされたものであり、また時価より極めて安価になされたものであるから、違法な財産の処分にあたる...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五八年一月から、建築工事などを業務内容とする建設会社に勤務し、農繁期を除き、とび職、土方等として稼働していたが、昭和五九年四月、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症し、休業することを余儀なくされた。
そこで、Aは、労災保険法に基づき休業補償給付を請求したが、...
《解 説》
一 事案の経過
1 控訴審の認定した事実の要旨は次の通りである。
昭和五四年 東京神宮前の本件マンションが建築され、二階以上の階層は居住用に分譲され、一階部分の一〇一号室はもともと屋内駐車場として設計・建築され(一〇二号室は集会場)、本件マンション所有者Aは、一〇一号室を...
《解 説》
一 Xは、昭和五五年九月五日にA所有の旧建物(一)について、Bは昭和五六年一月一四日にA所有の旧建物(二)について、Aとの間で抵当権の設定を受け、その旨の登記を経由していた。
旧建物(一)(二)は、縦割連棟式建物の隣接した二戸で、床面積も価格も相等しく、区分所有の目的たる建物...
《解 説》
一 Xは、インテリヤ等の製造、販売を業とする会社であり、Yは、A製造のコンピューター機器等の販売を業とする会社である。
XはYとの間で、Yの販売するコンピューターR一〇〇〇ソフト付をリース会社Bから、リースを受ける旨の契約をした。その後、YはBに本件コンピューターを売り渡し、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告らの長男Aが自宅の二階の窓の手すりに身体を二つに折るようにしてもたれかかった状態で死んでいた事故について、原告らが、Aは被告が設置した家庭への引き込み電線により感電死したものであるとして、電気供給契約に付随する債務の不履行責任及び民法七一七条に基づ...
《解 説》
事案の概要は判決中にも説明されている通りであるが、公園で犬に噛まれて腕に負傷した原告Xが、主位的には被告Yの犬が噛みついたとして民法七一八条一項による責任を追及し、なお予備的に噛んだのが当時Xが連れていた犬であったのであれば、それはYの犬がXの犬に挑みかかったので、自分の犬を庇...
《解 説》
一 いわゆる「ロス疑惑」にからんで発表された数多くの記事のひとつである本件記事によって、Xが、その名誉を毀損され一五〇〇万円相当の損害を受けたとして、Yに対し、右損害額のうち五〇〇万円の賠償を求めたのが本件事案である。本判決は、本件記事がXの名誉を毀損するものであることを認め、...
《解 説》
一 Xらは、いずれも昭和二四年以来久留米市荒木町に居住していた者であるが、久留米市荒木に工場を有する三井東圧系の農薬製造会社から流出する農薬によって土壌、地下水が汚染され、それにより慢性気管支炎、角膜実質炎、過敏性大腸炎、自律神経失調症、脳波異常、皮膚炎等の健康被害を被ったとし...
《解 説》
Xらは、本件建物甲・乙の共有者であり、建物甲をA名義で実際はY1に賃貸していた。そして、Y1はY2に対して内装工事を請け負わせたところ、Y2がY1の構成員とともに床材の貼り替え工事中石油ストーブの火が床等に塗布されていた接着剤に引火して、建物甲が全焼し、その隣の建物乙が半焼した...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六二年四月当時、大宮市立東宮下小学校四年生であったが、同月二八日、二組合同で行われた遠足に参加し、埼玉県秩父市の県立「美の山公園」で昼食をとり終って遊んでいるうち、高さ約四メートルの崖から転落し、病院に運ばれたが、同年五月二三日、外傷性くも膜下出血により死亡し...
《解 説》
一 本件事案は、次の通りである。X1(相手方、原審申立人)、X2(抗告人、原審申立人)は、S(昭和六三年一月死亡)の生前に、Sと内縁関係にあったと主張し、Sの死亡と同時に内縁関係が解消したから、Sに対して、財産分与請求権があったとし、Sの相続人であるYら(抗告人)に対し、Sの遺...
《解 説》
本件は、ある会社の取締役が退社して独立したことに伴い、同会社からこれへの従業員の移転が違法な引抜行為かどうかが争われた事例である。
原告Xはゲームソフトの開発等を業とする会社であり、被告Yは昭和五五年以来その従業員、昭和六一年以来取締役であったが、任期途中の昭和六二年三月に退...
《解 説》
一 外国為替公認銀行である原告は、被告から外国向為替手形を買い取ったところ、右手形は、支払人(米国の会社)が米国で破産宣告を受けており不渡りとなった。右手形には輸出手形保険が付保されていたので、原告は保険者である政府から手形金額の八〇パーセントに相当する保険金の支払いを受けたが...
《解 説》
一 本件は、売却のための保全処分の申立が却下された事例である。
本件の申立人は、更地に抵当権の設定を受け、その実行としての競売を申し立てた差押債権者である。相手方(土地の所有者兼債務者)は、隣地所有者と共同して、隣地をあわせた土地全体の上に共同ビルを建築中である。申立人は、こ...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。不動産競売において、最低売却価額を四一二七万円、保証の額を八二五万四〇〇〇円と定めたうえ、期間入札が実施されたところ、異議申立人が入札書を差し出したが、その入札書には、入札価額の欄に八三〇万円、保証の額の欄に四一二七万円と記載されていた。執行官...
《解 説》
一 本件は、簡易宿泊所に止宿する被告人が、同宿者とドアの開け閉めを巡って口論となり、所携の改造シャープペンで同人の首筋を突き刺して傷害を負わせたという単純なものであるが、被告人の責任能力について、弁護人から、被告人は本件犯行当時精神分裂病に罹患しており心神喪失状態にあったとの主...
《解 説》
本件は、弁護士法五七条三号の懲戒処分としての退会命令を受けた弁護士が、必要的弁護事件の公判審理に立会ったため事件が原審に差し戻されたという珍しい事例である。
懲戒処分の効力発生時期については説が分かれるが、判例は告知によって効力が生ずるとしている(最判昭42・9・27民集二一...
《解 説》
一 監獄法四五条一項は、「在監者ニ接見センコトヲ請フ者アルトキハ之ヲ許ス」と規定し、監獄在監者と外部の者との接見について許可制を採用している。そして、刑事被告人として拘置所に勾留されている在監者の場合の右の接見許可の基準は、最高裁の裁判例(最大判昭58・6・22民集三七巻五号七...
《解 説》
抵当証券に記載のない期限の利益喪失特約の効力については、証券の設権証券性を認めてこれを否定するか、設権証券ではないとして、証券に記載のない背後の権利主張を認めるかについて、争いのあるところである。また、抵当証券の設権証券性を否定して証券に記載のない期限の利益喪失特約の効力が認め...