最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一、本件は、能登原発の設置工事に必要な環境影響調査について地元漁民の間に北陸電力がこれを行うのを拒否する動きがあったことから、県が三億二四六〇万円余の費用を負担して海洋調査を行い、その結果を北陸電力に提供して、環境影響調査書を通産省に提出させたことが、憲法一三条、二五条、九二条...
《解 説》
一、本件は、「校則違反のパーマで退学」などの見出しで新聞報道等されたいわゆる「修徳高校パーマ退学訴訟」に関するものである。近時校則をめぐる紛争がいくつか生じており、そもそも校則により生徒の生活・自由を規律することそれ自体の是非をめぐって議論が活発化してきている(座談会「校則問題...
《解 説》
一、Xは、Yの従業員であるが、昭和五九年一月配置転換命令を受けたのでこれを争い、右配置転換命令に基づく義務を負わないことの確認を求める訴えを提起したところ、昭和六三年七月敗訴の第一審判決を受けた。そこでXが控訴したが、Yは、同年八月、就業規則六五条一項一号(勤務成績がよくないと...
《解 説》
一、本件は、再審請求事件の特別抗告事件であるが、再審請求の対象となった有罪の確定判決は、南支派遣軍軍法会議が昭和一九年七月二六日、特別抗告申立人(再審請求人)に対して言い渡したものである。南支派遣軍軍法会議は、南支派遣軍(第二三軍)によって設けられていた陸軍の臨時軍法会議であり...
《解 説》
一、被相続人A女の遺産分割において、その非嫡出子である抗告人が嫡出子と同じ相続分を主張したのに対し、原審は、民法九〇〇条四号但書を適用して、抗告人の相続分を嫡出子の相続分の二分の一として遺産分割審判をした。抗告人は、右規定が憲法一四条、一三条に違反するほか、女子に対するあらゆる...
《解 説》
一、本件は、原告が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)一五条一項に基づいてした産業廃棄物の最終処分場の設置届について、栃木県知事が、産業廃棄物処理施設の設置等に関する同県の行政指導要綱が定める付近住民の同意を得ていないことなどを理由として、右届出...
《解 説》
Xは中国(台湾)人であり、昭和六二年一一月二五日、入国審査官から出入国管理及び難民認定法(平成元年法律第七九号による改正前のもの。以下「法」という。)四条一項四号(観光)に該当するとの在留資格及び九〇日の在留期間の決定を受けてわが国に入国した。Xは同六三年二月六日、日本語の習得...
《解 説》
大蔵大臣Yは、A社の主要株主(証券取引法一八八条一項により、発行株式総数の一〇〇分の一〇以上を有する者をいう。)のXから自社株売買に関する報告を受け、内容を検討した結果、Xが法一八九条一項に定める利益を受けたとして、Xに対し、同条四項に基づき、右報告書中、当該利益に関する部分(...
《解 説》
X(事故当時四歳)は、Y市の営造物である市民会館大ホールにおいて母姉と共にバレーの発表会を観覧していたが、そのうち、観客席との間にあるせり上がり可能なオーケストラピットの間隙から約四・五メートル下の地下室床面まで転落し、顔面裂創、左大腿骨下端粉砕骨折等の傷害を負った。Xは右ホー...
《解 説》
Yの警察官Aは、JR駅前の横断歩道上にエンジンをかけたまま停車していたXに職務質問をしようとして運転席に近づき、窓を叩きながら運転免許証の呈示を求めたところ、Xが応答せず、車をゆっくり発進させためAは警棒で強くフロントガラス及び天井端を叩いて車を破損したうえ、車外に出たXの顔面...
《解 説》
X1の夫であり、X2らの父であるAは、昭和六一年一二月六日午後六時五〇分ころ、Yが管理する幅員約六・一メートルの村道を原動機付自転車で走行中、幅員四メートルの橋から転落し、頚椎損傷により死亡した。Xらは本件道路には街路灯、幅員減少を示す標識、ガードレールの設置がなく、本件橋には...
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。
X(原告)は、Y(被告会社)の従業員であるが、昭和四五年二月から昭和五二年一二月まで約七年間、Yの経営する作業場において、トルエン・ヘキサン等の有機溶剤を含有するゴム糊を使用する作業(ガスメーター用膜の切り離し作業・ガス膜への糊塗り作...
《解 説》
一、本件は、マンションの管理に関する紛争が管理人の解任に至った事例である。
都内のマンションAはY社が建築、分譲したもので、Yがそのまま管理者として管理業務を行っているが、区分所有者有志の団体X1と区分所有者X2以下の者(合計三六名。全区分所有者中の七八パーセント、所有床面積...
《解 説》
一、Xは、訴外AのYに対する金銭消費貸借契約に基づく債務を担保するため、X所有の不動産に根抵当権設定登記及び所有権移転請求権仮登記をした。他方、YはA所有の不動産について譲渡担保権及び仮登記担保権を実行し、本件債務の一部に充当したため、本件債務の残額は四二億円となったと主張して...
《解 説》
Xはクラブの経営者であるが、同店でホステスAを雇用する際に、Yを保証人として三五〇万円を貸し付けた。本件は、Xが右保証債務の履行及びY自身の飲食残代金の支払として合計四三〇万円を請求したものである。
Yは、右貸付は公序良俗違反であると主張したが、その理由は、右貸付はAが前の店...
《解 説》
一、原告は建物建築の鉄骨組立工事に従事し、二階梁の上で作業していたところ、Bの操作していたクレーンの吊り荷が背中に当たり、約五・四メートル下に転落して受傷した。
本件建築工事は、Aが注文主から請負い、被告Y1はAから工事のうち鉄骨の加工・据付け工事のみを請負い、被告Y2はY1...
《解 説》
一、Xは、自動車の販売等を業とする会社であるが、昭和六一年一月、その所有の自動車を、同業者であるA会社に対し、代金三一〇万円、所有権留保特約付で売却し、Aは、その直後、右自動車を、Y1に対し代金三三九万円で売却して引き渡した。
しかし、Aが右自動車の代金をXに支払わなかったた...
《解 説》
本件は、昭62・7・23Yがマンション建築をしていた工事現場から鉄パイプ製足場が落下するという事故に遭遇して受傷したX(劇団四季正劇団員、昭17・10生まれ)が、Yに対して、逸失利益・慰謝料など総額一億七〇〇〇万円余の損害賠償請求をしたケースである。争点は、Yの責任の有無及び損...
《解 説》
一、原告は、被告の設置する高校第二学年に在籍中、校則で禁止されている運転免許を取得し、バイク乗車したことを理由に退学処分を受けた。本件は、原告から被告に対し、右退学処分は違法であるとして、慰謝料等損害賠償計約七五三万円が請求された事案である。
原告は、①運転免許取得・バイク乗...
《解 説》
昭和五〇年、当時医学生であったXはY女と婚姻外関係を有し、Yは翌年婚外子Aを出産した。その後XはAを認知し、Aの養育費、勉学費を負担している。しかしYは昭和五九年頃から養育費の増額や塾費用の負担を求めてしきりにX、その勤務先、上司、隣人等に働きかけるため、Xは勤務医としての立場...
《解 説》
Xは元モーターボート選手(モーターボート競走法に定める登録をした者)であったが、社団法人Y1(Y2が会長)から除名処分(本件処分)を受けて選手生命を絶たれた。そこで、XがYらに対して、本件処分は真実に基づかず、十分な調査をしないままされた不当なものであるとして、不法行為に基づき...
《解 説》
一、本件は、医師の説明義務とその範囲が争われた事例で、新聞でも報道された事件である。
原告Xは変形股関節症で左右両股関節についてY1医師の手術を受けたが、事態はむしろ悪化し、生活に大きな支障が出ている。そこでXは執刀医Y1と入院時の病棟主治医(実質的にはY1の補助医)のY2を...
《解 説》
X(昭23・11・7生まれ、女性)は、変形性脊椎症で、かつ第三・第四腰椎間に椎間板ヘルニア症状があり、第三腰椎右下端部に軟骨が飛び出している状態であったため、腰痛に悩まされていたが、整体治療をしているYの施療を受けることにした。Yの施療後Xは腰部激痛のため他の病院に入院したが、...
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。X1(原告。国籍中華民国。)は、夫X2(国籍中華民国)の死後、Y(被告。国籍中華民国。)がその戸籍上X1X2の養子になっていることを知り、X1X2がX2の生前Yとの間で養子縁組をしたことはない旨主張して、X1の住所地を管轄する神戸地方裁判...
《解 説》
XはY市営地下鉄の回数券を所持していたが、Y市は回数券の様式を変更し、市条例及び同施行規程に基づき、様式変更から六か月後は旧回数券を無効として取り扱った。本訴は、XからYに対し、主位的には旧回数券(一八七三円相当)の払戻しを、予備的には前記条例等が公序良俗に違反し、あるいはYが...
《解 説》
商標間の類非を論ずる場合には、先ずもって標識の属性自体として、外観、称呼、観念の三要素について、それぞれ離隔的、要部的に対比して分析するのが、従来、通例の手法とされてきた。
本件が判示する観念の共通とは、そうした標識自体が具える文字ないし文言の属性としての観念ではなく、取引者...
《解 説》
X(本訴原告)は、債務者AとY(本訴被告)間のブロイラー成鳥の売買契約が債権者を害するものであると主張し、Xの本店所在地を管轄する徳島地裁阿南支部(原審)に右契約の取消し及び価額賠償金の支払いを求めて出訴したところ、Yは民訴法三〇条及び三一条に基づき、Aの本店所在地である大分地...
《解 説》
一、本件は、日本の法人が米国に存在する米国法人を相手取った債務不存在確認請求訴訟において、日本の裁判所の国際的管轄権が争われた事例である。
東京都内に本店を有する原告Xが、米国加州に向けて製造・輸出した製麺機につき、右機械で負傷した米国人Aが、X及び右輸出に関与した米国法人Y...
《解 説》
本判決は、民訴法旧七四四条に基づく異議の申立てに対するもので、保全の必要性が認められないとして、債務者に対する債権仮差押決定を取り消した一事例である。
仮差押え及び仮処分においては、いわゆる被保全権利と保全の必要性が実体的要件となることについては、判例学説上ほとんど異論がなく...
《解 説》
本件事案の概要は、以下のとおりである。O(暴力団K組若頭補佐)は、U(K組若頭でR組組長)から、喧嘩の相手方甲(暴力団員)に対する報復を指示され、Uらと共謀の上、Uから拳銃と実包を受け取り、甲を殺害することとし、次いで、甲の所在が不明のため、代わりにこれと同じ系列の暴力団員乙を...
《解 説》
一 本件で起訴された事件は、空調会社の実質上の経営者である被告人が、(1)埼玉県上尾市の新駅開設にからむ代替地の買収につき便宜な取計らいを受けたことに対する謝礼として、上尾市職員に対し金一〇万円等を贈賄したというもの(以下「第一事件」という。)、(2)同県鶴ケ島町発注の建築工事...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。
(1) Y(相手方)は、S学校(神戸市立の工業高等専門学校)の校長であるところ、Xら五名(抗告人)は、平成二年四月に、S学校に入学した。(2) S学校では、その教科の一般科目として、保険体育が必修とされ、その具体的種目に剣道、柔道等の格技があ...
《解 説》
本件は、船舶の沈没(衝突によるものではない。)により貨物の損害等を受けたとする定期傭船者が、日本の船主責任制限法九五条の船舶先取特権を根拠に、定期傭船契約に基づいて有する上記の損害賠償債権について弁済を受けるため、船舶の代わりに、船体保険により被保険者に給付される保険金に物上代...