最も長い歴史をもつ判例実務誌
一、公職選挙法施行令五〇条四項に基づき特別養護老人ホームの職員からされた全入所者についての不在者投票用紙等の代理請求について、選挙管理委員会が形式的審査のみでこれに応じたことが適法とされた事例 二、都道府県選挙管理委員会の指定を受けている特別養護老人ホームの長の管理する投票を記載する場所において行われた不在者投票のうち四七票が無効であるとの主張が当選無効原因ではなく、選挙無効原因とされた事例
一、競売不動産の現況調査に関して執行官に過失がないとされた事例 二、不動産強制競売事件における執行裁判所の処分に対しては特別の事情のない限り国に損害賠償請求しえないとされた事例
市街地再開発事業に関する基本計画の作成について住民の意見を聞く手続がとられなかったとしても違法でないとして住民の損害賠償代位請求が棄却された事例
県警職員であった者が、いわゆる勧奨退職により県警の斡旋せる会社に再就職するにあたり、県警との間において、就職後四年で退職する旨約束したにもかかわらず、右約束による退職を拒否したために、得意先である県警の信頼を失って会社の支店業務に支障を来すような状況になったことを理由としてなされた支店長職からの解任降格処分が適法なものとされ、さらに右降格処分後の無断欠勤を理由とする通常解雇が有効なものとされた事例
使用者が交渉条件に固執したため、組合が重大な不利益を避けるためにやむなくこれを受入れて団交に応じていた場合に、交渉条件に固執することなく団交に応諾すべき旨の緊急命令に違反するとして過料一〇〇万円に処した原決定が維持された事例
東京計器チェックオフ禁止事件 チェックオフは、各組合員と雇用主との関係においては支払委任たる性格を有し、各組合員個人が雇用主に対してチェックオフの中止を申し入れた場合には、雇用主は特段の事情のない限りこれに従ってチェックオフを中止しなければならないとした事例
ネッスル霞ケ浦工場救済命令取消事件 組合が事実上分裂し、一方の組合に所属する組合員から使用者に対してチェックオフの中止を申し入れたにもかかわらず、使用者がチェックオフを継続し、チェックオフに係る組合費相当額を他方の組合に交付したことが、不当労働行為に当たるとした事例
一、抵当権の実行としての競売の申立てと被担保債権についての催告の効力 二、連帯保証債権を被担保債権とする抵当権の実行の申立てと主債務者及び他の連帯保証人に対する時効中断の効力
パブ店員の暴行により客が死亡した事故につき、客の粗野な言辞、挑発、受傷後の診療拒否を考慮して五割の過失相殺が認められた事例
商品先物取引業者の従業員の顧客(株式会社代表取締役)に対する勧誘行為及び受託業務の実施に違法性が認められないとして、商品先物取引業者の不法行為責任を否定した事例
商品先物取引業者の従業員の顧客に対する勧誘行為及び受託業務の実施に違法性があったとして、会社及び従業員に不法行為責任を肯定した事例(過失相殺五割)
商品先物取引業者の従業員の顧客に対する勧誘行為及び受託業務の実施に違法性があったとして、商品先物取引業者に不法行為責任を肯定した事例(過失相殺四割)
海外先物取引業者の従業員の顧客に対する勧誘行為及び受託業務の実施に違法性があったとして、先物取引業者・代表取締役・従業員に不法行為責任を肯定した事例
自家用自動車保険普通保険約款第一章三条一項三号の「記名被保険者の承諾を得て被保険自動車を使用または管理中の者」に該当するとして保険金の請求を認めた事例
一、昭和五六年五月出生の未熟児(在胎二六週)が未熟児網膜症で失明した事案について、担当医の眼底検査不十分による光凝固法実施の逸機が債務不履行とされた事例 二、未熟児網膜症に対する治療方法としての光凝固法の有効性(積極)について判示した事例
一、破傷風患者の死亡につき、順次その治療に当たった医師二名の創傷措置・抗毒素不投与に関する過失、及び抗毒素不投与・転医遅延と死亡との間の因果関係が否定された事例 二、カルテの改竄の有無が争われた事例
一、運送人が高価品の種類及び価額の明告を受けなかったが高価品であること及びそのおおよその価額について漠然たる認識を有していた場合における商法五七八条の適用の可否 二、運送人の重過失に基づき美術品が紛失したとされた事例 三、不法行為責任への商法五七八条の類推適用の有無 四、赤帽運送業者がその所属する組合から「赤帽」なる商標の使用の許諾を受けてする営業が組合の名板貸しとはいえないとされた事例
板橋宝石商殺し事件従犯控訴審判決 当初の殺害予定場所であった地下室に目張り等をした行為につき幇助行為に当たらないとされた事例
平和相互銀行事件 一、特別背任事件において、共犯者全員に共通する第三者図利目的に加え、共犯者の一人が他の第三者図利目的をも併有していたとされた事例 二、相互銀行の役員らによる担保不足の大口融資につき、相互銀行自身の利益を図る目的で行われたものであるから任務違背も図利加害目的もない旨の主張が排斥された事例