最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 男子職員を勤務成績や能力に基づく選考をせず、勤続年数を唯一の基準として一律に昇格させる措置をとりながら、同一の昇格要件を満たしていた女子職員には右昇格措置を講じなかったことが男女差別であるとして、不法行為を理由とする差額賃金相当額、慰藉料及び弁護士費用の損害賠償請求が認容された事例 2 右の場合に、女子職員が現実に昇格したこと等の確認請求が棄却された事例
1 勤務割による勤務予定日についての年次休暇の時季指定に対し使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずにした時季変更権の行使が適法である場合 2 勤務割による勤務予定日についての年次休暇の時季指定に対し使用者が代替勤務者確保のための配慮をせずにした時季変更権の行使が適法とされた事例
公立小学校における通知表の交付をめぐる混乱についての批判、論評を主題とするビラの配布行為が名誉侵害としての違法性を欠くとされた事例
地方公共団体が原価を著しく下回る認可料金を徴収してと畜場事業を行うことが昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の5にいう「不当に低い対価をもって」した行為及び昭和57年同委員会告示第15号(不公正な取引方法)の6にいう「正当な理由がないのに」した行為に当たらないとされた事例
男児の逸失利益を男子労働者の全年齢平均賃金額を基準として算定しホフマン式計算法により事故当時の現在価額を算定することの当否
梅田地下街地下鉄改札口前広場で長年にわたり無許可で新聞販売店を経営してきた原告らに対して、新聞販売台の除却を命じた処分につき、その執行停止の必要性が認められなかった事例
1 労働者災害補償保険法(労災保険法)による遺族補償年金給付請求について業務起因性がないとして不支給の処分がなされこれに不可争力が生じた後に、右請求と請求者・労働者及び災害を同じくする請求がなされたときは、特段の事情がない限り、一事不再理の法理が働く 2 労働者災害補償保険法42条の規定を消滅時効期間を定めたものと解することは相当でなく、支給決定を求める請求手続きの期間を制限したものと解するのが相当である 3 遺族補償年金給付請求が本来不適法なときは、これについて原処分庁、審査庁及び再審査庁のいずれもが実体判断をしているとしても、原処分の取消しを求める訴えの利益を欠く
5歳の男児が増水して道路上にまで水が溢れていた河川に転落して死亡した事故について、道路及び河川の設置管理の瑕疵が認められなかった事例
市街化調整区域内に飲食店を建築して営業しようとした者が計画を断念したことが、県職員の行政指導によるものであったとしてもその行政指導には何ら違法性がないとした事例
1 地方公営企業である大阪府営水道の管理者及び右管理者の権限に属する事務を処理するために設けられた同府水道部の職員らに対して提起された地方公営企業法34条、地方自治法242条の2第1項4号前段に基づく代位請求住民訴訟について、右管理者のみが同法条の「当該職員」にあたるとし、その余の前記職員らについては、当該支出についての専決権者を含めて「当該職員」にあたらないとした事例 2 右管理者の責任の根拠について、専決権者の責任がそのまま管理者の責任を基礎づけるとした事例 3 大阪府水道部の水道事業費から会議接待費としてされた支出について、被告ら主張のような内容の会議は行われなかったこと及び本件支出は右会議のために行われたものではないことの各立証があったとして、右支出は違法であるとし、これについての管理者の責任を肯定した事例
工事請負契約の変更契約が随意契約により締結されたことに違法・無効事由がないとして住民の町長及び請負会社に対する損害賠償請求が棄却された事例
1 結成直後の労働組合からの団交申入れに対し、その実態・当事者適格の把握、団交の手続確認等のため話合いを先行させようとしても、直ちに団交拒否に当たるとはいえないとされた事例 2 結成直後の労働組合からの組合事務室の使用・組合掲示板設置許可等の要求に対し、直ちにその許否を決定せずとも既存の労働組合との間での差別・支配介入に当たるとまではいえないとされた事例 3 郵政大臣から交渉委員の指名を受けていない郵便局長の団体交渉権限(消極)
東京都の特別区の権限に属する事務の一部を共同処理するために地方自治法284条1項に基づいて設立された一部事務組合が特別区の職員によって構成された労働組合との関係で労組法7条2号の団体交渉義務を負う使用者には当たらないとされた事例
1 航行作業中事故を起した船舶毀損の修繕工事代金債権について船舶先取特権の成立を否定し動産保存の先取特権を認めた事例 2 船舶保険契約上の損害保険金請求権に対して動産保存の先取特権による物上代位権行使の可否 3 供託された船舶毀損による保険金債権の配当手続において動産保存の先取特権に基く物上代位と右船舶保険金請求権に設定された質権との優先順位
民法395条但書に基づく賃貸借の解除と併せて債権者代位により賃借人に対し右解除判決の確定を条件として自己に対する明渡しを求める抵当権者の請求が認容された事例
1 間接事実による不動産売買契約成否の認定(消極) 2 当初契約時と比較して時価が約4倍に騰貴した不動産売買の予約につき、事情変更による予約の失効の主張が排斥された事例
買主が自己の使用に供するため買い受けた土地の価格が売主の履行不能後に騰貴している場合において、右騰貴は売主に予見できなかった地下鉄開通という特別事情によるものであるとして、損害賠償額の基準時を履行期とした事例
「投資ジャーナル」グループが提供する株式解説のテレビ番組内で同グループ関係者が株式電話相談に応じる旨のテロップが流され、一視聴者がこれを契機とした電話相談を経て、同グループの詐欺の被害に遭うに至った事例において、右番組・テロップを流したテレビ局の過失による不法行為幇助責任の有無(消極)
セルディンガー法による気管支動脈造影術に起因する血腫によって疼痛等が生じたとの主張につき、血腫と症状との因果関係が認められなかった事例
保険事故(火災)発生について保険契約者に重大な過失があったとして損害保険契約及び共済契約に基づく保険金・共済金請求が棄却された事例
夜間人家の立ち並ぶ道路を普通貨物自動車で後退中電柱に衝突した事故により頸椎捻挫等の受傷をしたとする運転者の保険金請求について、故意に作出した事故と認められ、請求が棄却された事例
土地所有権確認請求訴訟において土地を地番で特定することができない事情があり、現地復原性のある実測図面により特定する必要がある場合において、原告が右のような特定をしなかったため、請求の趣旨が特定されていないとして訴えが却下された事例
盗品の近接所持の事実及び目撃者の識別供述がいずれも犯人と被告人の同一性を肯定するに足りる証拠価値を有しないなどとして、無罪が言い渡された事例