最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 地方公共団体の議会のした「靖国神社公式参拝を実現せられたい」との決議が、憲法20条1項後段、3項、89条、4条、7条に違反し、右決議事項を印刷するための費用及び右決議を内閣総理大臣等に陳情するために要した旅費の支出が、違法な公金の支出にあたるとしてなされた右議会の議長及び右決議に賛成した議員に対する地方自治法242条の2第1項4号前段の訴えが却下された事例
2 地方公共団体の議会のした「靖国神社公式参拝を実現せられたい」との決議が、憲法20条1項後段、3項、89条、4条、7条に違反し、右決議事項を印刷するための費用及び右決議を内閣総理大臣等に陳情するために要した費用について、右議会の議長が不当利得をし、右決議に賛成した議員の不法行為により右地方公共団体は同額の損害を受けたとしてなされた地方自治法242条の2第1項4号後段の請求が棄却された事例
3 地方公共団体が靖国神社の春、秋季例大祭に玉串料の、みたま祭に献燈料の名目でした支出が、憲法20条1項後段、3項、地方自治法232条の2に違反する違法な公金の支出にあたるとして、右地方公共団体の長、福祉部長、福祉部厚生援護課長に対してなされた同法242条の2第1項4号前段の訴訟において、右長及び福祉部長について訴えが却下され、福祉部厚生援護課長について請求が棄却された事例
給与所得者の有する自家用自動車が、所得税法9条1項9号所定の生活の用に供する資産に該当するとして、右自動車の譲渡損失と給与所得との損益通算を否定した事例
インパクト・ローン(使途制限のない外貨貸付)取引で生じた為替差損等について、取引銀行に説明義務違反があるとして債務不履行責任を認めた事例
当座勘定取引契約を締結した銀行は、預金名義人振出の小切手を支払う資金が不足しているときは、右名義人にその旨通知すべき義務を負うが、その通知義務が尽くされたとされた事例
都立公園内の展望台で遊んでいた小学2年生の男子生徒の転落死亡事故につき、展望台の管理に瑕疵があったとして損害賠償の請求を認容した事例
左上腕骨骨折(2か所)の治療のため、観血的骨接合の手術を受けた患者が、左上肢機能の軽度の障害を残したことにつき、手術担当医に過失がないとして、原審の判断を維持し、控訴を棄却した事例
追突事故にあった自動車の運転者及び同乗者の訴える頸椎捻挫等の傷害につき、右事故との間の因果関係が認められなかった事例
「エホバの証人」に入信し、その行動や宗教活動が妻としての協力義務に背馳し、その限度を超えるもので、これが婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとした事例
離婚後、婚氏の継続使用を選択した者が、再婚して更に離婚し、復氏したが、その後生来の氏に変更しようとするにつき、戸籍法107条1項の「やむを得ない事由」を緩和して解釈した事例
1 料理飲食店内で提供される料理と商標法上の「商品」の該当の有無(消極)
2 料理飲食店内で提供される料理と不正競争防止法1条1項1号の「商品」の該当の有無(消極)
3 料理飲食店の営業につき、営業地域が異なることを理由に不正競争防止法1条1項2号の周知性が否定された事例
4 料理飲食店の商号使用につき、商法20条1項の不正競争の目的が否定された事例
土地売買契約における「公正な第三者を選定し、その斡旋、仲裁等により円満に解決する」との契約条項が仲裁契約条項とは認められないとされた事例
差押え後代金納付前に期間満了により更新された短期賃借権に基づく占有者に対する引渡命令の申立てが抗告審において却下された事例
動産売買の先取特権の効力は当該売買契約解除により生じた原状回復義務の履行不能による損害賠償請求権に及ばないとした事例
1 傷害致死の事案につき、初めの暴行については正当防衛が成立するが、後の暴行については防衛の意思を欠くとして、防衛行為に該当しないとされた事例
2 被害者の治療にあたった医師の措置に特段の過誤があったとは認められないとして、暴行と死との間の因果関係が肯定された事例
1 いわゆる「マントル」「ホテトル」の経営者から依頼されて、その宣伝用散らしを販売し新聞紙上に広告を掲載させた広告代理店経営者が、売春防止法6条2項3号所定の売春周旋目的の誘引罪の幇助犯として起訴された事案につき、公訴権濫用の主張が排斥された事例
2 売春防止法6条2項3号所定の売春周旋目的誘引罪の幇助犯の成否(積極)
1 「日本国有鉄道の管理に係る鉄道について、各列車の客車のうち半数以上を禁煙車とせよ」との請求が適法とされた事例
2 国鉄客車内における受動喫煙による被害が受忍限度内であるとして、国鉄に対する前記禁煙車の設置を求める差止(予防)請求及び損害賠償請求が棄却された事例
終戦時の混乱期の北朝鮮に残されたいわゆる残留孤児につき認知届はないが、日本人たる父が子を撫育するなど事実上の認知をしていれば、旧国籍法1条の「父カ日本人ナルトキ」にあたるとして日本国籍の取得を認めた事例