最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 核原料物質、核燃料物質および原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80号による改正前のもの。以下「原子炉等規制法」という)24条1項4号は公益と並んで原子炉施設の周辺住民の個人的利益をも保護目的とするとして、右周辺住民に原子炉設置許可の取消しを求める原告適格が認められた事例
2 原子炉設置許可の取消訴訟において原子炉施設の周辺住民が主張できる違法事由は原子炉等規制法24条1項3号および4号に係る事項であって、右周辺住民の個人的利益に関係のあるものに限られる。
3 原子炉等規制法24条1項4号に係る安全性の審査の対象は原子炉施設の基本設計に係る安全性に関する事項に限られる。
4 原子炉設置許可は専門技術的裁量処分である。
5 内閣総理大臣のなした原子炉設置許可が手続的にも実体的にも適法であるとされた事例
6 スリーマイル島原子力発電所事故の存在が内閣総理大臣のした原子炉設置許可の適法性を覆すものではないとされた事例
1 地方自治体の財産取得についての議会の議決と民法127条、130条の条件(消極)
2 地方自治体が土地買受けの仮契約を結んで、手付金を支払い、売買土地の一部および近接土地につき起工承諾を受けて橋を架設して供用開始をしたが、右契約につき議会が議決を与えなかった場合に、右手付金返還債務は、右工事承諾土地の原状による返還債務と同時履行の関係にあるとされた事例
商品先物取引による損失、収益が、事業所得の金額の計算上生じたものではなく、雑所得の金額の計算上生じたものとされた事例
いわゆる「三減三増」案による改正後の東京都の定数条例が公職選挙法15条7項に違反しており、右条例所定の議員定数による昭和60年7月7日投票予定の東京都議会議員選挙が違法なものであるとして、住民が、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、東京都知事に対し、右選挙のための公金支出の差止めを求める住民訴訟が、右選挙費用の支出自体が違法となることが明らかであると認められる場合に該当しないとして、棄却された事例
都市計画法上の開発行為の施行区域内に国有地が存する場合において、右土地の管理者である県知事が同法33条1項14号に基づいてした開発行為に対する同意につき、周辺地域に居住する住民は、右同意の無効確認を求める原告適格を有しないとした事例
X会社が訴外会社に対し、債務の支払いに代えてした代物弁済契約およびその後の右両社間の右代物弁済物件の買戻し契約につき、前者を譲渡担保契約、後者を担保物件の買戻し契約と解してされたX会社の法人税の減価償却額の主張を排斥し、右各契約のさいにそれぞれ右代物弁済物件につき所有権の移転があったものであり、右各契約は別個独立の契約であるから、買戻し価額に基づいて減価償却額の算出をすべきであるとされた事例
単に差押え・仮処分を免れさせるため他人に名義を貸し、土地について所有権移転登記を経由したにすぎない者は、地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得者」にあたらないとされた事例
1 課税処分の前提となる税務調査手続の違法は、違法性の程度が刑罰法令に触れたり、または公序良俗に反する程度に至ったような場合を除き、課税処分の取消事由とはならないとした事例
2 税務調査にさいして、当該係争事業年度の事業を調査対象とする旨告知していなかったとしても、特定年度の事業についての調査の承諾には、右特定年度と相前後する年度の事業に対する調査への受忍の意思も含まれるから違法はないとした事例
1 税務調査の手続上の違法は課税処分取消事由にならないとされた事例
2 課税処分取消訴訟において、納税者である原告が特別経費について金額を主張し、被告が推計の方法により、右原告の主張する金額より低い額を主張している場合において、原告主張の金額が認められないときは、被告主張の推計の当否を判断するまでもなく、被告の主張額を、当事者間に争いのない額としてこれを原告の特別経費と認めるのを相当とされた事例
1 税務調査の手続上の違法は課税処分取消事由にならないとされた事例
2 白色申告に対する所得税更正処分の取消訴訟において、係争年分の一般経費の推計方法として、同年分の同業者比率、次年度の本人比率、係争年分の3年前までの青色申告決算書に基づく本人比率による各推計方法が主張され、結局、係争年分の3年前まで5年間の青色申告決算書に基づく本人比率による推計が合理性があるとされた事例
1 市長および収入役の市に対する損害の賠償を求める住民訴訟と地方自治法243条の2所定の手続(長の賠償命令)との関係
2 同法242条2項ただし書の「正当な理由」があるとされた事例
3 市長が職員厚生研修費の名目で市の職員に対して個別に支給した金員が「やみ賞与」にあたり違法であるとされた事例
会社が貸倒れによる損失を蒙るとともにその貸付をした取締役に対し損害賠償請求権を取得したときは、貸倒損失額をそれが生じた事業年度の損金に、右損害賠償請求権を同年度の益金にそれぞれ計上して所得計算をすべきであるとした事例
前方注視を尽くしていても回避することができなかったと認められる歩行者との衝突事故につき、高速運転と前方注視義務違反の点がともに過失を構成するとされた事例
刑法234条の「業務」の該当性
(A)事件 町議会の審議・採決は公務であり、公務執行防害罪により保護されるから、刑法234条、233条にいう「業務」には含まれないとの主張が排斥された事例
(B)事件 臨時町議会の議事は威力業務妨害罪の「業務」に該当しないとの主張が排斥された事例
内ゲバ殺人事件について目撃者の犯人特定に関する供述の信用性に疑問があるとして無罪を言い渡した一審判決を破棄し、有罪判決を言い渡した事例