最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 死刑の確定裁判を受けた者が刑法11条2項に基づき拘置されている場合における死刑の時効の進行の有無
2 死刑の確定裁判を受けた者につき長期間にわたる拘置を継続したのちに死刑を執行することと憲法36条にいう「残虐な刑罰」
1 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産および物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣
2 物上保証人がその所有の不動産および債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で代位権不行使の特約をした場合と物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者の優先弁済を受ける権利
3 債権の一部につき代位弁済がされた場合の競落代金の配当についての債権者と代位弁済者との優劣
共同相続人の1人が他の共同相続人の一部の者を後見している場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人みずからの相続の放棄と同時にされたときは利益相反行為にあたらない
挙証者の被疑者段階で作成された検察庁保管の捜査書類は民事訴訟法312条3号後段の法律関係文書にあたると解する余地があるが、同法272条、281条1項1号の類推適用により提出義務を負わず、文書提出命令を発することはできない
精神衛生法24条にもとづく通報の前提として作成された警察官の捜査報告書が民事訴訟法312条3号前段の利益文書にも、後段の法律関係文書にも該当しないとされた事例
代位弁済につき正当の利益を有しない第三者が債務者の意思に反して債務を弁済することによる債務者に対する求償債権の取得と破産法104条4号ただし書の「法定ノ原因二基クトキ」(消極)
恐喝被害者の捜査機関に対する犯罪事実の申告が加害者に相当な嫌疑があったとして身柄拘束され起訴猶予となった加害者の右被害者および東京都に対する損害賠償請求が棄却された事例
家庭用給湯器のゴムホースが外れて屋内が浸水するという事故について、右給湯器を設置した電化製品販売修理・水道工事業者の不法行為責任が認められた事例
公の営造物である防火水槽へ7歳3ヶ月の男児が転落死亡した事故につき、地方自治体に右水槽の設置管理に瑕疵があったとされた事例
1 電力会社が袋地所有者のため、隣接囲繞地内において電気引込線架設工事を行うにつき、相隣関係の規定の趣旨を類推し、袋地所有者から囲繞地所有者に対する右工事の妨害禁止請求が認められた事例
2 袋地所有者から囲繞地所有者に対する囲繞地内における排水管設置工事の妨害禁止請求が、下水道法11条、民法209条、210条、220条の類推適用により認められた事例
3 右につき囲繞地所有者の不法行為責任を認めた事例
砂糖の海外商品先物取引につき詐欺的勧誘等の違法行為があったとして会社・会社役員および担当従業員らの共同不法行為が認められた事例
1 宗教法人法21条1項所定の利益相反事項に該当するとして仮代表役員による訴提起が適法とされた事例
2 同法24条但書所定の善意の相手方または第三者には善意であっても重大な過失のある者は含まれないと解し重過失を認めた事例
寺院の代表役員の地位不存在確認および代表役員就任登記抹消登記手続請求につき法類関係消滅により当事者適格が否定された事例
保証人の事後求償権について代位弁済前に予め作成された公正証書も求償し得る最高限度額が一定額で明示されている場合は債務名義としての効力を有する
土木作業中の従業員の死亡事故につき、使用者の安全配慮義務違反の責任が認められたが、従業員にも過失があったとして逸失利益の算定にあたりこれを4割斟酌した事例
大量の架空転入を疑うべき事情があるのに、選挙管理委員会が転入者の住所の調査を一般的に怠ったとして、その選挙人名簿による選挙が無効とされた事例
1 地方自治体の財産取得についての議会の議決と民法127条、130条の条件(消極)
2 地方自治体の財産取得の仮契約にあたり、契約につき議会の議決がなければ効力を生じないことを説明しなかったことは違法ではないとした事例
公証人が代理人の嘱託による公正証書作成後、公証人法施行規則13条の2第1項による本人に対する通知を怠った過失はあるが、損害発生との間には相当因果関係がないとされた事例
不和別居中の妻(母)から夫(父)に対する1歳4か月の幼児(4か月前に夫が引取り)引渡しの人身保護請求が容認された事例
就業時間外に職場外で、会社の方針である原発に反対する等の趣旨を記載したビラ配付行為を、就業規則に規定する事由に該当するとしてなされた休職等の懲戒処分が有効と認められた事例
腰椎穿刺を行わず髄膜脳炎等の可能性を排除し患者に対して行った医師の処置等が、債務の不完全履行にあたらないとして請求が棄却された事例
甲乙車が衝突し乙車の乗員が負傷した交通事故の原因につき甲車の不注意による発進、丙車の甲車に対する追突、それらの競合のうちいずれか確定できない場合に民法719条1項後段によって甲・丙車の各運行と乙車の乗員の損害との間の因果関係を推定した事例
交通事故の被害者が頭部外傷の後遺症で異常酩酊となって傷害事件を起こしたと主張する損害賠償事件について、右被害者の酩酊は頭部外傷の後遺症に基因するものとは認められず、かつ、被害者の慢性的な頭重感等が右交通事故と因果関係はないとして請求が棄却された事例
交通事故にあったサラリーマンに現実の収入の減少がない場合において、出社時間を早め、退社時間を遅らせるなどの努力をしていることを考慮し、事故後10年間につき15パーセントの逸失利益を認めた事例
交通事故の被害者の手の振戦、視力障害等の症状について、交通事故との因果関係につき証明不充分としながら、強制保険上の査定どおりの後遺症が残ったものと認めて損害額を算定した事例
業者のゴミ収集車がゴミ投棄に来た老女を轢過死亡させた事故につき廃棄物処理業務を当該業者に委託していた地方自治体(市)の運行供用者責任を認めた事例
追突事故の被害者が、自己の状態を悲観して自殺した場合に、被害者の受傷と自殺との間に相当因果関係を否定することは妥当でないとして、事故による受傷の自殺への寄与度を考慮し、被害者の被った損害のうち死亡による損害について、その4割の賠償を認めた事例
被害者(男・54歳)の後遺障害による逸失利益について、既存障害を考慮し、12年間にわたり70パーセントの労働能力の喪失を認めた事例
自家用自動車保険普通保険約款の特約条項である他車運転危険担保特約中の免責条項にいう「被保険者が、他の自動車の使用について、正当な権利を有する者の承諾を得ないで、他の自動車を運転しているとき」に生じた事故にあたるとした事例
火薬類取締法17条1項により、適法に譲り受けたとみられる火薬類を違法目的で所持するに至った場合と同法21条3号に定める法定の除外事由の存否(積極)
父親からの申立てによって、今次戦争による生死不明者である、いわゆる中国残留日本人孤児に対する戦時死亡宣告が取り消された事例
都市計画法に定める市街化区域であるとともに宅地造成等規制法に定める宅地造成工事規制区域内においては、崖崩れ防止のための規制は右各法に基づいてなされるべきであって建築基準法は適用されないから、同法19条4項は建築主事の確認の対象とはならないとされた事例
1 町の自治会の総会の席上での行き過ぎた発言について、それぞれ相手方に対する名誉毀損による不法行為が成立するとして、双方に各2万円の損害賠償を命じた事例
2 名誉毀損による損害賠償請求の一部は認容されたが、弁護士費用は右の名誉毀損による不法行為と相当因果関係がないとして否定された事例