最も長い歴史をもつ判例実務誌
公職選挙法13条、同法別表第1および同法附則7項ないし9項による選挙区および議員定数の定めは、昭和58年12月18日の衆議院議員総選挙当時、選挙区間における選挙人の投票価値の較差の大きさの点で選挙権の平等に関する憲法の要求に反し、かつ、そのような較差が存するにもかかわらず憲法上要求される合理的期間内に是正されなかった点において、憲法に違反していたものである
私立高校と公立高校との学費の格差は、国が憲法26条、教育基本法に定める必要な立法、予算上の措置義務違反によるものであるとして、国に対し求めた損害賠償請求が棄却された事例
当座勘定取引契約を解約した銀行が顧客から未使用手形用紙を回収しなかった場合において顧客が第三者に対し右手形用紙を用いて手形を振り出して加えた損害につき銀行が不法行為責任を負わないとされた事例
1 破産者から破産宣告前に指名債権を譲り受けた者が右譲受を破産管財人に主張するために対抗要件を具備することの要否
2 民法施行法5条4号にいう「確定日附アル証書中二私署証書ヲ引用シタルトキ」の意義
貸金業者が、借主名義の借用証書、委任状、権利証、印鑑証明書等を所持しているにかかわらず、金員授受があったとは認められないとして金銭消費貸借契約の成立が否定された事例
指名債権の譲渡契約を解除した場合に、その解除による債権の復帰をもって債務者に対抗するには、右譲渡契約解除の事実を、譲受人から債務者に通知するか、あるいは債務者においてこれを承諾することを要するものと解すべきである
約束手形金請求訴訟の係属中、原告から手形金債権を譲り受けた者が被告のみを相手方としてなした民訴法73条による参加申立てを適法とした事例
宗教法人における特定人の法主たる地位の存否が寺院付住宅明渡請求の当否を判断する前提問題となっている場合に宗教上の教義の解釈に立ち入ることなく法主たる地位の存否についての判断ができるとした事例
本人から実印の交付を受けた者が権限踰越の代理行為をした場合において、相手方に、右代理行為をした者に代理権ありと信ずべき正当な理由があるとはいえないとされた事例
鉄筋3階建の分譲マンションを建築する目的で買い受けた造成宅地の地下にビニール片等の廃棄物が混入していたとしても、杭打工法により予定どおりのマンションを新築して買受目的を達している場合には、右造成宅地に瑕疵があるとはいえないとされた事例
交通事故被害者である患者に対する診療の必要性について検討のうえ、診療病院の事故加害者に対する代位請求権による保険金請求権の代位行使としての保険会社への請求、および、同会社の同病院に対する保険代位による利得返還請求が各認容された事例
破産宣告後に破産法人に課された予納法人税、法人府民税、予納事業税、法人市民税、過少申告加算税債権と破産法47条の財団債権(積極)
電気機器用キャビネットの製造会社で、原材料のバッフル板の切断の作業に従事中負傷した事故につき、使用者たる会社に、原告ら作業員に右作業機械の危険性とその対処する措置を教示するか、助手を1名配置すべき安全保証義務があるのに右義務に違背したとして損害賠償責任が認められた事例
打刻機による鋼材打刻作業中の作業員が、シリンダーと受板Vブロックの間に手を挟まれて四指挫断創の傷害を受けた事故につき、同僚の右打刻機の操作に誤りがあったと認めることができないとされた事例
腰椎穿刺等の不実施ないしCTスキャン再撮影の懈怠からクモ膜下出血の確認ができず転医等の措置も講じないまま経過を観察した医師につき債務不履行等の責任を肯定したが、患者の死亡の結果に対する起因力を10分の6としてその責任範囲を限定した事例
「後遺症の等級はA病院の診断書に依る」と記載された示談契約書が、その後に受診した病院での治療分を含み原告に生じた全損害を対象に成立した示談であると認定した事例