最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和52年法律第80条による改正前のもの、以下「原子炉等規制法」という)24条1項は公益のみならず原子炉施設周辺住民の個人的利益をも保護目的とするとされた事例
2 原子炉施設から数キロメートルないし60数キロメートルの範囲に居住している者らに原子炉設置許可処分の取消を求める原告適格が認められた事例
3 原子炉設置許可処分の取消訴訟において原子炉施設の周辺住民が主張できる違法事由は原子炉等規制法24条1項3号中の「技術的能力」及び4号に係る事項に限られる
4 原子炉設置許可の安全審査の対象は原子炉施設の基本設計ないし基本的設計方針に係る事項に限られる
5 原子炉設置許可は裁量処分であるが、その裁量性は狭くて裁量権の行使上の制約が存し、右裁量の合理性の立証は被告が負担すべきである
6 内閣総理大臣のなした原子炉設置許可が手続的にも実体的にも適法であるとされた事例
7 スリーマイル島原子力発電所事故の存在が内閣総理大臣のなした原子炉設置許可の適法性を覆すものではないとされた事例
離婚に伴う財産分与請求を認めない大韓民国の民法を適用することが法例30条にいう「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗」に反するとして許されない場合
信用協同組合が非組合員の債務の保証のため重畳的債務引受をなした場合、債務引受は組合の目的業務に含まれ、組合は善意の相手方に対し員外取引を理由にその効力を否定することは許されないとされた事例
不動産所有者と仮登記等の権利者との間で成立した金員支払いと引換えに仮登記等の抹消登記手続をすべき旨の裁判上の和解に先立って不動産所有者が仮登記等の権利者に対し右金員の支払義務を負う旨の裁判外の和解が成立したものと認められた事例
賃料増額請求につき、当該請求についての調停事件における鑑定書を採用せず、消費者物価スライド法を採用して右鑑定結果よりも低額の賃料を認定した事例
レコード会社Yがレコードを製作販売するにつき協力して企画者の地位を得たXが、右製作協力行為の謝礼としてYから製作協力印税の支払いを受ける旨の約定をYとの間でした事実は認められるが、YがXの右製作協力行為に対し、右謝礼とは別に企画料を支払う旨の契約を締結したとの事実は認定できないとされた事例
抵当権者の民法395条但書に基づく建物短期転貸借の解除請求が認められる場合でも、同建物転借人に対する明渡請求は認められないとした事例
父に対する死後認知の訴訟において、訴訟参加をなし得る相続人が責めに帰すべき事由なくして認知訴訟の係属を知らず、参加その他の方法で事件の審理に関与する機会を与えられなかったときは、民訴法420条1項3号、425条の類推適用により再審請求をすることができる
売主甲が買主乙の代金不払いを理由に売買契約を解除したのちに乙が目的物件を丙に転売した場合における丙からの引渡請求に対する甲の留置権の成否(積極)
自筆証書遺言の作成に第三者の手が添えられた場合でも、添手が遺言者の筆記を容易にする程度に止まり、筆跡鑑定によって遺言書の筆跡が遺言者の筆跡であることが認められるときには右遺言は、有効であるとされた事例
不動産に関する受任事件が訴訟上の和解により終了したのち、弁護士が同事件の事後処理として当該不動産所有者の代理人に金銭を貸与した行為につき民法110条の「正当理由」がなく表見代理は成立しないとされた事例
農業協同組合がなした組合員外の者に対する債務の保証につき、保証契約締結に至る経緯等の具体的事情を考慮して組合の定款所定の事業の範囲内であるとされた事例
1 2人の医師による病院の共同経営が民法上の組合契約であると認められた事例
2 組合が解散したのに、清算人が清算手続を行わない場合における残余財産の分配
3 民法258条の規定を類推して、組合の残余財産の分割を認めた事例
詐害的短期賃貸借の解除請求が許される場合において抵当権者は賃借人に対して短期賃貸借の目的物の明渡しを求めることができないとされた事例
1 会社の名誉毀損を理由とする損害賠償等の請求が棄却された事例
2 新聞社に虚偽の情報を提供した者の不法行為責任が否定された事例
3 新聞報道が個人の名誉を毀損するとして、慰藉料の支払いが認められた事例
1 確定判決の違法を主張して国家賠償責任を問うことができるか(積極)
2 確定した民事判決に対する裁判官の行為について違法性が認められるための要件
3 確定判決の成立過程の不正を主張して不正をなした者に対する不法行為責任(国家賠償責任)が認められるための要件
鉱業法109条1項の「当該鉱区」とは、損害発生の原因たる作業を行なう基礎となった特定の鉱業権と密接不可分に結合する鉱区をいうとされた事例
被告地方公共団体が所持する抽水所等のポンプの運転記録等が河川の浸水により被害を受けた住民らにとって民訴法312条3号前段および後段の文書に該当せず、右公共団体の内部的文書にすぎないとされた事例
いわゆる手形の取立・支払禁止の仮処分がなされ、その債務者とされた者以外の者から支払呈示があった場合、右仮処分の第三債務者とされた支払場所の金融機関が、右仮処分を理由に支払いを拒絶したことが、不法行為に該当し、手形金相当額の損害賠償責任を負うとされた事例