最も長い歴史をもつ判例実務誌
戸籍上届出のある妻が農林漁業団体職員共済組合法(昭和46年法律第85号による改正前のもの)24条1項にいう配偶者にあたらないとされた事例
北鮮の軍隊から脱走し日本船舶に潜入してわが国に入国した者につき出入国管理及び難民認定法にいう「難民」に当たらないとして特別在留許可を与えなかった法務大臣の措置を適法と認め退去強制令書の執行停止申立を却下すべきものとした事例
従業員が勤続満10年に達したときに定年となる旨の就業規則の定め及び退職金規定に基づき退職金名義の金員の支給を受けた従業員の大部分が労働条件の変更なく引続いて勤務している場合に、右退職金名義の金員が所得税法30条1項の退職所得にあたるとする特段の事情が認められないとした事例
建物賃貸保証金のうち原則として返還を要しない部分が所得税法上は賃貸人がこれを受領した時の属する年分の収入金額に算入されるとした事例
成田空港反対闘争に参加して逮捕、勾留されたこと等を理由とする養護学校職員に対する免職処分が裁量権を濫用したものではないとして適法とされた事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項の一般廃棄物処理業の許可は要件審査の点で自由裁量行為であり、同法9条1項のし尿浄化槽清掃業の許可は羈束裁量行為であるとした事例
土地改良法53条の5所定の一時利用地指定処分取消の訴えが係属中に換地処分がされたので、右訴えを換地処分取消の訴えに変更したが、その時点では既に換地処分通知後1年以上を経過していたため、新訴は出訴期間経過後の不適法なものであるとされた事例
市の病院事業の財政再建に反対して実施された争議行為を指導したことを理由とする市職員組合及び病院労働組合の執行委員長に対する懲戒免職処分が裁量権の濫用に当らないとされた事例
積丹町長選挙において公職選挙法38条、52条、53条、64条等の違反があるとする選挙人の主張が排斥され、右選挙人の異議申立を棄却した選挙管理委員会の決定が支持された事例
村議会議員の選挙においてAという姓のみを記載された投票99票がA候補者の姓と一致するとして同候補者への投票とされたことに対し、そのAという姓は別の候補者Bが選挙時より42年前に11年間用いていた姓と同じであり、今でもB候補者の通称として用いられているとし99票をABの両候補者の得票として按分せよという請求に対しAという姓が広くB候補者の通称として用いられていたとは認められないとして排斥された事例
地方自治法242条の2第1項4号に規定する代位請求に係る住民訴訟の原告は、訴訟提起後その訴訟の係属中も当該地方公共団体の住民たる資格を有していることを要し、転出によって当該地方公共団体の住民たる資格を喪失したるときは、当然に原告適格を失う
土地収用法20条に基づく事業認定に対し起業地周辺の住民は、環境利益の侵害を理由に右事業認定の取消しを求める原告適格を有しない
1 建築基準法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」及び昭和50年中野区告示24号にいう「一般の交通の用に使用されている」の意義
2 1にいう「現に建築物が立ち並んでいる」「一般の交通の用に使用されている」道にあたると認められた事例
不動産である土地の取得につき、義父から共有持分を贈与されたと認められ、被告である県税事務所長の不動産取得税賦課決定に違法がないとされた事例
近隣住民は、自己の所有地が他人が建築予定の建物、擁壁の敷地の一部に取り込まれていることを理由として、検査済証の交付の取消又は建築確認の無効確認を求める法律上の利益を有しないとされた事例
処分禁止の仮処分決定を登記するため職権でされた所有権保存登記であっても、右登記上所有者とされている者は、固定資産税の納付義務を負うとされた事例
国税犯則取締法2条に基づく差押処分については、犯則者がそれに次ぐ通告処分を任意に履行したときは、無効確認を求める法律上の利益を有しないとされた事例
農業委員会委員に対する解任処分の執行停止の申立について、回復困難な損害を生ずるものとは認められないとして却下された事例
1 容疑者が旧出入国管理令24条各号に当たる旨の入国審査官の認定は、主任審査官がする収容令書発付処分とは別個独立に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる
2 戦前からわが国に居住し、いわゆる協定永住許可を受けていた韓国人に対し、法務大臣が在留特別許可を与えなかったことにつき、裁量権の逸脱ないし濫用がないとされた事例
1 上場株式を相続した場合の株式の評価について、証券取引所の公示する株価の課税開始時期(相続開始日)の最終価格、または課税時期の属する月以前3ケ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額によって評価するとの相続税に関する財政評価基本通達169に基づいてなされた評価が合理的であって、相続税法22条に違反しないとされた事例
2 上場株式を相続した後、株価が暴落した場合につき、災害被害者に対する租税の減免・徴収猶予等に関する法律4条の適用がないとされた事例
住民基本台帳法による転入届出が、もっぱら租税特別措置法(昭和54年法律15号による改正前のもの)35条1項の適用を受ける目的でなされたものであるとして、右規定にいう「居住の用に供している家屋」に当らないとされた事例
国税通則法23条2項1号所定の「判決」とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実についての私人間の紛争の解決を目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するに過ぎない刑事事件の判決は含まれない
拘置所長が未決勾留により拘禁されている者の信書の発信につきこれを1日に原則として2通に制限するとの措置をとったこと及び右措置によって信書の発信を1日遅らせたことが違法ではないとされた事例
1 軽屏禁は懲罰の性質上当然に戸外運動等の禁止を伴うものであり、その執行期間中運動を停止することについて憲法36条の残虐な刑罰にあたるとはいえず、また監獄法38条、同法施行規則106条、同法60条1項8号、同条3項に違反するものではないとされた事例
2 軽屏禁罰中運動の停止部分の取消を求める訴えは、取消の対象を欠き、不適法であるから却下を免れないとされた事例
ため池の譲渡による分離長期譲渡所得金額の算定について被告税務署長のした更正処分及び重加算税賦課決定処分が適法であるとされた事例
市長の市議会各会派に対する調査研究費の支出及び議員厚生会に対する厚生費の支出が、地方自治法232条の2所定の「公益上の必要がある場合」の補助金の交付にあたり、違法とはいえないとされた事例
地方公務員の退職手当金の支給に関する条例が改正されたため、右条例による支給の差止めを求める訴えの利益がないとして却下された事例
公職選挙法25条に基づく訴訟は、特定人につき登録時において選挙人名簿に登録される資格を有したか否かを確認し、選挙人名簿の脱漏、誤載を修正することを目的とする訴訟であるから、選挙人名簿に登録された者が後日抹消されたときは、被抹消者にかかる右訴訟は、訴えの利益を欠くに至るとされた事例
黒色火薬、実包・空包の不法所持を理由としてされた銃砲刀剣類所持等取締法11条4項に基づく猟銃の所持許可の取消処分が適法とされた事例
町長が町商工会に出向する職員の給与相当額の補助金の支出が違法な予算外支出にあたるとし、地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求が認容された事例
市教育委員会のなした通学校指定処分及び就学処分につき、保護者からなされた右各処分の執行停止申請が行政事件訴訟法25条2項にいう回復困難な損害を避ける必要について充分な疎明がないとして却下された事例
行政事件訴訟法10条2項により再審査棄却処分取消の訴えにおいて原裁決の違法事由を主張することは許されないとされた事例
税務署長が土地譲渡所得につき、原告が売却した相手方である甲は仲介人に過ぎず、真実は甲が転売したと称する乙が原告からの直接の買受人であると認定してなした短期譲渡所得税の更正及び重加算税賦課決定が適法とされた事例
地方自治法75条に基づく監査請求に対する監査結果の通知は、行政事件訴訟法3条にいわゆる「行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為」には該当しないとして、右監査結果通知の取消を求める訴が却下された事例
反戦、軍事基地・自衛隊反対の政治課題を主たる目的とした地方公務員の争議行為につき、地方公務員法37条1項、地方公営企業労働関係法11条1項は憲法28条に違反せず、公務員個人に対し地方公務員法29条による懲戒処分が許され、且つそれらの処分が懲戒権の濫用にあたらないとされた事例
前訴の住民訴訟における村長の応訴活動が応訴権の濫用にあたらないとして地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償の代位請求が棄却された事例
1 別件逮捕、勾留に理由と必要性がある場合においても実質的に令状主義の潜脱があれば本件の取調べは違法であるとした事例
2 実質的に令状主義を潜脱したか否かの判断基準
ビデオゲームが、ブラウン管上に、フィルム映画に類似する連続した視覚的効果を生じさせる表現方法であって、再現可能な影像としてROMの中に電気信号として収納されることにより固定されていること、遊戯者の操作による変化が加わるとしても、一定のプログラムの範囲内の選択にすぎず同一性を保ち存続していて、その内容が知的文化的所産として独自の創作と認められるから、著作権法上の「映画の著作物」に当たるとされ、その無断複製ビデオゲーム機の設置上映について著作権侵害が問われ、利益額相当の損害賠償が認容された事例
東名高速道路パーキングエリアに駐車中の自動車内で運転者が遺体となって発見された場合につき、右運転者は右自動車内でヒーターをつけたまま仮眠中周囲に停車した車両から排出される排気ガスが大量に車内に流入し一酸化炭素中毒死に至ったものであるとして、損害保険会社に自家用自動車保険(塔乗者傷害条項)及び交通傷害保険に基づく各死亡保険金の支払いを命じた事例