最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 航空機騒音の被害を受けるおそれのある起業地周辺住民の土地収用法に基づく事業認定取消しを求める原告適格の有無
2 土地収用法に基づく事業認定審査における代替案との比較の要否
3 起業地が国際空港用地の適地と認められた事例
4 土地収用法に基づいてした農地を国際空港建設事業に供することを内容とする事業認定に同法20条3号に違背する違反はないとされた事例
5 新東京国際空港建設事業に供することを内容とする事業認定に土地収用法20条4号に違背する違法はないとされた事例
市の道路用地買収過程において買収交渉事務担当の課長が買収交渉の相手方に対し市が買収ずみの道路用地のうち道路敷地に供しない特定の残地を他に優先者のない限り払下げる旨の説明をし右相手方が右残地払下げを期待して当該買収対象土地の売買に応じたがその後の事情によって右相手方に当該残地の払下げがされなかったことが市の不法行為とはならないとされた事例
国内の一流新聞社が掲載した竣工前の分譲マンション広告によって該マンションの購入契約をした者が、マンション業者の倒産によって損害を蒙った事案につき、右広告を掲載した新聞社の債務不履行責任及び同新聞社と右広告の版下を搬入した広告社の不法行為責任がいずれも否定された事例
副都心地区に近い住居地域における日照妨害を理由とする3階建建物の一部撤去の請求が棄却され、損害賠償請求が一部認容された事例
河川敷に設けられた砂利運搬路の仮橋を自転車で通行した児童が転落し水死した事故につき工作物の設置・保存に瑕疵があるとはいえないとされた事例
民執法83条1項本文の「差押えの効力発生前から権原により占有している者」とは、もと所有者との関係で占有権原を有する者と解すべきであり、買受人との関係で占有権原を有する必要はないとして、買受人には対抗できないが、もと所有者に対しては対抗することができる短期賃借権者に対する引渡命令の申し立てを却下した事例
特定の型式を有する商品の部品(卓上型ポットの蓋と把っ手)をその特定の型式に合わせて製造納入する下請業者が当該部品を作り過ぎたことにより被った損害について、民法536条2項の法意を準用して親企業者にこれを負担させた事例
真珠養殖を営む法人企業の漁業従事者が、水産業協同組合法1条にいう漁民であり、他面で労働基準法の適用を受ける企業労働者であったとしても、漁業協同組合正組合員たる資格を有するとした事例
司法書士に不動産の競売申立書の作成を依頼した依頼者が、その対象物件の建物が2個の専有部分に岐れていることに気づかず1個の専有部分のみの競売申立をしたため司法書士がそのとおりの競売申立書を作ったが、依頼者が司法書士に手続を依頼したことに過失はなく、司法書士に過失があるため依頼者に損害を生じたと悪口雑言し、司法書士会へその懲戒申立などを行ったことが不法行為を構成するとされた事例
3歳の女児と7歳の男児が江戸川区の管理する溝渠に転落して死傷した事故につき、区の溝渠の管理に瑕疵があるとして損害賠償責任が認められた事例
息子の放火による損害賠償債務の父による相続の放棄の熟慮期間の起算点につき、損害賠償請求の訴状が送達された時と解した事例
Aの現在あるいは将来負担する債務を連帯保証したBは、AのCに対する連帯根保証契約により負担する債務まで保証したものとは認められないとされた事例
デーィラーがユーザーに対して注文車を納入するまでの間代車を貸与するについて、特別の事情がない限り貸与者には任意保険に加入する義務も、加入しているか否かを告知する義務もない
賃貸人側に自己使用の必要性があり、かつ、立退料として金100万円を提供した場合においても、建物賃貸借解約申入れの正当事由がないとされた事例
1 弁護人の被疑者に対する接見交通権は憲法34条の弁護人依頼権に由来し、被疑者の刑事手続上重要な基本的権利に属するから、捜査機関は弁護人から接見の申出があったときは原則として何時でも接見の機会を与えなければならない
2 ある事項に関する法律解釈につき異る見解が対立し実務上の取扱いも分かれていてそのいずれについても相当の根拠が認められる場合に公務員がその一方の見解に立脚して公務を執行しても直ちに公務員に故意あるいは過失があったものとすることはできない
建売住宅建築の目的で土地の売買契約を締結したところ、当該土地が交化財保護法にいう「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当していた場合の買主の契約解除権(消極)
包括遺贈の場合につき、遺言執行者を指定し同人に対する報酬を遺産の1割と定めた遺言部分は無効だとして、遺言執行者の報酬請求が排斥された事例
昭和52年5月出生の未熟児の失明を理由とする同網膜症訴訟事件につき、病院医師の酸素投与、型の診断及び眼底検査の実施等に義務違背がないとされた事例
喘息発作のある患者に対するステロイド剤等の投与方法が医学上の定説に反するとして、急性心不全による死亡の結果につき、医師及び病院の賠償責任が肯定された事例
乳幼児が麻疹肺炎から二次感染を起して死亡した場合に、抗生物質投与等の処置が適切でなかったとして、診療関与医師らの不法行為責任が肯定された事例
婚姻破綻の責任の過半は頻回転職などけじめを欠く生活態度に終始し妻に対するおもいやりを全く欠いた夫側にあるとして、妻側の離婚請求を棄却した原判決を取り消し控訴審でこれを認容した事例
婚姻意思がないのに婚姻届が提出された後、協議離婚届が提出された場合でも、右協議離婚届が速かに戸籍を配偶者のいない状態に訂正する手段としてしたに過ぎず、婚姻を追認する趣旨ではなかったとして婚姻無効の確認の利益を認めた事例
ひき逃げ死亡事故について公訴時効完成後、民間人が調査によって突きとめた者を加害車輌の運転者と認め、被害者の遺族から右運転者らに対する損害賠償請求を認容した事例
1 著作権法32条1項にいう公表された著作物の利用が許される場合の「引用」といえるためには、少なくともその引用が問題となる著作物の表現形式上、第一に、引用して利用する側の著作物の部分と、引用されて利用される著作物の部分とが明瞭に区別されて認識することができ、第二に、右両著作物の間に、前者が主、後者が従の関係が成立していることを要するとし第一の要件は満たすものの、第二の要件は満たしていないとして、創作絵画の複製物の無許諾掲載による著作権侵害が問われ、創作者死後の著作権者からの差止め請求および損害賠償が認容された事例
2 著作物の価値が公の文化財ともいうべきものであったとしても、複製権者が、その複製をある者に許諾しある者に拒否しても、権利行使の自由に属し、権利濫用とはいえない