最も長い歴史をもつ判例実務誌
「輪中堤」の占用許可取消に伴う損失補償において、その文化的価値についての損失は、右「輪中堤」の所有権相当価格の約1割にあたる額とするのが相当とされた事例
業務停止処分を受けた弁護士がその期間経過後において右処分を受けたことにより日本弁護士連合会会長の被選挙権を有しない場合と右処分にかかる裁決の取消しを求める訴えの利益
清算金の支払のないまま仮登記担保権者から目的不動産の所有権を取得した第三者の債務権に対する右不動産の明渡請求と債務者の留置権の抗弁
1 公判不提出の押収物について還付等の処分をすべき検察官
2 検察官の保管にかかる公判不提出の押収物に関する還付等の処分に対する準抗告の管轄裁判所
地方公共団体の長に選出された者に対しその者が犯した公職選挙法違反の罪につきその失職をもたらすこととなる刑を言い渡すことと憲法93条2項
1 刑法130条前段にいう「侵入」の意義
2 建造物の管理権者が立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合と建造物侵入罪の成否
1 市役所吏員が不適式な申請書を受理して印鑑登録をしたことに過失があると認めた事例
2 登記官が保証書中の保証人の印影と添付された印鑑証明書の印影が異なるのを看過して登記申請を受理したことに過失があると認めた事例
抵当権の目的土地の賃借人が、競売手続開始決定後右土地に建物を移設したことは、競売不動産の価格を著しく減少する行為に当らないとした事例
1 民事執行法193条1項にいう「担保権の存在を証する文書」の意義
2 民事執行法193条1項にいう「担保権の存在を証する文書」の提出があったとはいえないとされた事例
相隣地間において人為的作為に基づくことなく一方の土地からの土砂の崩落の危険が存する場合と他方の土地の所有権又は占有権に基づく危険防止措置の請求権の有無(消極)
借地上の建物について抵当権を有する者は、右建物のための土地賃借権の存在を争う土地所有者に対し、右建物所有者が右賃借権を有することの確認を求める法律上の利益があるとした事例
借地期間の満了の直前にされた賃貸人と借地人との間の賃貸借契約を即時解除し尓後7年間土地明渡を猶予するとの合意が借地法11条により無効であると認めた事例
期間満了後の借地権者の土地使用継続に遅滞なく異議を述べた土地所有者が、期間満了後約10か月を経過してから更に立退料支払の申出をした場合において、右立退料支払の申立が正当事由の補完事由たりうるものとされた事例
破産申立前の指定振込の約定に基づいて破産申立後に破産者の預金口座への振込により生じた銀行の預金債務の負担が、破産法104条2号但書にいう「前ニ生ジタル原因」に基づく債務の負担にあたるとされた事例
公立小学校の生徒が漫画クラブの活動中に他の生徒が手製の弓で発射した矢を右眼に受けて失明した事故につき、学校長及び担当教員に過失があるとして地方公共団体の損害賠償責任が認められた事例
知事が都市再開発法11条に基づいてした市街地再開発組合の設立認可につき、施行区域の付近住民は、右認可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例
健康保険法、厚生年金保険法により被保険者資格を取得する者の被扶養者は、同法による被保険者資格の取得の確認について法律上の利益を有しない
就業時間中及び企業内での政治活動を一般的に禁止したり、休憩時間中の赤旗選挙ビラ配布行為等を禁止することが、憲法21条、公序良俗(民法90条)や、労基法34条3項に違反しないとされた事例
勤務時間中2回に亘り会社に無断で車輌を放置してソフトボールをしたタクシー運転手に対する懲戒解雇処分が無効とされた事例
胃潰瘍との診断による胃の一部切除手術後、病理組織検査等を施行しなかったため、胃癌についての適切な治療の機会を失し、患者を死亡するに至らせたとして、医師に対する延命の可能性に基づく慰藉料の支払が肯定された事例
ハイシリック・コンタクトレンズ着装による角膜障害から細菌性角膜潰瘍に罹患した事故につき、右レンズを処方しかつその診療に当った医師に対し、抗生物質投与等の処置の不適切を理由に賠償責任を肯定した事例
交通事故によって脳波の異常を生じ抗けいれん剤の継続的服用を余儀なくされている中学生につき、将来の治療費及び後遺症による逸失利益の賠償請求を認めず、右身体的症状を慰藉料算定にあたって考慮すべきものとした事例
株主の会社に対する計算書類の閲覧請求訴訟において、会社が書証として右計算書類の原本を法廷に呈示し、その写しを株主(原告)に交付した場合は、閲覧・謄本交付請求について会社は義務の履行を終えたものであるとして請求が棄却された事例
譲渡担保権は商法384条の担保権に類似するから、右譲渡担保権を被保全権利とする仮処分決定は、仮処分債務者に対する会社整理開始命令、その確定により影響を受けるものではなく、事情の変更があったとして取消の理由とすることはできない
株式会社からその取締役に対して取締役会の承認なくして約束手形が裏書譲渡され、ついでその点につき悪意の第三者に裏書譲渡された場合における振出人の第三者に対する手形金支払義務の有無(積極)
いわゆる統一手形様式による約束手形用紙を他人に交付した場合、交付者は交付された者に対し交付者の名義を用いて約束手形を振出す代理権限を授与したと推認された事例
株式会社の定款で特定の代表取締役の代表権を制限し、かつ取締役会の招集権者を代表取締役と定めている場合に、代表権限を制限されている右特定代表取締役も取締役会を招集できる
株主が提起した取締役の職務執行差止請求訴訟において当該取締役が会社の機関の立場で所持する内部的な参考資料は、民訴法312条2号、3号前段の文書には該当しないとされた事例
覚せい剤取締法14条にいう「所持」とは、覚せい剤であることを知りながら、これを事実上自己の実力支配内に置く行為を指称し、積極的にこれを自己又は他人のため保管する意思の有無又はその行為の目的、態様のいかんを問わないとされた事例
マジックホンに関する二つの裁判例
(イ)マジックホン製造者に対して有罪を言渡した事例
(ロ)可罰的違法性なしとして無罪を言い渡した原審を破棄し有罪を認定して自判した事例
業務委託契約に基づいて民間放送会社に派遣されていた労働者と当該放送会社との間にいわゆる使用従属関係が成立していたことは否定できないとしても、派遣元企業は放送会社とは独立した企業であり労働者からも派遣先である放送会社からも実質上の契約主体として契約締結の相手方とされていたことなどから、労働者と放送会社との間に黙示の労働契約が成立していたとは認められないとして一審判決を取り消し、地位保全の仮処分申請を却下した事例
無罪判決が確定した窃盗被告事件につき、警察官の逮捕、送致及び検察官の勾留請求には違法の点はないが、警察官の捜査方法及び検察官の勾留維持、公訴提起には違法の点があるとして国家賠償請求が認容された事例