最も長い歴史をもつ判例実務誌
いわゆるモンタージュ写真の製作がパロディーとしての創作分野に属するとしても、そのために無断で複製利用した他人の写真がその本質的特徴をとどめている限り、利用した写真の著作者の同一性保持権及び氏名表示権を侵害したとして、著作権侵害を理由とする慰藉料支払及ぴ謝罪広告掲載の請求を認容した原審を維持した事例
被用者の金員横領により使用者に発生した損害の総額が不明の時点において締結された身元保証契約と題する契約について身元保証に関する法律5条の適用があるとされた事例
弁護士法61条の規定による懲戒請求者の異議申出を棄却した日本弁護士連合会の裁決に違法がある場合と請求者に対する不法行為の成否(消極)
元本が100万円以上の貸金につき天引利息の一部が利息制限法2条の規定により元本に充当された結果残元本額が100万円未満となる場合と同法1条1項の規定の適用にあたってよるべき利率(年1割5分の利率によるべきである)
駐車場ビルの建築者が工事前に隣地の所有者との間で結んだ建築制限協定に違反して屋上に工作物を設置したり壁面に窓を設けたりしたことについてその撤去改善を命じた事例
賃貸アパートの賃貸人が2室の貸室部分だけを残して建物を取毀したため右2室の賃借人の申請により賃貸人に増築補修工事を命ずる仮処分決定をした事例
ブラジル国プナウ植民地への入植に失敗したことについて、移住者の斡旋をした旧財団法人日本海外協会連合会の債務不履行責任及び不法行為責任が認められなかった事例
500万円の貸金債権の担保として借主から金額1000万円の約束手形(第三者振出)を預った者が右の手形を550万円で他に譲渡し、満期に右手形金が支払われた場合に、貸主が借主に対して負うべき不当利得返還義務もしくは清算金支払義務の範囲
病院の調乳室で都市ガスを使用して調乳の作業に従事中、右病院調乳室の設置、保存に存した瑕疵により一酸化炭素中毒に罹患したことから工作物責任が肯定された事例
保養所内の食堂のガラス戸に子供が衝突して死亡した事故につき、右ガラス戸にガラスの存在を明示する設備のなかったことは瑕疵にあたらないとして、工作物責任を否定した事例
普通預金払戻請求書に押捺された印影が偽造によるものであったとしても、通常の注意を用いて印鑑照合事務を行った上で払い戻した銀行に、過失はないとした事例
ビルの賃貸借において、賃貸借契約書に賃借人として表示された会社ではなく、実際に右ビルを利用している会社が賃借人と認められた事例
四会連合協定工事請負約款30条は、契約締結時に、あっせん、調停又は仲裁に付する建設工事紛争審査会を定めることによって、はじめて仲裁契約としての効力を生じるとした一事例
元本及び利息制限法所定の利息額を超過することを知りながら元利金を支払った者は、その過払分を不当利得として返還請求することができないとされた事例
小学一年生の理科の授業時間中に児童が自宅から持ってきた「移植ごて」で級友を失明させた事故につき、担任教諭に過失があるとされた事例
郵便規則76条の5に基づく郵便物の留置措置に伴う郵便物受取人の負担等が行政事件訴訟法25条2項にいう「回復の困難な損害」にあたらないとされた事例
出生以来約35年間わが国に居住し妻子を有しながら、他人名義で旅券の発給を受けて韓国に数回不法出入国した韓国人(元在留特別許可者)に対し、法務大臣が在留特別許可を与えなかったことにつき、裁量権の逸脱ないし濫用がないとされた事例
ある行政処分に関する取消訴訟が適法に係属している場合には、右処分に関する無効確認訴訟は、訴えの利益を欠くとして不適法却下された事例
公務員の免職処分の執行停止の申立が、妻の収入、申立人の退職年金により標準以上の生活を維持することができ、回復困難な損害が生ずるものとは認められないとして、却下された事例
高炉建設工事中、孫請人に雇われた鳶工が足場を誤って転落負傷した事故につき、元請人、下請人、孫請人にそれぞれ安全配慮義務違反があるとされた事例
アルミサッシの組立作業に従事し病院で「外傷性頚部症候群、両側変形性手関節症」の診断を受けたが、右疾病が業務に基因したとは認められないとして労働者災害補償保険法による休業補償給付が認められなかった事例
1 道路拡幅工事現場の地ならし作業において、下請会社の従業員のドーザショベルの運転ミスにより同車を低地低部に転落させ他の下請作業員を死亡させた事故につき、元請会社の従業員である現場責任者に過失があるとして元請会社に民法715条の使用者責任を認めた事例
2 元請会社の指揮監督関係が下請負人の従業員に対して直接間接に及んでいるとして元請会社に民法715条の使用者責任を認めた事例
右肘関節脱臼についてのレントゲン写真読影の過誤等により、患者の外傷性化骨性筋炎を看過して徒手矯正術を施行した開業医につき、債務不履行責任を肯定した事例
助産婦らの分娩介助行為と児の脳萎縮との間に因果関係が認められないとして、センター設置者たる町に対する賠償請求を棄却した事例
婚姻関係破綻の主たる責任が夫にあり、かつ、これにより妻が精神的苦痛を受けたことを認めながら、その原因が夫の特異な性格等にありことさら夫婦共同生活関係を破壊しようとしたものでないとして、離婚に伴う慰藉料の請求を認めなかった事例
養親子関係破綻の原因についての責任が養親と養子の双方にあり、その軽重の差を認めることが困難な場合には、養親と養子のいずれの側からも他方に対し離縁を求めることができるとされた事例
自家用自動車保険契約の更新にあたり保険代理店に保険募集の取締に関する法律16条1項1号所定の告知義務の違反があったとはいえないとされた事例
家庭電気製品の製造販売業者とデパートの通信販売商品の納入業者との売買において、商法526条の規定の適用を排除する旨の合意が成立したと認められた事例
1 ピアノメーカーとして著名な企業である日本楽器の特約店の地位を示す「ヤマハ特約店」の表示が、不正競争防止法1条1項2号所定の営業表示に当たるとされ、「メーカー協賛」「メーカー直結」等の表示と、ヤマハピアノの品種番号等を一体に使用することが、同号所定の営業主体混同行為に該当することを理由に、差止請求及び信用回復措置請求が認容された事例
2 不正競争防止法1条1項5号所定の商品客体誤認惹起行為に当たるとして差止請求及び信用回復措置請求が認められた一事例
3 不正競争防止法1条1項6号所定の営業中傷行為に当たるとされ、その差止と信用回復措置請求が認められた事例
4 被告のいわゆる「おとり広告」が不正競争防止法1条1項5号
1 地公法61条4号の「あおり」「あおりの企て」等は、それ自体で客観的に見て同法の禁止する争議行為の実行に対し、現実に影響を及ぼすおそれがあるもの、すなわち、それ自体において真に右争議の原動力となり、現実にその実行を誘発する危険があると認められる真剣さないし迫力を有するものであることを要し、また、その者が当該行為に対し現実に原動力となるような役割を果すことを要する
2 日教組統一ストにおける岩教組委員長の行為が地公法61条4号の「あおり」及び「あおりの企て」に該当しないとした事例