最も長い歴史をもつ判例実務誌
反則行為にあたる速度違反を犯した被告人に過去1年以内の行政処分が存在するものと誤認して罰金刑を科した略式命令に対する非常上告が認容された事例
不動産が善意の第三者に対し二重に譲渡された場合において、右第三者から更に右不動産を譲り受けた背信的悪意者が登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないとされた事例
国民年金手帳引渡請求権の差押の申立につき、差押を禁止された国民年金受給権の差押を図ろうとしてなした執行すべからざる権利に対する執行申立として許されないとした事例
中華民国が原告となり、わが国内に所在する在日中国人留学生用寮の所有権に基づき、同寮居住の中国人に対して同寮の明渡を求める訴訟の係属中に、日本国政府が中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府と承認して中華民国政府との国交を断絶し、いわゆる日中関係の正常化が実現した後においても、このことにより当然に原告の当事者能力が失われるものではない
一定期日までに延滞家賃等不払のときは、通知催告を要しないで当然解除となる旨の和解条項に基づく賃貸借契約解除の効力が認められなかった事例
隣地の占有者に対する下水道管及びガス管敷設工事の承諾請求及び妨害禁止請求を、民法209条、210条、220条及び下水道法11条を類推適用して認めた事例
いわゆる預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡人からゴルフ場経営者に対する譲渡の承諾請求が、原被告間には譲渡禁止の特約があったとして認められなかった事例
伊方原発行政訴訟原告弁護団の構成に関する日本共産党幹部の集会での発言及び機関紙の記事・論評が、右弁護団の構成員である弁護士の名誉・信用を毀損する不法行為を構成するとされた事例
キャンプ場の廃棄物焼却穴に投棄された危険物の爆発事故につき、キャンプ場、バンガロー経営者の損害賠償責任が認められなかった事例
建築基準法42条2項にいう「現に建築物が立ち並んでいる……道」とは、道を中心に建築物が寄り集って市街の一画を形成し、一般の通行の用に供され防災、消防等の面で公益上重要な機能を果す状況にあるものをいい、単に一屋敷内の通路で特定関係者以外は通行せず建物が二戸存在しているにすぎないものは該当しないとした事例
水資源開発公団法20条1項所定の協議方法として締結された協定に基づき水資源開発公団に対してした河口堰工事着工についての知事の同意が、行訴法3条にいう行政処分にあたらないとされた事例
空気分離法により空気を圧縮して酸素を生成する工程において、空気中の窒素を同時に分離液化して製造している場合には、窒素の製造量を基準として電気税を課すことができるとされた事例
期首期末棚卸高の変動につき主張立証がなく、帳簿書類も備付けていない場合には、仕入金額から売上金額を推計するのが唯一の可能な推計方法ということができ、この方法で仕切率によりベッドの売上金額を推計する場合において、定価販売ではなく値引販売の事実が認められるときは、右仕切率による売上高から平均値引率を適用して控除した金額をもって、ベッドの売上金額と認めるのが相当である
贈与により兄弟間において土地所有権の移転があった場合でも、事情を知らない課税当局が登記簿上の所有者に課税したときは、実質課税の原則に反し右課税処分を無効ならしめる瑕疵があったということはできない
タクシー乗務員の運行記録計紙(いわゆるタコメーター・チャート紙)装着拒否闘争が争議行為に当たるとされ、闘争期間中の賃金請求及び休業手当請求が否定された事例
重篤な結核患者が肺切除等数次の手術を経て死亡するに至った事案につき、これらを施行した医師らに診療上の義務違背がないとして、国立療養所の債務不履行責任が否定された事例
1 自賠法3条の他人については、被害者の他人性阻却事由の存在につき運行供用者が主張証明責任を負う
2 自賠法3条による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者の他人性の有無とかかわりなく、被害者が運行供用者を知ったときから進行を開始する
金額を漢数字によって「金壱百円」、算用数字によって「¥1,000,000-」と重複して記載された約束手形について、100万円を手形金額と認めた事例
商標法3条1項3号にいう商品の産地及び品質もしくは原材料、または使用の方法を表示する標章とされ、いずれも同条2項の使用による特別顕著性が否定され、登録拒絶審決が維持された事例
外勤警察官2名による特別公務員暴行事件について、暴行の事実に関する被害者の供述等が必ずしも信用できないとして、一審の有罪判決を破棄し無罪とした事例
受饗応事案において、飲食の提供された会合は、後援会再建のためのものであって、右飲食は、選挙運動に対する報酬ではないとの主張を排斥した事例
強盗殺人、死体遺棄事件につき、被告人の自白調書の証拠能力は認められるが、信用性に疑いがあるとして原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例