最も長い歴史をもつ判例実務誌
弁護士会からの前歴照会に応じた市の回答が違法な公権力の行使にあたるとされた事例 いわゆる政令指定都市の区長が弁護士法23条の2に基づく照会に応じて前科及び犯罪経歴を報告したことが過失による公権力の違法な行使にあたるとされた事例
1 検察官の公訴の提起、追行が違法かつ過失に基づくものであるとして、再審で無罪が確定した元被告人に国家賠償が認められた事例
2 再審で覆えされた有罪判決を言い渡した裁判所及び右有罪判決を支持した上告審裁判所に過失はないとされた事例 3 再審で無罪が確定した元被告人の親族(母・妹・弟)の慰謝料請求が棄却された事例
夫婦の一方に縁組意思のない夫婦共同養子縁組につきその他方と縁組の相手方との間に単独でも養親子関係を成立させることが民法795条本文の趣旨にもとるものではないと認められる特段の事情がないとされた事例
1 リース物件の売主がリース会社からの借主の対し性能不良を理由として賠償すべき額を算定するに当たり損益相殺すべき借主の利益の額について判示した事例
2 リース物件の性能不良のため借主がリース会社に対する売主にその引取方を要求したのちに右リース物件が水害により使用不能となった場合についてその過失を売主において負担すべきものとした事例
争議行為の際の不法行為及びスト参加のための欠勤を理由とする国鉄職員に対する懲戒免職につき懲戒権の濫用が認められないとされた事例
1 いわゆる差額関税の逋脱事件について関税法(昭和42年法律第11号による改正前のもの)118条2項の規定にしたがい輸入貨物全体の価格に相当する金額を追徴することと憲法36条、29条、31条
2 関税定率法(昭和41年法律第37号による改正前のもの)4条3項にいう「最近に輸入港に到着した」の意義
1 市が被告となった訴訟について、原告の訴えの取下に同意し、市が今後適正な行政業務をとることを約し、訴訟費用は各自弁とする旨の裁判上の和解をすることについて、市は市議会の承諾を要しないとされた事例
2 市長及び市長個人が当事者となっている訴訟について裁判上の和解をするのに市議会の承諾は不要であるとされた事例
妻の実家の両親の承諾の下に妻の抵抗を排除して夫及びその両親の下に連れ去られた幼児につき、妻の下で監護させるのが幼児の幸福にかなうとして夫及びその両親に対する幼児引渡の人身保護請求が認容された事例
条件付採用期間中の郵政職員が書留郵便物の配達に当り受領証を受取るのをたびたび忘れ、上司に反抗的であり、無許可で勤務を欠き、配達態度が悪いとして配達先から苦情をいわれる等の理由により受けた免職処分が裁量権の濫用にあたるとして取り消された事例
1 労組大会での組合員除名決議が規約所定の無記名投票によらず、起立採決によったことにより無効となるとした事例
2 組合員除名が規約所定の査問委員会による本人の弁明聴取を欠くため無効とされた事例
3 除名予定者に対し弁明の機会を与えるべき労組大会開催通知にあたり、規約所定の猶予期間を欠くときは適法に弁明の機会を与えたことにならないとされた事例
4 解雇が労働協約所定の懲罰委員会の議を経ないため無効とされた事例
5 使用者が除名処分の適否を十分調査しないで解雇することによる就労不能は、その責に帰すべき事由として賃金支払義務を生ぜしめるとした事例
本案控訴審で始めて申し立てられた仮処分の異議判決において、同日同一構成の裁判所により言い渡された当事者・争点・立証を、仮処分と共通にする本案の控訴審判決の理由の簡潔な要旨を掲げることをもって、被保全権利の存在の説示とした事例
慢性中耳炎患者に対する聴力検査等の実施が不十分なため、右耳につき難聴増悪の結果を招来したとして、担当医師及び病院の責任が肯定された事例
虫垂摘出手術に際し、患児の脱水症状を看過して腰椎麻酔注射をしたため、ショックにより脳幹部損傷の結果を惹起した開業医の責任が肯定された事例
交通事故による後遺障害の発生が、傷害の部位程度に照らし、事故当初のころに予想できないではなかったとき、損害賠償債権の消滅時効は事故発生の直後のころから起算されるとした事例
駐車場に長時間、車のドアを閉じて密閉したことによる車内での死亡事故について、「運行」によるものとはいえないとした事例