最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 私人の私生活上の行状と刑法230条の2第1項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」
2 刑法230条の2第1項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるとされた事例
3 刑法230条の2第1項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断方法
定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分が性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条により無効とされた事例
不利益処分についての不服申立てに関する規則(昭和26年名古屋市人事委員会規則第7号)15条の定める再審の請求と行政事件訴訟法14条4項にいう審査請求
自動車損害賠償保障法3条の規定による損害賠償請求権を執行債権とする転付命令と右損害賠償義務の履行によって発生すべき同法15条所定の自動車損害賠償責任保険金請求権の被転付適格
土地の賃貸借契約の期間満了を理由とする該土地の明渡請求訴訟の係属中賃貸人の主張する時期よりのちに期間が満了した場合と借地法6条の異議
真実抵当権設定登記後設定及び目的物の引渡しのあった賃借権であるのに、これが設定登記後になされた旨、及び真実の賃借保証金よりも少い保証金額、真実の賃借面積よりも狭い面積、真実と異る賃借人氏名をそれぞれ記載した競売期日公告があっても、これにより競落価格が低下するものではなく、債務者及び所有者はこれにより損失を被るべきものではないとした事例
1 仮処分執行費用は本執行まで猶予さるべき性質のものではないとした事例
2 仮処分執行費用額確定手続で仮処分の必要性の不存在を主張できないとした事例
3 電柱220本に設置された有線音楽放送用線条等の2日間にわたる執行費用114万円が不当高額であるとはいえないとされた事例
4 工作物撤去の執行により撤去された工作物の引取を債務者が拒んだときは、執行官はすみやかに裁判所の許可を得て競売し売得金から保管費用を控除して供託すべきであるが、そのための必要期間をこえての保管費用は執行のための必要費用とはいえないとした事例
5 右確定手続では、違法執行による損害賠償債権と相殺する旨の主張をなしえないとした事例
1階に居住する貸室の賃貸人が2階の貸室の天井裏にインターホンの子器を隠して設置し、親器を取り付ければ借室人の居室における会話が盗聴できるようになっていた場合、実際には親器が取り付けられた証拠がなく現実の盗聴行為は認められなくても、借室人の平穏な私生活の故意による侵害があるとして、転居費用及び慰藉料の損害賠償を認めた事例
公道利用権等を被保全権利としてアフリカ・サファリ富士自然動物公園の営業を迂回路完成まで禁止する旨の仮処分申請が、交通渋滞、申請人の営業への影響その他仮処分の必要性の疎明なしとして棄却された事例
入札参加者甲乙らが談合の上甲に落札させ、乙がその代償として甲から落札工事の一部を下請する旨約束することは、公序良俗に反する事項を目的とするものとして右約束の履行に代る損害賠償請求が棄却された事例
警察官の暴行により傷害を負ったことを理由とした国家賠償法1条1項に基づく休業補償、慰藉料等の損害賠償請求訴訟において、第三者である拘置所の所持する原告作成の診療願及び原告の診療録が専ら自己使用のために作られた内部文書であって民訴法312条3号前段及び後段所定の文書に当らないとしてこれに対する文書提出命令を却下した事例
15万円の貸主が、その貸金債務の保証人から裏書を受けた額面300万円の約束手形を取立に回し右保証人に右手形金全額を支払わせたときには、右保証人に対して損害賠償責任を負うとされた事例
貸金の弁済時が土地売買代金の返還請求が解決されたときと定められている場合に、右返還請求が円満に解決することが不能なときはその不能が確定したときを弁済期とすることをもあわせ定めたものと解するのが相当であるとして右返還請求訴訟を提起した日に弁済期が到来したものと認めた事例
譲渡担保権者から譲渡担保の目的物を譲受けた者が譲渡担保に供されている事実を知らなかったときは、右譲受人は、右担保権者が担保権設定者に対して負担する清算義務を承継し又は担保権設定者の同時履行の抗弁権をもって対抗されることはないと解するのが相当である
抵当不動産の価額が被担保債権額に満たない場合、その不動産に設定された賃料前払、敷金500万円につき年1割5分の利息を支払う、管理費賃貸人払いの特約ある短期賃貸借につき、抵当権者に損害を及ぼすものとしてその解除請求が認容された事例
金銭消費貸借において遅延損害金を日歩8銭2厘とする約定は、右日歩を年率に引直した年29.93パーセントの割合の損害金を支払う趣旨であって、いわゆるうるう年の場合においても右年率には変更がないとするのが契約当事者の意思であると解した事例
存在しない土地につき登記官が誤って表題部を新設したことによって登記簿上の表示がなされ、これを是正しないまま放置していたこと及び公図の管理を適切に行わず、公図上に誤った書込みを放置していたことに過失があったとして右土地買受人の国に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を認容した事例
1 賃貸期間を2年とし、期間満了前において、賃貸人において賃貸物件を使用する必要が生じ、かつ6か月の予告期間をおいて明渡の請求をした場合には、賃貸人はこれに応ずる旨の特約付の建物賃貸借契約が一時使用の賃貸借に当らないとされた事例
2 賃貸人の200万円の立退料の提供により建物賃貸借更新拒絶の正当事由を具備するものと認めた事例
代金の不払を理由とし無催告解除特約に基づいてなされた売買契約解除の意思表示が、不払額が僅少であり、売主が不利益を被った形跡がないなど判事の事情がある場合には信義則上許されないとされた事例
建物賃借人がその賃貸人から自己の費用と裁量による賃貸建物の修理・改善を委ねられてその面目を一新させる工事を施行するなど判事の事情がある場合においては、賃借人が右建物の所有権を主張し、かつその敷地の賃借権を主張しても、それが直ちに賃貸当事者間の信頼関係を破壊する行為と認められないとした事例
財団法人勤労者福祉協会がゴルフ場の建設を企画し労働省の中止勧告その他を無視して計画を強行し、法人自体を破綻させた事案につき、右ゴルフ場の会員募集に応じて会員資格保証金を支払った者に対する法人及びその理事長、理事に対する損害賠償責任を認めた事例
自称代理人が、保証契約締結に際し、本人の白紙委任状、印鑑証明書を所持していても、表見代理の成立が認められないとされた事例
不動産売却の仲介契約に期限の定めがあり、不動産仲介業者に有償で委任状が交付されていたとしても、右業者の利益のためにもなされたものとはいえず、民法651条により何時でも自由に解除できるとされた事例
マンションの階段から各区分住宅へ通ずる通路は民法235条所定の縁側又はこれと同列に扱うべき場合に当らないとして、隣地所有者の右通路部分への目隠設置請求を棄却した事例
銀行の支店(振込支店)からの振込により、被振込支店の預金者の当座勘定元帳に入金の記帳がなされた場合において、右入金の記帳がなされる以前に、振込支店から被振込支店に対し、振込の撤回の意思表示がなされた場合には、預金債権は成立しないが、右入金の記帳後に撤回の意思表示がなされた場合には、預金債権は成立し、右撤回によってその効力に影響がないとされた事例
和議開始前に弁済禁止の保全処分を得た顧客に対し、銀行が当座勘定取引契約を解除し、顧客の振出した手形を「取引なし」との事由で不渡返還し不渡届を提出した行為が、債務不履行ないし権利濫用に該らないとされた事例
債務者が破産宣告を受けた後破産債権者との間でなした破産債権を支払う旨の合意は後日破産手続において得た免責の効果を受けるか(積極)
立入禁止の専用軌道敷に立入り線路内を歩行していたため電車にはねられ轢死した場合に免責約款の「重大な過失」にあたるとして生命保険金支払の免責を認めた事例
商品主体混同行為に当るとして類似バター飴容器を使用する者に対する使用差止の仮処分決定による保護を受けた業者甲から、当該容器の意匠を買受けた債権者乙丙よりする、不正競争防止法1条1項1号に基く仮処分申請について、当該容器の形態が乙丙の商品表示としては周知性を備えるにいたっていないとして、原審・抗告審とも、これを排斥した事例