最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 国家賠償法施行前にされた違法な有罪の確定判決に基づく刑の執行が同法施行後にも及んでいる場合と国家賠償請求の可否
2 判決の違法を理由とする国家賠償請求の除斥期間の起算目
3 再審によって事実誤認として覆えされた有罪判決に関与した裁判官の行為に違法があったとはいえないとされた事例
観光開発業者が、業者を誘致して土地を売却した地方自治体に対してした開発不能を理由とする契約解除とこれによる原状回復請求が認められたが、損害賠償請求が棄却された事例
自動車販売会社から所有権留保の特約付割賦売買契約に基づいて引渡を受けた自動車を金融業者に対し自已の借入金の担保として提供した所為が横領罪に該当するとされた事例
1 専属的管轄の合意がなされたものと認められた事例
2 受訴裁判所以外の裁判所を管轄裁判所とする専属的管轄の合意がある場合でも、受訴裁判所が法定管轄権を有し、かつ、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、当該訴訟を合意で定められた管轄裁判所に移送することなく受訴裁判所において審判することができるか(積極)
分譲地販売の外務営業担当の従業員が分譲地を販売するにあたり無権限で宅地造成をなす旨約した場合につき民法110条の表見代理の成立を認めた事例
1 貸主借主の双方が「土地の適正賃料を鑑定させその合致額又は算術平均額をもって適正賃料とする」旨の約定をしていたところ、その一方が鑑定依頼を拒絶した場合に民法130条を類推した事例
2 民法130条の条件成就の擬制と意思表示の要否
マンションの地下車庫が構造上区分所有者全員によって共同に利用されるよう造られた建物区分所有法3条1項所定の「共有部分」であるとされた事例
エアコンのローン提携販売につき割賦販売法6条が類推適用され、電機メーカーが作成した標準使用損料表が同条1号所定の「通常の使用料ないし返還品の価額」にあたるか(消極)
1 仮登記担保権の実行としての予約完結権行使により目的不動産の所有権の即時移転を主張する者は右予約完結権行使当時清算金を支払う必要がなかったことについての主張・立証責任を負うか(積極)
2 単なる登記上の名義人にすぎず実体上の権利を有しない者に対する当該登記の抹消に代わる所有権移転登記請求が認められなかった事例
宅地分譲業者と譲受人との間で高層建物の建築禁止の特約がされた場合には、分譲業者は譲受人に対し違反建築の差止請求ができるとされた事例
水資源開発公団に対する長良川河口堰建設差止請求事件において、原告らが国に対してした調査資料の提出命令の申立が却下された事例
融資が市商工課の斡旋によって行なわれたからといって、それだけで連帯保証の表見代理人が代理権を有すると信ずべき正当理由ありということはできない
預金通帳の100万円の預入記載はコンピューターの操作ミスによる誤記入であるとして、預金の払戻請求が認められなかった事例
1 記名式定期預金について、預入行為者を預金者と認めるべき特段の事情があるとして、出捐者からの払戻請求を棄却した事例
2 銀行が記名式定期預金債権を自働債権とし貸付債権を受働債権として相殺する場合には、民法478条が類推適用されると解すべきである
隣接居宅の日照等を阻害する鉄骨造3階建共同住宅(アパート)の建築につき受忍限度を越えたとして慰藉料支払が命じられた事例
1 合意管轄の法定代位弁済者に対する効力
2 民訴法21条の適用範囲
3 提訴から約8年経過後に民訴法31条により、職権で移送をした事例
保険金詐取の目的で殺害された者の遺族が、加害者が代表者となっている会社らに対し損害賠償の支払を求めるとともに、右会社の保険会社に対する保険金請求権を代位して保険金の支払を求める請求を名古屋地裁に提訴した事件につき、後者の請求の普通裁判籍及び義務履行地の裁判籍は東京地裁にあるとして、後者の請求を東京地裁に移送した事例
セメント製U字管の粉末による眼痛等に対する処置が不適切であったとし、その視力障害の結果について、医師の債務不履行責任を肯定した事例
信用金庫支店長の自己宛先日付小切手の振出は、たとえ支店長個人の利益を図るためにした権限濫用の行為であっても、表見支配人の行為として信用金庫は振出の責任を負担する
宗教法人の責任役員会に代表役員を選任・解任する権限がないとして責任役員会における代表役員の解任および後任代表役員の選任決議を無効とした事例
取締役でないのに取締役として就任の登記をされた者がその登記現出に過失があるときは、同人は、商法14条の類推適用により、自己が取締役でないことをもって善意の第三者に対抗することができず、同法266条の3の取締役としての責任を免れることはできないとされた事例
1 鉄筋コンクリート造り6階建ての1階部分のアルミサッシに「はめ殺し」にされた壁面硝子等が器物ではなく建造物である社屋の一部にあたるとされた事例
2 いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が建造物の損壊に該当しないとされた事例
殺人につき、被告人の行為はいわゆる夫権に対する防衛のためのものではあるが、必要かつ相当な限度をこえた過剰防衛であるとした事例
1 捜索差押許可状添付の被疑事実の要旨において被疑者の共犯として明記された者は、刑訴法429条1項、430条2項に規定する「不服がある者」に該当するか(積極)
2 刑訴法430条2項の準抗告について、同法6条、9条の法意に照らし、併合管轄を認めた事例