最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 憲法19条、14条と私人相互間の関係 2 特定の思想、信条を有することを理由とすることを雇入れの拒否は許されるか 3 雇入れと労働基準法3条 4 企業者が労働者の雇入れにあたりその思想、信条を調査することは許されるか 5 特定の信条を有することを解雇の理由として定めることと労働基準法3条 6 試用期間中に企業者が管理職要員として不適格であると認めたときは解約できる旨の特約に基づく留保解約権の行使が許される場合
乳児用調整粉乳に混入した砒素のため、多数の死傷者を出した中毒事故につき、右粉乳を製造した工場の製造課長の過失責任を肯定し、工場長の過失責任を否定した事例
土地およびその地上建物の所有者が建物の所有権移転登記を経由しないまま土地につき抵当権を設定した場合と法定地上権の成否
代位弁済により抵当権を取得した保証人が抵当権者に対する抵当権処分禁止の仮処分の附記登記をしたのち抵当権移転の附記登記を経由する前に第三者が抵当物件を取得した場合と民法501条1号
市町村の議会の議員または長の選挙において選挙人名簿に公職選挙法27条1項に基づき転出表示をされている者に対し投票を許した場合と選挙の効力
1 旧根抵当において、いわゆる回り手形も被担保債務に含まれるとされた事例 2 債務者倒産後、旧根抵当権の譲渡がなされた場合、譲受以前から有していた譲受人の債権を被担保債権に含めることと信義則
約束手形を振出すべき者が、名宛人の債権者に対して、右手形振出のうえ送付する旨記載した「支払証明書」を交付した場合の法律関係
1 建築士法18条の法意 2 建築物の設計・監理を委託された建築事務所およびその管理代表者である一級建築士に、その監理義務違反によって建築主に生じた損害の賠償責任を認めた事例
債務者以外の第三者所有にかかる有体動産につき強制執行がなされ、競買人が右動産を即時取得した場合と、執行機関から売得金の交付を受けた債権者の右第三者に対する不当利得の成否
審尋を経ない債権差押および転付命令に対する即時抗告の申立と同時に強制執行停止決定の正本が抗告裁判所に提出された場合右命令が違法であるとして取消された事例
土地の所有者から地上建物の所有者に対する敷地の賃貸借契約が解除されたことを理由として右建物(の一部)の占有者に対する建物退去、土地明渡の請求を認容した原判決に審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例
増価競売の通知および増価競売の申立ならびに担保許否期日指定および通知の後に物件を取得した者につき、あらためて、増価競売の通知および増価競売の申立ならびに担保許否期日の通知を要するか(消極)
売主の代理人が買主から受取った手附金を本人に交付しない間に売買契約が解除され代理権も消滅した場合において、買主が直接右代理人に対し右手附金の返還を求めることの可否(積極)
建物建築請負契約において請負人が完成した建物を注文者に引き渡さず他に譲渡しその旨の登記を経由したため履行不能となったとされた事例
1 部落居住集団が時効による所有権取得能力を有するとされた事例 2 部落居住集団の長年月にわたる不動産の占有が、自主占有でないとして、その不動産に対する所有権時効取得の主張が排斥された事例
1 落下してきたサッカー・ボールによる通行人の受傷事故につき、グランドの設置に瑕疵を認めた事例 2 右事故による治療費以外の損害賠償請求権の放棄に関する和解契約の成立を否定した事例
1 財団法人がした金銭準消費貸借契約がその目的の範囲外の行為として無効とされた事例 2 財団法人の目的の範囲外の行為による損害につきその代表者らの賠償責任を否定した事例
売買の目的物の一部が他人の所有に属する場合買主が自ら所有者と交渉し、直接これを取得するに至ったことが信義則上やむを得ないものであるとして、買主に代金の減額請求および損害賠償請求を認めた事例
鉄道公安職員により違法に逮捕監禁された弁護士から国に対する損害賠償請求について、慰藉料の請求を金50万円の限度で認容し、謝罪広告の請求を排斥した事例
集中降雨に基づく河川の氾濫により被害を受けた者等から県知事の一級河川護岸の設置又は管理の瑕疵を理由として県に対し損害賠償を請求した事例
砂利採取跡の川底の深みに落ち込み、溺死した中学生の親から河川の管理の瑕疵を理由に、国に対し損害賠償を請求し、認められなかった事例
7才1ケ月の子供が大人用プールに入り溺死した事故につき、大人用プールと子供用プール間の往来防止柵の不存在をもってプール設置の瑕疵にあたらないとしたが、使用者責任を認めた事例
工場内に設置されたベルトコンベア機の設置・保存の瑕疵は、その工場建物を含む全体としての土地の工作物の設置・保存の瑕疵に該当する
1 分裂国家の国民の本国法を決定する場合の基準 2 中華民国における「姓」は、人事訴訟手続法1条の適用基準となるか 3 渉外離婚事件に人事訴訟手続法1条の適用があるか
車両の保有者と継続的運送請負契約を結び、自らも助手席に同乗して車両の進路を指示する等の行為をなした者は、運行供用者に当る、として自賠法3条の他人性を否定した事例
1 飲食店の従業員が休み時間中、遊びのついでに任意で店の用も兼ね、店とは無関係の父親の車を運転中に惹起した事故につき、右飲食店主の使用者責任を否定した事例 2 特殊変形交差点(五差路)での事故の過失相殺事例
会社の代表取締役個人が民法715条2項の責任を負うには、当該代表取締役が、会社において、被用者に対する一般的な選任監督の権限を有する他に、会社に帰属すべき利益を実質上、個人として享受しうる立場にある等、同条の責任を会社と共に負うのを妥当とする事情の存在することを要する、として、代理監督者責任を否定した事例
1 後遺症に基づく逸失利益は、いわゆる労働能力喪失率表に従って画一的に算定されるものでも、後遺症の程度だけから一般的抽象的に評価される労働能力喪失を損害と認めるのでなく、被害者の現実の稼働状況を基礎として推計される具体的労働能力の喪失をもって損害とすべきであるとして、逸失利益を否定し、右損害を慰藉料で斟酌するとした事例 2 逸失利益の請求額を慰藉料に流用し、慰藉料を当事者の請求額以上に認めても民訴法186条および弁論主義には反しないとした事例
追越をした後、右折しようとした車(刑事では不起訴処分)に、追越された車(刑事では無罪)が追突した事故について過失割合各5割と認定した事例
大型貨物自動車としては、通常14プライのタイヤを装着して運行すべきところ、外見上の表示から容易に判明するにかゝわらず、そのまゝ運行したゝめ、タイヤがバーストして生じた事故につき、運転者は勿論、運行供用者にも過失渉あったとして免責の抗弁を排斥した事例
満4才6ヶ月の子供の事故につき、監督義務者たる両親の平素から十分しつけておかなかった過失により損害額の3割を減じた事例
交差点における、黄信号で交差点内に進入した車両と、赤信号で見込み発進した車両の衝突事故につき、過失割合を前者4、後者6と認めた事例
比較的短期間に転職しており、勤続年数の短かい24才の男子につき、勤務会社に退職金規定が存在することが認められるけれども、退職金支給を受ける高度の蓋然性渉認められないとして、退職金損害を否定した事例
黄信号で交差点に進入し、一時停止して、対向車線を進行して来た直進車2台をやりすごし、1台が停止線で停止したので、右折進行した車輌と、対向車線を黄信号で交差点に進入した直進車が衝突した事故について、右折車の運転手に免責を認めた事例
自動車販売業者が下取車を売却し、自己名義で臨時運行許可を得、買受人が右許可に従って運行中、タイヤが摩耗していたためにスリップして発生した事故について、右販売業者に民法709条の責任を認めた事例
交通事故により、右前頭葉および頚部損傷、右頭頂骨陥没骨折の傷害を受けていたが、単なる鞭打症と診断されて、その対症療法を施すに止まったために、小脳内の細胞壊死が進行して脳内出血の起りやすい病的変化が現われていたところ、更に精密な診断をすべく行なった血管撮影の際に、血管造影剤注入の刺戟で脳内出血がおこり、それによる脳中枢機能障害と続いて起った就下性肺炎で死亡した事案において事故と死亡との間に相当因果関係はないと判断した事例
夜間横断歩道上で、四つん這いになって探し物をしているところを自動車に跳ね飛ばされた事故について、被害者と運転者の過失割合を被害者7、運転者3とした事例
巾員16.85メートルの国道上、路端から巾5メートル、長さ35.6メートル、最深部で深さ1メートルの窪地がある場合に、可動式木柵を1個おいただけでは、安全性を備えているとは言い難いとして道路管理に瑕疵を認めたが、右瑕疵は事故の原因ではないと認定した事例
前額部に残った長さ約2.2センチメートル、最大巾0.5センチメートルの瘢痕が自賠法施行令別表の等級12級14号の定める女子の外貌に醜状を残すものに該当しないと判断した事例
巾員22メートルの道路(甲道路)と巾員13メートルの道路とがT字型に交差する交差点内において、甲道路上信号待ちのために停止し、青信号に従って右側に停止していた車輌に続いて発進した乗用車と甲道路上反対方向がら進行して来て右折しようとした足踏自転車が衝突した事故について乗用車の運転手に無過失を、同車の運行供用者に免責を認めた事例
片側2車線の道路上、第一車線を進行して来た貨物自動車が、追越しのために進路変更をして第二車線に出たところ、第二車線を進行して来た原動機付自転車に接触した事故について、原動機付自転車に道交法違反の行為はないが、進行方法が軽率であったとして2割の過失相殺をした事例
1 下請業者の従業員によって発生せしめられた事故につき元請業者の使用者責任を肯定した事例 2 被害者につき、加害車両の後退指示に関する過失を認定し4割の過失相殺をした事例
別居中の未成年の子が自動車を購入するに当り、その名義を貸与し資金援助を与えるなどした父親に運行供用者責任を認めた事例
1 土地賃借権譲渡許可申立を認容した事例 2 右許可に伴なう財産上の給付は、特定人に対する譲渡性を付与することの対価である
附近土地の利用状況の変化を理由に借地条件変更申立を認容し、付随処分として、借地範囲のうち争いない部分の更地価格の約10%に相当する金銭の支払を命じ、争いある借地部分の建物建築を賃貸人の承認にかからしめた事例
1 増改築ならびに借地権の譲渡許可を求める併合申立をいずれも認容した事例 2 借地権の譲受予定者に譲受後にする改築の具体的計画が定まっている場合には、現賃借人において譲渡許可と増改築許可の各申立を同時にすることができる
商業地域、準防火地域、第四種容積地区の指定により、将来建物の堅固化がすすむと予想されることを理由として借地条件変更申立を認容した事例
農協理事甲が法律上有効な選任手続を経ないでなされた乙の農協理事への就任を承諾し不実な登記がなされた以上、乙が善意の第三者に与えた損害につき、甲は農協理事としての責任を負わねばならない
手形用紙の振出人らんに押印しただけのものが盗取された後に第三者によって手形要件が補充された場合と右押印をした者の振出責任の有無(消極)
無権限者によって引裂かれた手形紙片の大半を回収し継ぎ合わせて手形の原形が回復された場合、手形の滅失があったといえないとされた事例
生命保険契約締結後2年以内に被保険者が自殺したときは、死亡保険金を支払わない旨の約款にいう「自殺」に当るかどうかが争われた事例
人的抗弁の対抗を受けるべき手形の受取人会社が倒産し、銀行に対し同会社の個人保証をしていた同社の代表取締役らが、会社に代って貸金を弁済し、会社が担保のため差入れていた右手形を、銀行から無担保裏書を受けた場合、これを戻裏書と同視して代表取締役らの振出人に対する手形金請求を棄却した事例
1 公立高等学校校長が編成した教育課程の適否が争われた事例 2 教育委員会がした右教育課程の承認は、抗告訴訟の対象とはならないとされた事例
「襞のある模様状縁飾を備えた靴下」に関する実用新案登録出願について、引用例と靴下の口編部の緊定を目的とし、襞を形成させる構造を有する点において一致しているとして、拒絶審決を是認した事例
「といし車」に関する特許出願について、1操作によって、同時に2種の硬度の被研磨材料に接触せしめる上において、引例と異なるとして拒絶審決を取り消した事例
「撰別機」に関する特許出願について、引用例のものとの籾混入率を対比すると、構成作用効果を全く異にすることが明らかとして、拒絶審決を取り消した事例
染料などの商品に関する「チバ」という商標登録出願について、右商標が世界的に有名なチバ・リミテッドの商号を示すものであっても、ありふれた氏姓「千葉」に通ずるとして拒絶審決を是認した事例
染料などの商品に腸する「シバ」と世界的に有名なチバ・リミテッドの商号を表すものであっても、「芝」「柴」などに通ずるとし、拒絶審決を是認した事例
「水口青立防止栽培法」に関する特許出願について、北日本新聞に掲載された富山地方における公然実施の事実によって拒絶を相当とする審決を是認した事例
「接着用銅材料の表面処理法」に関する特許出願について引用例に示された命題が真実に反することが当業者に周知であるとして、引用例から容易推考できるとの判断が誤りであるとして審決を取消した事例
「ブレビバクテリウム・フラブム細菌の醗酵による」L-グルタミン酸の製造法」に関する特許出願について、その使用菌は杆状菌であるのに対し、引用例のものが球状菌であり、この菌の形態を異にする以上、別異の菌であるとして、拒絶審決を取消した事例
ソーセージに関する意匠登録出願について、引用意匠とV字形にした要部において、類似しているとして拒絶審決を是認した事例
「輻射バーナー」に関する実用新案登録出願について、本願考案は、第一引用例のバーナーにおける有焔燃焼の盤体を第二引用例の無焔燃焼の盤体をもって置き換えたにすぎないとして拒絶審決を是認した事例
特許出願に対する拒絶査定謄本は書留郵便に付して発送したときに、現実に到達したか否かを問わず送達が完了するとして、その後に提出された住所変更届不受理処分を是認した事例
「着換用人形」ほか3件の実用新案登録を受ける権利についてその実施契約が約定に基づく通知により解約され、実施料最少支払保証額の債務が消滅したとされた事例
「コースロープ用フロート」に関する特許権に基づく差止等請求について、被告の製品が消波性を有しないから権利侵害は成立しないとした事例
1 「乾式ひげそり器」の特許権に基づく差止請求について、特許発明における「取付個所」に関する解釈認定の相違から、権利範囲に属しないとする被告の主張が排斥された事例 2 右差止請求について、製造中止の事実だけでは、なお製造のおそれがあると認定した事例
「ピロビタン」という乳酸菌飲料につき、その販売業者に対し、原液供給元が、近く営業継続ができなくなる旨の電話をしたことが諸般の事実から虚偽の事実の陳述に該当しないとされた事例
「遊戯場装置」に関する特許権に基づく差止等請求事件において、被告装置は本件特許発明にいう「速度変更装置」を備えないとして、請求を棄却した事例
普通貨物自動車が第二種原動機付自転車に近接して追い抜いたため自動車の速力による「あおり」で右自転車の平衡を失わせて転倒させたと認定した原判決を破棄し、同車の運転者をして驚愕狼狽により操縦を誤らしめ転倒させたものとして右自動車運転者の責任が肯定された事例