最も長い歴史をもつ判例実務誌
日照阻害を理由とする、一部7階建一部4階建のマンション建築工事禁止の仮処分申請の一部(北側4階部分のうちの3階および4階の一部)が認容された事例
1 刑事責任の追及を目的としない手続における強制と憲法35条1項 2 所得税法(昭和40年法律33号による改正前のもの)63条、70条10号に規定する収税官吏の検査は憲法35条1項に違反するか 3 刑事手続以外の手続と憲法38条1項 4 所得税法(昭和40年法律33号による改正前のもの)63条、70条10号・12号に規定する収税官吏の質問、検査は憲法38条1項に違反するか
1 民訴法420条1項6号または7号に基づく再審の訴と同項但書 2 同条2項後段の再審の要件が具備したと認められた事例 3 牽連犯の公訴時効 4 民訴法420条1項6号または7号に基づく再審の訴と同法424条4項
抵当権の被担保債務の弁済による求償につき保証人間に遅延損害金の特約がある場合において、代位弁済した保証人が抵当不動産の差押債権者または右不動産の第三取得者に対し権利を代位しうる範囲
1 甲法人以外の者は、「原告が甲法人の理事者の地位にあることの確認の訴」の被告適格者であるか 2 甲法人は、一の訴の被告適格者であるか 3 甲法人以外の者は、甲法人と共同被告とするとき、一の訴の被告適格者となるか 4 法人の理事者の地位にないことの確認の訴の利益がない場合 5 法人の理事者の地位にないことの確認の訴の被告適格者
1 無断運転された車の保有者に運行供用者責任を肯定した事例 2 不法行為(交通事故)により生じた損害賠償債務を営業に因って生じた債務とし、営業譲渡による商号続用の譲受人にその弁済の責任を認めた事例
1 夫所有・運転する自動車に同乗中、振り落され死亡した妻の自賠責保険における被害者請求(逸失利益・慰藉料も含む)を認めた事例 2 慰藉料額の算定につき身分関係を考慮して減額した事例
被保険者が保険契約にかかる自家用乗用自動車に窃取した品物を積載して逃走中に惹起した事故につき、保険会社の保険責任を認めた事例
船内内装作業中表面が剥離し雨にぬれた投光器を使用したことによる感電死傷事件につき過失相殺により損害額を3分の1に減額した事例
1 県費負担教職員につき勤勉手当債権は県教育委員会の支給決定をまって発生するとした事例 2 右の年次有給休暇請求が学校長の付与をまって付与の効力を生ずるとした事例 3 年休の承認を与えなかったことが業務の正常な運営を阻害する場合でないから違法とされた事例
制限速度内で自動車を運転し交差点に進入しようとした直前に信号が黄色に変わったため制動距離の関係で交差点内に進入し通過せざるをえなかった場合であると認めて過失が否定された事例
1個の裁判により併合罪の一部につき無罪、他の部分につき有罪の裁判があり、無罪部分のみが確定している場合に、右無罪部分につきなされた勾留による刑事補償を請求しうるか
タクシー運転手に対し、「一寸待ってて」と申し向け、運転手をして再び乗車するものと誤信させて、運賃の支払いをしないまま下車逃走した行為が、詐欺罪を構成しないとされた事例
1 特定郵便局長である被告人が、他の特定郵便局長等に脱法文書であるマッチを配布した行為が、共謀者間の授受であって、公職選挙法243条5号、146条1項に該当しないとされた事例 2 被告人の右行為が人事院規則に定める政治的行為に該当しないとされた事例
保証人が抵当権者に対する代位の附記登記請求権を保全する目的で抵当権の処分禁止の仮処分の附記登記をした後抵当不動産を第三者が取得した場合において保証人が抵当権者に対し抵当権の代位の附記登記手続を請求することの可否
競売開始決定に対する異議により右開始決定を取り消した決定に対する抗告事件において、右異議の事由が解消したとの理由で原決定を取り消したが別の異議事由についてさらに審理させるため原審に差し戻した事例
債務者が銀行から融資を受けるについて物上保証を承諾し所要の書類を交付したが銀行が融資を拒絶したため債務者が他の個人から右書類を利用して融資を受けた場合につき、民法109条・110条の表見代理の成立を否定した事例
土地賃貸借契約において賃料を6ケ月以上延滞したときは無催告で解除できる旨の約旨に基づいてした契約の解除が権利の濫用にあたらないとされた事例
建物賃貸借の解約申入に基づき金70万円の支払と引換えに建物の明渡を求める訴訟において金105万円の支払と引換えに建物の明渡を認容した判決と民法186条
賃借人が営業用に賃借使用中の建物につき、賃貸人の営業のための自己使用の必要度等からは、直ちに解約申入の正当事由があるとはいえないが、20箇月分の賃料相当額の提供により正当事由が補完されたとされた事例
土地への出入が妨害されたとしても、その入口の設置が権利の誠実な行使にあたらないとして、妨害者に対する損害賠償請求を認めなかった事例
1 農業協同組合の員外貸付が無効であって借主が借受金相当額の不当利得金返還義務を負う場合、右貸付金担保のための不動産の代物弁済予約は、不当利得金返還請求権をも担保するか(積極) 2 右の場合、右不動産の後順位担保権者は、先順位担保権者である農業協同組合に対しその担保物権の効力を否定することが許されるか(消極)
1 旅館客室の窓に転落防止用の手すりその他の設備をほどこさなかったことが工作物設置の瑕疵にあたるとされた事例 2 幼児が旅館の窓から転落受傷した事故につき同行した両親にも過失があるとして3割の過失相殺をした事例
タクシーの乗客として同乗中、追突事故により負傷した書道家に対し、制作等に支障を来たした期間の認定と、その間の逸失利益算定例、および、右書道家のマネージャーをしていた妻に対し、入院中附添った期間の休業損害算定例
1 11才の少年が、大人用足踏自転車に乗って橋上を右側通行中、強風にあおられて対向して来たダンプカーに倒れ込んで轢過された事故につき、30%の過失相殺にとどめた事例 2 未就労者が将来5年毎に昇給するとの前提の逸失利益算定方法を採用しなかった事例
橋上の縁石のある歩道の一部を区切って、二輪車および軽車両の通行帯として区分したために、従来の車道との間に区分線にそって道路に段差があるところに右指定に違反して普通車が通行し段差が一つの原因となって生じた事故につき、国に道路管理上の瑕疵はない、とした事例
広狭差が明らかな交差点で、飲酒の上自転車に乗り、狭路から進入し横断中、広路を進行して来た普通乗用車に衝突されて死亡した被害者に、25%の過失相殺をした事例
ガード下に無許可で足場を組み、踏板を渡して作業をしていた塗装業者の一従業員を、車の積荷の先端で引っかけて転落させた事故につき、右従業員にも過失ありとして3割の過失相殺した事例
追突事故で負傷した割烹料理店主兼板前の休業損害につき、「他の板前を雇えば事業を継続できる」、との主張を排斥して、休業中の収益損害額を認容し、更に店舗再開に伴う宣伝費を認容した事例
追突されて負傷したタクシーの乗客が、追突した自動車の所有会社と使用者たる同会社代表者個人に対して損害の賠償を請求した事案につき、会社代表者個人の代理監督者責任を否定し、事故後、被害者に対し、会社が支払うことを約した金額につき、代表者個人として連帯保証する旨の合意の範囲は、現実の出費の範囲に限る、としてそれ以外の請求を棄却した事例
交差点において、右折した小型貨物車の左後部に直進原付自転車が接触した事故につき、直進車の過失割合を4割と判断した事例
信号待ちのために二列になって停止している車両の間を横断しようとして、信号が変ったので発進した大型貨物自動車に接触した事故について、右大型貨物自動車の運転手に過失を認め、過失割合を各5割と判断した事例
1 小土木会社従業員の逸失利益の算定につき、いわゆる将来のベースアップを考慮することは妥当でないとした事例 2 狭義の昇給につき、昇給が高い蓋然性をもって予定されているものと認められない場合は逸失利益算定の基礎たる収入に加味することは相当でないとした事例 3 独身者の生活費45%、慰藉料400万円とした事例
父と息子が共同で買い受けて家族構成員で使用していた自動車を、娘とその婚約者が借りてドライブに出かけ、交替で運転していたところ、婚約者が運転中に事故が発生し、娘が死亡した事故について、娘は自賠法3条の他人に該当しないと判断した事例
高校生らが6台の単車で、時速80キロメートルの高速で先行車を、順次交互に追越をしているうち、普通乗用車が5番目の単車との接触を避けるために左側に寄ったところ、同車の左側を併進していた6番目の単車も左側に寄ろうとしたが高速のためにスリップして橋の欄干に激突した事故について、右乗用車に免責を認めた事例
1 父親Aの主宰する家業に息子BとCが従事し、AがBとCに専用として各二輪車を買与えていたところ、Bの車が故障したのでCの車に同乗して作業現場に赴く途中に事故が発生し、Bが死亡した場合、Bは自賠法3条の他人に該当する 2 AはCの使用者として民法715条1項によりBに対して損害賠償債務を負担するから、Bから相続により承継した損害賠償債権は混同で消滅し、AはCに対して右債権を行使することは許されない 3 家族構成員間の不法行為については、円満な家族生活を継続している限り慰藉料の請求は許されない
1 トラック・クレーン車が停止状態で、そのクレーン装置をもって物件を運搬するために操作される場合は、自賠法3条の自動車の運行にあたる 2 韓国籍の被害者の死亡事故について、大韓民国民法に準拠して相続を定めた例 3 労災保険法による遺族補償年金は、これを受領した遺族が相続した死者の逸失利益による損害賠償請求権の額から控除するのが相当であるとした事例
巾員7.45メートルの県道上を乗用車で進行中、道路前方右端に停車中の乗用車(被害者の父親が運転し、母親は後部座席に同乗)から降りて、その後方から道路上を走り出た男児(7才8月)を、約17.8メートル前方に発見して急停車の措置をとったが間に合わずに衝突せしめ死亡するに至らしめた事故について、本件事故は男児の飛び出しと母親の監護義務懈怠が主たる原因であるとして、被害者側の過失を75パーセントと判断した事例
宅地から後退して道路に出ようとした普通貨物自動車の運転者が、道路側端から右側で約70糎、左側で約50糎進出した地点において、左後方から約22.8米先に原付自転車を発見して一時停止したところ、原付自転車の運転者の前方不注視により衝突した事故について、過失割合を、普通車を2、原付自転車を8と判断した事例
年令71才の男子新聞配達員の逸失利益を、年令・健康状態と仕事の内容からして事故前の収入をあげ得るのは尓後3年間であるとして算定した事例
原付自転車を追越すためにセンター・ラインを超えた乗用車の運転者が、対向車を発見し、慌てて蛇行運転をして急停車したために、乗用車の左後部に原付自転車が衝突した事故について、原付自転車の運転者には過失がないと判断した事例
故障して18時間余も路上に駐車していた大型特殊貨物自動車(故障台車と表示)に普通貨物自動車が追突した事故について、過失割合を大型車側を3、普通車側を7と判断した事例
第一事故による障害の治療中、第二事故により受傷した場合において、第二事故後の損害は、第一事故の加害者と第二事故の加害者が各5割負担すると判断した事例
対向車の前照灯に眩惑されながら、そのままの速度で進行を続けたために、道路中央線付近に頭を左側端に足を向け仰向けに寝ている被害者を7ないし8メートルの距離に接近して発見し、直ちに右転把して避けようとしたが、次の対向車の右前部に接触したので、更に左転把して進行したために被害者を轢いた事故について、加害者と被害者の過失を各5割と判断した例
事故発生時には個人経営であったが、その後会社(有限)組織になった場合に、個人経営者(後に会社の代表取締役)の運行供用者責任を否定した事例
住民地域、準防火地域、第三種容積地域の指定はなされているが、附近土地の利用上の変化が認められないとして、借地条件変更申立を棄却した事例
高等学校長の定めた教育課程につき、生徒の父が申し立てた一部授業の停止を求める執行停止の申立が、回復困難な損害を生ぜず、緊急の必要性がないと認められた事例
株式会社が解散していないのに、解散したとして清算人を選任した旨の登記が存する場合、清算人として登記されている者を第二次納税義務者としてなした国税の納付告知処分を違法として取り消した事例
労働基準法第20条第3項による行政官庁の認定を受けないで解雇した場合であっても、労働者の責に帰すべき事由が存する場合においては、当該労働者は解雇予告手当を請求することはできない
会社の代表取締役が会社の退職金債務の支払いを暴言をもって差し止めたことが取締役個人の不法行為とされ、代表取締役個人および会社が右退職金支払請求の弁護士費用の支払いを命ぜられた事例
1 刑事訴訟法382条の2第1項にいわゆる「やむを得ない事由」の意義 2 記載洩れを補正して新たに作成された前科調書が同条項にいう「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった」証拠にあたるとされた事例
市当局と地域住民団体との集団的交渉の場であらわれた住民側の暴行脅迫的言動につき、実質的違法性なしとして暴力行為等処罰法違反罪の成立を否定した事例
被告人の捜査段階における自供が、馴れない身体拘束状態から早く解放されたいためにあえて真相をまげ捜査官の理詰めの追及や誘導に迎合してなされた疑いが濃く、その真実性を裏づけるに足る補強証拠もないので信用できないとして無罪を言い渡した事例
交差点を通過するに当り幅員の広い道路を運行した被告人に徐行義務なしとして、無罪を言い渡した一審判決を破棄し有罪とした事例