最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 昭和29年京都市条例第10号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例の合憲性 2 みだりに容ぼう等を撮影されない自由と憲法13条 3 犯罪捜査のため容ぼう等の写真撮影が許容される限度と憲法13条、35条
1 捜索差押令状の執行にあたり、施錠された物件を破壊したことが違法とされた事例 2 いわゆる権利能力のない社団は、名誉毀損による非財産的損害の賠償を求めることができるか
1 交通事故加害者に6,300万円の損害賠償を命じた事例 2 下請業者の被用者の事故につき元請業者に運行供用者責任を認めた事例 3 交通事故で死亡した社長の息子の将来における取締役昇任の可能性(消極) 4 会社が交通事故で死亡した従業員のために支出した社葬費用、退職弔慰金は損害と認められるか(消極) 5 会社が交通事故により死亡及び負傷した従業員の看病、遺体引取並びに葬儀、通夜及びその準備その他事故後始末のため従業員を休業させた場合の会社の損害の範囲
隣接土地上に存在する保存登記を経由した建物の庭として使用することを目的とする土地の賃借権と建物保護に関する法律1条による対抗力
1 連帯債務の成立を認めた判断に理由不備の違法があるとされた事例 2 連帯債務の消滅時効完成後債務を承認した債務者の1人が債務全額について消滅時効を援用しえないとした判断に理由不備の違法があるとされた事例
債務者が利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金を元本とともに任意に支払った場合と右制限に従った元利合計額をこえる支払額に対する不当利得返還請求の許否
商品取引所受託契約準則16条に違反して委託証拠金なしに信用取引がなされた場合における商品仲買人と委託者との間の契約の効力
代理人が権限を濫用して約束手形の振出人のためにした手形上の保証と手形受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えた国に対する保証人の責任
1 代表取締役代行者なる名称と商法262条 2 いわゆる持ち廻りの方式によったため有効な取締役会の決議とは認められないとされた事例 3 代表者選任が無効の場合において商法262条の類推適用が認められた事例
1 判決を郵便に付して送達した場合の瑕疵の有無 2 郵便に付する判決の送達手続が違法であるときこれを受領した場合における控訴期間の進行
1 国家賠償法2条における「公の営造物」の意義 2 市町村有の引揚者施設が「公の営造物」であるとされた例 3 国家賠償法2条と失火の責任に関する法律との関係 4 公の営造物の管理上重過失があるとされた例
1 修理依頼者に運行供用者責任を認めた事例 2 過失割合を被追突者1割、進路変更の際の追突者9割とした事例 3 同僚の過失を被害者側の過失として斟酌した事例 4 入院雑費につき1日あたり200円の限度で相当性を認めた事例
1 幼児の逸失利益から養育費を控除すべきか(積極)(イ、ロ、ハ判決) 2 子の死亡により慰藉料請求権を取得した者がその後死亡した場合、右慰藉料請求権は相続されるか(消極)(ハ判決)
1 一時停止の標識の設置されている交差点における出合頭の衝突についての過失割合 2 主婦の死亡による逸失利益を認めた事例 3 共同不法行為者間の事前の求償請求を否定した事例
1 労働災害に対する抗議行動として許される限界を判示した事例 2 いわゆる抗議ストの正当性を判示した事例 3 山猫ストとして不当争議行為とされた事例
1 労働組合の1支部の財産が支部員の労働条件向上のため管理さるべき目的財産であると認められた事例 2 機関決定に対する組合員のなした非難が除名事由にあたらないとされた事例 3 統制違反事実調査のための調査委員を統制違反被疑者が明文の規定なくして忌避したい旨申出たことが、除名事由にあたらないとされた事例
刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定に対して特別抗告の申立があった後に刑の執行猶予期間が経過した場合と刑の執行
1 刑法208条の2第1項の解釈 2 前同条同項にいわゆる兇器にあたる一事例 3 前同条同項前段所定の兇器準備集合罪の成立する一事例
1 第1回公判期日前の保釈請求を却下した原裁判に対する準抗告申立事件において、準抗告裁判所は原裁判後に生じた事情を原裁判の当否を決する資料となしえるか(消極) 2 右準抗告裁判所は、右申立を棄却するとともに、さらに刑訴法90条の裁判所として、原裁判後に生じた事情を考慮して職権保釈をしうるか(消極)
1 登記申請行為と表見代理 2 登記義務者の意思にもとづかない登記申請行為によりなされた登記の抹消請求が許されないとされた事例
事実上の養子を実子として出生届出をした事実上の養親が後日実親子関係を否定したことを不法行為とし、これに基づく養子からの損害賠償請求を認容した事例
対向車両の蔭から自車の道路直前に進出してきた横断歩行者に自車を衝突させた事案につき、自動車運転者の過失責任を否定した事例
従業員が代表取締役所有の自動車を無断私用運転中惹起した人身および物件事故について会社に使用者責任、代表取締役に運行供用者責任および代理監督者責任が認められた事例
三輪自動車の同乗者が降車しようとして開いたドアーに右自動車の側方を進行しようとした原付自動車が接触した事故について右自動車の運転者の過失が認められた事例
1 準防火地域の指定、附近土地の利用状況の変更を理由に借地条件を変更した事例 2 賃借権の設定が実質的には前契約を承継したと認められる場合には、前契約当時を基準として事情変更の有無を決すべきである 3 借地条件変更に伴ない、賃借人が賃貸人に給付すべき金額を、契約の目的変更による借地権価格の差額とした事例
1 土地賃貸人が自ら建物および借地権の譲渡を受ける場合の対価 2 土地賃借権譲渡許可の申立と併合された建物の構造に関する借地条件変更の申立は賃貸人からの買受申立がなされないことを条件とするものと解すべきである
1 県選挙管理委員会に対する異議申立と同委員会の審査し得べき範囲 2 右審査において異議申立人、当選人を立会もしくは参加させることを要するか
「投映目盛盤」に関する実用新案について、出願前から国立衛生研究所に備え付けられた投映目盛盤が存在することを理由としてその登録を無効とするのを相当とした事例
「二段ベッド」に関する登録実用新案につきその登録無効審判手続係属中、訂正の審判が請求されても、訂正審判の審決を先行すべき法律上の根拠はないとした事例
「ポリエステル樹脂とガラス繊維との積層材」の製法並にその装置に関する改良に関する発明の特許出願について、ローラーの構成と配置の点で引用例と異なるとの原告の主張が排斥された事例
「ポリエチレンテレフタール酸エステル薄膜」に関する特許出願について、その発明が分割前の親発明のうちに開示されていないとし、親発明の出願について援用した優先日以降の引例による拒絶を相当とした事例
1 「ガス洗気壜」に関する実用新案登録出願について、審決に至るまで二つの訂正書が出されているときには特段の事由がない以上、審決は第二の訂正書による訂正に基づいてその登録請求の範囲を認定したものと判断した事例 2 右出願について、審決が挙げた二つの引例からその登録を拒絶するのは違法であるとした事例
「伸延可能なリンクバンド」に関する特許権に基づく差止の仮処分申請事件について仮処分債務者の商品腕時計バンドが、その流行が変り、需要が減ったため製造販売をやめた事案につき、被保全権利の疎明なしとした事例
米国人の著作物であるぬいぐるみ人形の製作に当った日本下請業者がこの人形を勝手に他の米国人に売却した事案につき、右買受人が米国法上の著作権侵害による賠償をした金額は、右下請業者の不法行為としてその責に帰せられるべきである
「コンセントタップ」に関する意匠権に基づく差止請求についてプラグ差込板の数・形状及び配置の仕方などの意匠構成の基本的要素を異にし、類似しないものとして権利侵害なしとされた事例
犯行の背景事実に関する証言が措信できないからといって、その後起った具体的事件に関する証言まで信用できないとはいえないとして、原判決の判断を不当として破棄した事例
いわゆる「キセル乗車」の意図をもって、その手段として、乗車駅および降車駅付近の短区間の乗車券を所持し、乗車駅改札係員に乗車駅付近の区間の乗車券を呈示して鉄道職員をして降車駅まで輸送の役務を提供させた行為につき、詐欺罪の成立を認めた事例
酒気を帯びて蛇行運転を繰り返しながら先行する自動二輪車が警笛を吹鳴した直後一旦は避譲したように見えたのでこれを追越そうとして自車を接触負傷させた事案につき自動車運転者の過失責任を認めた事例
交差点手前で赤の信号で停止している被告人運転の自動車の前方に1台、右側に3列以上の車両がともに信号待ちをしていて、これらが青の信号によって一せいに発進し、右方から進行してきた原付自転車に自車を衝突させた事案について、被告人に右方安全確認義務を怠った過失が認められないとされた事例
1 業務上過失致死被告事件につき目撃者がなく、被告人も事故状況についての詳細な記憶を有しないため、事故発生地点、事故当時の被害者の行動等につき間接事実によって推認し有罪とした事例 2 右事件につき訴因変更手続を不要とした事例
家事審判規則4条1項但書に定める自庁処理の必要性の判断については、当該家庭裁判所の裁量に委ねられ、当事者はこれに対し不服の申立は許されない
1 最高裁判所規則によって制定し得る事項は、憲法77条1項所定の事項に限られるわけではなく、法律によって委任された事項についても及ぶ 2 家審法26条1項の規定が、調停不成立の場合調停申立の時にさかのぼって審判申立があったものと擬制しているのは、新たな審判申立、手数料の納付等を不要とするとともに、審判申立期間の定めがある事件について期間経過による不利益を生ぜしめないことをはかったものであって、調停手続をさかのぼって審判手続の一部とみなす趣旨とは解されない 3 乙類審判事件の調停手続について審判前の仮の処分を命ずる審判をすることは許されない 4 乙類調停事件について許されない審判前の仮の処分をなした場合においても、家事審判官に当然要求される注意義務を怠って判断を誤ったというに足る特別の事情のないかぎり、これによってその家事審判官に国家賠償法1条1項にいう故意過失があったとすることはできないとした事例
1 相手方夫と同棲中の女性との間に生れた未成熟子に要する養育費は、相手方において、子の扶養義務を負うものであるから、婚姻費用の分担の計算において考慮すべきである 2 別居中の妻からの婚姻費用分担申立に対し、双方の住居費および夫と同棲中の他女との間の非嫡出子の保育料を差し引いた月収を基礎とし、労研方式によって申立人の生活費を算定した事例
会社名義の財産であっても、その会社の実質が家族経営の域を出ないものである場合には、その家族である養父母ならびに申立人ら夫婦の共働によって形成された共有財産とみるべきであり、財産分与の対象となる。
地震のため両親を失った未成年者に対し、全国から寄せられた見舞金・義援金が多額にのぼるので、その管理及び未成年者の保護のための後見人選任の申立につき、右後見事務の重要度から考え、さらに後見監督人選任の申立をさせ、後見人に対し後見事務に関する特別な指示をした事例
離婚と財産分与を求める調停事件において前者につき家事審判法24条1項による審判をするときは、それと密接不可分の関係にある後者についても同時に審判を行うことができ、同条第2項はかかる不可分の審判事項についてまでその分離判断をするよう定めているものではないと解する
他家の選定家督相続人となりその家の氏を称していたが、その後実家に帰り、20数年にわたり家畜商あるいは酪農経営者として努力し、社会的・経済的生活の全領域において実家の氏を称して来たことが認められる事案においては、実家の氏に変更することができる
夫婦親子5名が一家心中を図ったところ、妻のみが生き残り、夫の遺産に対する相続人の範囲に関し、子3名の死亡時刻が問題となる事案においては、右死亡時刻は相続関係に重大な影響を及ぼす事項であるから、その訂正審判は許されない
1 旧樺太土人(オロチョン人)は、平和条約の発効により、南樺太が日本の領有に属しなくなった後においても、そのことだけでは広義の日本人としての地位を失わなかったものであって、むしろ同条約発効後は日本人として日本の国籍法および戸籍法の適用を受けるべき地位を有するにいたったものと解される 2 樺太原住民を父母あるいは祖父母に持つ申立人ら母子は、母が樺太での生活上やむを得ずソ連邦の国籍取得の手続きをしたものであり、このことについてソ連邦政府機関等から強制されたものではないが、同人の自由な意思に基いてなされたもと解するのは酷である等判示事情の下においては、国籍法8条により日本国籍を喪失したものとは解すべきでない
1 国際私法上適用の対象となる法律は、その法を制定施行している国家ないし政府に対して国際法上の承認をしているものに限られないとして、未承認の中共の法律を適用して離婚判決をした事例 2 中共の法律を準拠法とする場合子の養育上必要と認められる場合には少なくとも親権に対して根本的な変更をきたすおそれのない監護者の指定をすることができる
1 外国人女は比国男と婚姻により自動的に比国籍を取得するものでなく、1939年6月17日成立の同国改正帰化法第2条所定の資格要件を充足し、その旨の決定を求めることを要する 2 右要件を充足しないとして比国人男との婚姻により日本国籍を喪失したとされた日本人女につき、右国籍喪失の戸籍記載は錯誤のよるものと認め、その記載を削除のうえ同人の戸籍の回復を許可した事例