最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 外国の法令により設立された「パートナーシップ」の当事者能力の有無についての準拠法 2 ケニア法上の「パートナーシップ」の当事者能力
継続的債務を担保するため根抵当権と代物弁済予約が締結されている場合において、予約完結時の目的物件の価額と被担保債務額とが合理的均衡を失しているとした事例
会社が代表者の個人名義を使って手形を振り出していた場合において会社従業員が無断で個人名義の手形を振り出した行為につき民法第110条の表見代理の成立を否定した事例
1 行政処分(退職手当増額分の支給処分)の違法を理由とする住民訴訟において、当該処分の取消しまたは無効確認請求をせず、代位による不当利得返還請求をすることの許否 2 予算の議決を経たが、条例に基づく市議会の議決を経ずになされた市の特別職の職員に対する退職手当増額分の支給処分が違法であるとされた事例
1 乙から所有権移転仮登記を受けた丙の関与なしに、甲から乙への所有権移転登記が抹消された場合の抹消回復登記請求権の成否 2 1の場合、丁が甲から所有権移転請求権保全仮登記を受けたとき、1の抹消回復登記につき、丙の丁に対する承諾請求権の成否
陸運局長が、自動車運送事業者に道路運送法第36条第1項の違反ありとしてなした同法第43条による免許取消処分を取消した事例
1 使用者の労働者に対する教育権限の範囲 2 労働者は職務上知りえた企業の秘密を守らねばならないか 3 解雇の意思表示当時使用者の覚知しない事由を解雇事由となしうるか
労組の選挙に干渉したとして会社幹部に科せられた懲戒処分が、事実無根であるとして、被処分者から会社に対する慰藉料及び謝罪文掲示が認容された事例
1 出向命令が労働契約上の根拠なしとして無効とされた事例 2 組合活動が著しく困難となることをもって地位保全仮処分命令の必要性とした事例
特定郵便局長が郵便切手類および印紙の売さばき人の名義を使用して郵便切手類等を売りさばきその手数料を取得した行為が詐欺罪および業務上横領罪にあたるとされた事例
1 昭和25年東京都条例第44号「集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例」第1条の規定は、屋外の公共の場所のみを対象としたものか 2 国電お茶の水駅改札口のホールは、右規定の場所に該当しないか
自動車運転者が交差点において右折する前に方向指示器による適式の右折合図をして右折を開始した際、その右側を追い抜こうとした後続車両に自車を衝突させた場合にいわゆる信頼の原則の適用を認めなかった事例
1 ビラ貼り行為が愛媛県屋外広告物条例に違反する広告物表示行為に当らないとした事例 2 軽犯罪法第1条第33号にいうみだりに他人の工作物にはり札をしたと認められない事例
土地所有者が自己も共有者の1人である(持分3分の1)地上建物の他の共有者(持分3分の2)を相手どり提起した建物収去、土地明渡請求につき、収去費用の割合を主文に明示してこれを認容した事例
建物をその敷地所有者に対し即時収去すべき義務ある者が、自らの義務の履行に着手せず、その敷地所有者が建物を不法に占有していることを理由としてこれによる損害の賠償を求めることは許されないとされた事例
地方税の滞納処分としてなされた公売財産(電蓄)の売却決定及びこれにいたる手続過程に徴収職員の過失に基づく瑕疵があるため右売却決定が無効である場合において、最高価申込者として右売却決定の通知を受けた者が地方公共団体に対して請求しうべき損害賠償の範囲
借地賃貸借契約解除のためにした「昭和22年2月から同33年10月までの公定地代とこれに対する年5分の割合による遅延損害金を支払え」という内容の催告は適法か
1 確認の利益が否定された例 2 宗教法人に代表役員たるべき住職の選出方法に関する規定、慣習がない場合の住職の選出方法
1 売買物件にかくれた瑕疵が存した場合と、宅地建物取引業者がその業務遂行上つくすべき注意義務の範囲 2 文化財保護法第57条の2にいう「古墳その他の埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地」の意義
雑誌掲載記事の登場人物が実在の者を指したものと認められ、同人については右記事の内容が事実無根があることから、その名誉を著しく毀損するものとして、同人に対する謝罪広告及び慰藉料の請求が認容された事例
1 商品取引所法97条1項違反の行為の私法上の効力 2 担保権者の弁済充当の指定と民法所定の債権者による弁済充当の指定
1 取締役兼務の両会社間に、取締役会の承認を受けずに売買がなされた場合と、取締役の売主たる会社に対する損害賠償債務発生の有無 2 いわゆる第二会社代表取締役が、その株式払込金をもって、自己が個人保証をした倒産会社の銀行に対する債務を弁済した場合と右行為の違法性の有無 3 代表取締役個人が会社から日歩13銭の割引率により手形を割引いた場合と会社の損害発生の有無
1 「耐火性布地」に関する実用新案登録出願について、審決のした要旨認定に不備があっても違法とはいえないとした事例 2 右出願について、引用例と技術思想を異にし、単なる材料転換ではないとして、拒絶相当とした審決を取消した事例
運動具を指定商品とする「デビスキング」という商標は、テニス用ラケットなどの商標として周知著名となっている「デビスカップ」という商標とは、その商品について混同誤認を生ずるおそれなしとして、拒絶相当とした特許庁の審決を取り消した事例
「エース」の文字は、商品の品位・品質を現わす形容詞的な用法に使われるから、「リポエース」という商標の登録を出願しても、すでに「リポ」という商標が同じ指定商品化学品などについて登録されている以上、右出願についてその登録を拒絶するのが相当であるとした事例
「バット」に関する特許発明について、特許請求の範囲の文言中の「表層部」の解釈について判断が示され、対象物件には、特許発明と共通の技術的思想があるとして権利侵害を認定した事例
「洋服カバーを兼ねる包装袋」に欄する実用新案権について、その権利範囲に属する商品を販売している者に対する差止の仮処分について、その必要性ありとされた事例
「金銭登録機」に関する実用新案権について、原告製品を、登録請求の範囲の記載と対比して相違する点につき、公知技術を参酌し、説明書の記載を総合して、技術的範囲に属しないとした事例
「無臭防虫便所装置」に関する実用新案権について、説明書の文言ならびに公知技術を参照して、被告の便所装置が右登録実用新案の技術的範囲に属しないとした事例
1 婚姻費用の分担額を決定するにあたり、原則として妻の特有財産の収入は資料とすべきでないという主張は理由なく、またそのような慣行はない 2 婚姻費用分担請求権は、請求権者にとって現実に履行されることを必要とするものであって、相殺による清算はその目的に反するから許されない
1 親権者が申立てた子の引渡審判事件の抗告審において、相手方(抗告人)は監護者の指定を求めてこれを争うことはできない。その場合はまず家庭裁判所に監護者指定の審判を申立てるべきである。 2 子の引渡審判事件において、子が相手方のもとにとどまっているのはいまだ5歳の幼児であって自由意思にもとづくものでないから、その子の意思を確めずに審判をしても不当ではないとした事例
申立人が相手方の財産の維持増加のためとくに寄与したと認めるべきものはないから、離婚に際し清算すべき共有財産はないとして、夫からの財産分与の申立を却下した事例
1 財産分与金の支払担保のため相手方所有の不動産に抵当権を設定した事例 2 労研方式により父の未成熟子に対する扶養料分担額を算出したうえ、さらにその額を申立人(子)の申立の範囲にとどめた事例
遺産たる農地の価額を周辺の土地が宅地化されている現状にかんがみ宅地として評価し、その額にしたがって具体的相続分を定めたうえ、農業に従事しない相続人に宅地転用の余地があるとして農地を相続させた事例
具体的相続分算定につき、被相続人の生前贈与中に特別受益者の被相続人に対する報酬請求権ないし共有持分の清算分が存することを認定し、また債務負担方法の支払につき支払猶予期間中の法定利息を課した遺産分割事例
いわゆる明治31年式戸籍により調整された戸籍につき、父母欄中父の氏の訂正を求める戸籍訂正許可申立事件において、当時の戸籍編製の原理からみて戸籍の記載に錯誤は認められないとして申立を却下した事例
1 7年以上宣教師として日本に居住するカナダ人(ブリティシュ・コロンビア州)夫婦が日本人未成年者を養子とするにつき、カナダ国際私法上のドミサイルは日本にないとして反致を認めなかった事例 2 カナダ・ブリティシュ・コロンビア州の養子決定は、縁組の方式の部分と実質的要件を審査する部分とに分けて考えられるから、後者の部分はわが家庭裁判所の許可審判によって代行しうるとした事例
相続人(韓国人)が日本の戸藉吏になした婚外子(韓国人)の出生届は韓国法上認知の効力があるから、当該子が被相続人の第1順位相続人であるとして、被相続人の父が相続人であることを前提とした相続財産管理人の選任申立を却下した事例
中国人夫婦と日本人未成年者との養子縁組につき、準拠法たる中華民国民法および日本民法の定める養子縁組の各成立要件をそれぞれ充足しているとして許可審判をした事例
1 養子とする動機は、人道的に事件本人の生命を守り、かつ日本における留学の希望を叶えてやることにあるが、当事者間に真実親子関係を設定する意向があり、縁組から生ずる法律的効果を受ける意思があることは、ベトナム共和国民法の縁組要件である「適正な動機」の要件を充足するものであるとして、日本人夫婦が日本に居所を有するベトナム共和国人成年者を養子とすることを許可した事例 2 右成年者間の縁組につき、ベトナム共和国民法の要求する民事裁判所の認許は、わが家庭裁判所の許可をもって代用しうると解した事例
労働時間を越えることがあってもそれがわずか10分程度の短時間のものは社会一般に許容されるべきであり、これを時間外労働として処罰することは相当でないとした事例
パチンコの景品買いは、やくざの組織下あるいはその了承のもとに営まれている例の多い現状から考えて、これに従事させることは、そのこと自体児童の心身に有害な影響を与えるような行為と見るのが相当であるとした事例
風俗営業者は、従業員雇入れにつき、年令確認の注意義務を負うものであって、この点に関する行政指導の不備により免責となるものではない。
家庭裁判所は、少年の14歳未満のときになした触法行為についても、審判時に少年が14歳を越えていれば、都道府県知事等からの事件の送致がなくても、その少年に対して審判権を有するものとした事例
いわゆる教科書裁判における文書提出命令 東京地裁民事三部と同二部の各決定 (その1)1 民事訴訟法312条1号にいう「引用」とは、当事者が文書を挙証のために引用した場合に限らず、自己の主張の助けとして文書の内容と存在を明らかにした場合を指すものと解すべきである。 2 文書提出義務について民事訴訟法272条の類推適用はない。 3 教科用図書検定調査審議会の議事録及び答申書等は、文部大臣のする教科書検定処分の判断資料を準備提供するための内部行為に関し、自己使用の目的で作成される内部的な文書であるから、教科書検定処分の判断資料を準備提供するための内部行為に関し、自己使用の目的で作成される内部的な文書であるから教科書著作者との関係において、民事訴訟法312条3号後段の「関係文書」にたらない。 (その2)1 民事訴訟法312第3号後段の「関係文書」とは、挙証者と所持者との間の法律関係それ自体を記載した文書のみならず、その法律関係の生成過程において作成される文書もこれに当ると解すべく、行政庁が処分をするに当り、一定の手続を経ることが要請され、その手続について一定の文書の作成が法令上予定されている場合には、右文書は「関係文書」に当るから教科書検定処分について作成される教科書調査官の意見、評定書、教科用図書検定調査審議会の議事録、答申等は、教科書著作者との関係において前記法条にいう「関係文書」というべきである。 2 文書提出義務について民事訴訟法272条の趣旨が類推されるものと解されるから、その文書の公表が法律上禁止され、また公共の利益を害するときは、提出義務を免れ得る。
1 集団行動の許可条件の内容を公安委員会に委任することは、憲法第31条に違反するか(違憲) 2 許可条件の一部に、違憲無効な条件が混在する場合に、許可条件全体が無効となるとした事例