最も長い歴史をもつ判例実務誌
いわゆる公安条例に関する二つの地裁判決 (その1)1 東京都公安条例に基づく公安委員会の運用の適否 2 条例で国会の審議権となる行為を禁止することの当否 3 許可処分の附款で別個独立の許可処分の対象となるべき行為を禁止することの当否 (その2) 京都市公安条例は憲法第21条に違反するか
1 約定の著作物使用料の遅滞期間中、使用料のほかに、その使用料の倍額を違約金として支払う旨の、著作権管理団体の約定に基く請求が認容された事例 2 キャバレー営業所に常置の楽団による音楽演奏の場合、キャバレー営業主を演奏権侵害者であると認めた事例
1 防火地域の指定ある土地につき、これを知らずに非堅固建物所有の目的の借地権の設定を受けた借地人は右指定を理由として建物の構造に関する借地条件変更の申立ができるか 2 条件変更に伴う財産上の給付算定の基準
1 株主総会の決議の成立と採決手続を経ることの要否 2 営業を譲渡する会社の株主が譲受会社の代表取締役である場合と営業譲渡の議案についてのいわゆる特別利害関係人
滞納処分による船舶の差押登記後、その船舶の所有権を取得した第三者は、公売処分の違法を理由として、不法行為による損害賠償を請求できるか
1 労働組合からの脱退につき中央委員会の討議を要する旨の規約の効力 2 労働組合員が労働組合を脱退したとは認められない事例 3 労働組合の分裂でなく組合員の集団脱退と認められた事例
捕鯨船砲手が業務遂行中脳溢血により死亡したことが「職務上の事由による」ものと認められて遺族年金不支給決定が取消された事例
1 当事者の意思を探究して労働契約の効力の準拠法を認定した事例 2 日本国内で提供される労務を目的とする労働契約の準拠法は法例第7条によらず同第30条により日本法となるか 3 解雇権濫用の法理の不適用が法例第30条にいう公序に反しないとされた事例
1 電話による通知と裁判官の転補発令の効力 2 転補発令後の裁判官の関与した評議に基づく裁判が憲法第37条第1項の「公平な裁判所の裁判」でないとはいえないとされた事例 3 再審を開始するか否かを定める手続は憲法第82条の「裁判の対審及び判決」に含まれるか
旧物品税法第22条(昭和24年法律第286号による改正前のもの)のいわゆる両罰規定における事業主としての法人または人に対する公訴時効
1 (旧)関税法第83条第3項、(新)関税法第118条第2項による追徴の要件 2 (新)関税法違反事件において、犯行当時情を知った第三者の所有物が没収できない場合、被告人から追徴も許されないとされた事例
1 劇映画「黒い雪」は、いまだその上映を刑法上の処罰の対象としなければならないほどの猥褻性を持っていない 2 公訴の対象である上映に使用された映画フィルムと極めて類似した映画フィルムの、証拠としての許容性・関連性
1 土地のいわゆる地震売買と土地賃貸人の債務の不履行となった時期 2 地震売買による土地賃貸人の損害賠償につき過失相殺を認めた事例
1 日本に営業所のある外国会社の譲渡行為の第三者に対する効力と法例12条 2 無記名定期預金の譲渡禁止特約の存在につき譲受人の悪意を肯定した事例
家庭菜園用借地上に家屋を建築した事を賃貸人が黙認していても、その後新たに家屋を増改築したことを理由になされた賃貸借解除が認められた事例
1 離婚を認めないフィリピン共和国法と法例30条の適用 2 夫婦が各自の民名を名乗っていたと認められる場合の裁判管轄権
造成宅地が水害により崩壊し、その土砂により下流地域の他人の庭園が埋没した本案につき、宅地造成工事のかしを認定し、造成者(かつ宅地所有、占有者)に対し損害賠償を認めた事例
ほしいままに他人名義の抵当権を設定された家屋の所有者が抵当権不存在確認の訴とともにその抵当権実行不許の裁判を求める訴の許否
1 運転者の過失責任を否定しつつ、運行供用者の責任を肯定した事例 2 婦人の顔面の醜い傷痕に対し、150万円の慰藉料を認めた事例
1 傷害致死の事案につき酩酊による心神耗弱を認定した原審の判断を不相当とした事例 2 右事実の誤認が、判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄したが、諸般の情況により、結局、原判決と同様の量刑をした一事例
1 殺人の未必的故意を認定した原審の判断を不当として、殺人の確定的故意を認定した一事例 2 右事実の誤認が、判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認と解せられる場合
他人の依頼を受けて業務上保管していた定期預金証書につき、処分権限あるものの如く詐ってそれを担保に供し、貸付名下に金員を騙取する行為に対する擬律
いわめる晴着魔の常習器物毀棄罪として起訴された事実について常習性を否定し、かつ起訴前の告訴取下により起訴条件が欠欠しているものとして公訴を棄却した事例
1 タクシー会社の争議に際し、会社が道路運送法18条による事業計画変更の認可を受けないで車輌(タクシー)の配置場所を第二組合員の就業している営業所に変えて営業を続けたため、第一組合側において、府警本部および陸運局に右違反の取締を強く要求し、その結果、警察からは違反車を見つけ次第現行犯逮捕してもやむを得ないとの言質を得、また、陸運局係員からも違反事実があれば考慮するとの言質を得たので、違反車を摘発して陸運局係員に呈示するとの方針を決定したところ、右決定に基づき、第一組合員が摘発した第二組合員乗務の違反車に対し、 (1)運転台の前面ガラスその他車体の各部に新聞紙製ビラ約30枚を貼りつけた行為につき、器物損壊罪の成立を認め(犯罪事実第5および弁護人の主張に対する判断参照) (2)違反車を陸運局前まで移動させるなどして同車によるタクシー営業を一時的不能ならしめた行為につき、組合の団結権と争議権を防衛するための現行犯逮捕に準ずる正当行為であるとして、威力業務妨害罪の成立を否定した(無罪理由(4)参照)事例 2 右争議に際し、組合員が、争議手段として、会社の意思に反し非組合員からエンジンキイ、自動車検査証等を受取り隠匿した行為につき、可罰的違法性なしとして、威力業務妨害罪の成立を否定した事例(無罪理由(1)参照) 3 右争議に際し、組合員が、争議手段として、会社の事務室および廊下のガラス窓、事務室内にある事務机その他の物にビラ多数を貼った行為につき、いまだその物の効用を害する程度に至っていないとして、器物損壊罪の成立を否定した事例(無罪理由(2)参照) 4 右争議に際し、会社側が強度の暴力を用いてピケットラインを突破し車輌(タクシー)の引出しを強行したのに対し、組合員がピケ防衛のため会社側の者に対して加えた暴行、傷害につき、正当防衛として、犯罪の成立を否定した事例(無罪理由(5)参照)
被疑者に対する勾留取消決定が告知された後、6時間余にわたってその身柄釈放の指揮をしなかった検察官の措置が違法とされた事例
1 労働争議行為として宿直勤務拒否をしていた労働組合の組合員が、宿直代替臨時職員として会社から雇われた者に対し、退職を説得した行為が脅迫罪にあたるとされた事例 2 右説得行為が脅迫罪にあたらないとされた事例
1 親権者と未成年の子との共同相続において、未成年の子につき特別代理人を選任することなく遺産分割手続を行なうのは違法である。 2 相続財産の管理に必要な費用は相続財産から支弁すべきものであるから、分割すべき相続財産およびその収益の額を算定するに当っては、当然右のような管理費用を控除すべきである。
民法910条は、認知前に他の共同相続人が遺産を処分した場合に関する規定であって、認知後になされた遺産の処分については適用がない。
妻の死亡後帰化した朝鮮人夫からなされた妻の氏を自己の氏と同一のものにするための戸籍訂正申立を却下した原審判を相当とした事例
1 別居責任が夫にあり、かつ同居を拒む正当な事由が夫に認められない場合には、その夫は妻に対して同居義務がある。 2 夫の職業が自由業でその収入を明瞭に把握することが困難な場合における婚姻費用分担額算定の一事例
夫婦間の感情的対立が強く、婚姻関係破綻の程度が高い現段階で同居を命ずるのは相当でないとして、妻からの同居申立を却下した事例
非嫡出子であるがため将来社会的に不利益をうけることをおそれ、実体の伴わない単なる戸籍上の操作のみを目的とした養子縁組申立を却下した事例
事件本人が父方祖父母を慕い、相互に愛着度が強く離れ難いものになっている現状においては、親権者を父に変更するのが相当である。
離婚後他女と再婚し、その間の子および妻の親族とともに生活体を構成している父親に対し、先妻との間の未成熟子に対する扶養料を定めた事例
生前贈与された現金につき、物価指数の変動を考慮し、総理府統計局編「家計調査年報」および「消費者物価指数報告」に基づき相続開始時の価額を算出した事例
1 戸籍法113条にいう利害関係人とは、その誤謬戸籍により身分上、財産上の利害関係を有する者に限られるから、戸籍管掌者たる市町村長からなされた同条の戸籍訂正申立は不適法である。 2 申立人が調停離婚の届出をするに際し、同届書に相手方の新戸籍編製申出の意思が明確にされておれば、その申出を適法として取扱うのが相当である。
強度の神経症にもかかわらず入院治療を拒否する妻に対してなされた夫婦関係調整事件において、家事審判法24条により、離婚と同時に長男の親権者指定と離婚後の扶養の意味での財産分与の審判をした事例
1 縁組後も養親(米国ニユーヨーク州人)と氏を異にしている養子(米国ニユーヨーク州人)の氏を養親の氏に変更するにつき、準拠法として法例20条を適用した事例 2 右につき、準拠法たる米国実体法上氏の変更が認められても、手続法たる日本法においてその権限が認められていない場合は、米国実体法を適用する手続法上の権限と類似するわが国の手続法上の権限によって、その実体法を適用実現するほかないと解し、子の氏変更許可の権限によってこれを許可審判した事例
1 米国人(アイダホ州)との養子縁組に基づく養子(日本人)の氏および名の変更についての準拠法 2 米国法上養子決定後の養子の名の変更の権限は、わが国の戸籍法107条2項、家事審判法9条2項により有する家庭裁判所の権限と類似するとして、右権限により養子の名の変更を許可した事例 3 米国法上養子決定の際の養子の氏の変更の権限は、わが国の家庭裁判所の有する子の氏変更許可の権限と類似するとして、右の権限により養子の氏の変更を許可した事例
刑事事件では実刑に値しない程度の軽微な非行に基づき少年院送致をした原決定は、憲法14条1項に反して少年を差別待遇したものであるとの附添人の主張を排斥した事例