最も長い歴史をもつ判例実務誌
『類型別会社訴訟Ⅰ・Ⅱ』は,平成16年から18年にかけて東京地方裁判所民事第8部(商事部)に在籍していた裁判官,書記官が,その経験を踏まえ,会社訴訟の代表的な事件類型について,これまでの判例,同部での取扱い等を紹介したものであり,平成23年12月にその第3版が出版された。この『類型別会社訴訟Ⅰ...
[目次]
第1 法的性格
第2 正当な理由(1)
第3 正当な理由(2)
第4 正当な理由(3)
第5 損害(1)
第6 損害(2)
第7 代表取締役の解職と会社法339条2項の類推適用
第8 特例有限会社における任期の定めがない取締役の解任
第9 取締役の任期短縮の定款変更と会社法339条2項の類推適用
[目次]
はじめに
Ⅰ. 責任能力判断の傾向分析
Ⅱ. 判断イメージの提示
Ⅲ. 統合失調症事案の個別検討
Ⅳ. うつ病事案の個別検討(以上,1494号掲載)
Ⅴ. 報告会概要
おわりに
コメント
司法精神医学の観点から―五十嵐禎人教授
刑事実体法の観点から―樋口亮介教授
執筆者を代表して―大野洋判事
交通事故により被害者に身体傷害及び車両損傷を理由とする各損害が生じた場合における,被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条前段所定の消滅時効の起算点
法例の一部を改正する法律(平成元年法律第27号)の施行前における嫡出でない子の母との間の分娩による親子関係の成立の準拠法
強制わいせつ罪等を非親告罪とした「刑法の一部を改正する法律」(平成29年法律第72号)の経過措置を定めた同法附則2条2項と憲法39条
国がマイナンバー制度により個人番号を収集,保存,利用及び提供する行為は,当該個人が個人番号の利用に同意していないとしても,憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない
暴力団対策法31条の2本文が定める「威力利用資金獲得行為」における「威力を利用」する行為について,資金の獲得のために威力を利用するものであれば足り,被害者に対して威力が示されることは必要ではないとして,いわゆるオレオレ詐欺行為を行う特殊詐欺グループに加担した指定暴力団員の行為が「威力利用資金獲得行為」に該当するとされ,指定暴力団の会長の責任が認められた事例
相手方(妻)が抗告人(夫)に対し,婚姻費用の分担を求めた事案において,原審は,抗告人は無職ではあるが,令和元年分の給与収入の5割程度の稼働能力を有するとして,婚姻費用分担金の支払等を命じたが,抗告審は,失職した義務者の収入について,潜在的稼働能力に基づき収入の認定をすることが許されるのは,就労が制限される客観的,合理的事情がないのに主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず,そのことが婚姻費用の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される特段の事情がある場合でなければならないものと解した上で,抗告人が自殺企図による警察官の保護を受け,それをきっかけとして職場を自主退職したこと,主治医の意見書において,就労は現状では困難であるとされていることなどが認められることからすれば,上記の特段の事情があるとは認められないとして,原審判を取り消して,本件申立てを却下した事例
勾留による拘禁が不当に長くなったとして刑訴法91条1項により勾留を取り消した原決定の判断は,審理の遅延が弁護人の不適切な訴訟活動によるところが大きいことを考慮しない点で不合理であり,判断に誤りがあるとされた上で,勾留の必要性がなくなったとして,勾留を取り消した原決定の結論は維持された事例
地方公共団体である原告が,住民である被告に対し,還付しすぎた住民税の返還を求めた不当利得返還請求権につき,延滞金条例の適用はないとした事例
1 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分が違法であるとされた事例
2 1型糖尿病にり患し,国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分,及び1型糖尿病にり患し,同項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた,支給停止を解除しない旨の処分が,違法であるとはいえないとされた事例
収益不動産販売事業を行う会社が将来の転売を目的としてした収益不動産(中古の賃貸用マンション)の購入である課税仕入れについて,消費税法(平成31年法律第6号による改正前のもの)30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分すべきものとされた事例
きつ音を有する新人看護師が,試用期間を延長された後に精神障害を発病し自殺したことについて,業務起因性が認められた事例
先天性心疾患の治療のため心臓手術を受けた生後3か月半余りの乳児が,術後,低酸素性虚血性脳症を発症して重大な脳神経障害を残した症例について,カンファレンス鑑定の結果等に照らし,医師において,術前に再度心エコー検査を実施する注意義務や術中に人工心肺の送血カニューレの位置等を調整する注意義務を負っていたとはいえないとして,診療契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例
申立人が相手方に対し,子らの監護者の指定と引渡しを求めた事案において,主たる監護者は申立人であったところ,相手方は,単独監護の開始を強行した上,子らを海外渡航させて申立人との交流を断ったものであり,監護者としての適格を欠くとして,各申立てをいずれも認容した事例
「全生活史健忘」と診断された申立人が,就籍許可を求めた事案において,就籍許可の要件である「日本国民であること」については,昭和27年法律第268号による改正前の国籍法2条4号は,「日本で生まれた場合において,父母がともに知れないとき,又は国籍を有しないとき」と定めているところ,申立人が日本国内で生まれたことを示す直接な証拠はないものの,家庭裁判所調査官の調査等から得られた事実を総合考慮すれば,申立人は日本で生まれたと推認するのが相当であるから,日本国民であると認めるのが相当とし,戸籍法110条1項所定の「本籍を有しない者」については,日本人として戸籍に記載されるべきでありながら何らかの理由で記載されていない者をいい,その中には本籍を有することが明らかでない者も含まれると解すべきところ,申立人については,様々な身元調査を実施したものの身元を確認することができないことから,「本籍を有しない者」に該当すると認めるのが相当であるとして,就籍許可の要件を充たすと認め,本件申立てを許可した事例