最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
Ⅳ 工事の瑕疵に関する事件の審理モデル
第1 要件事実等
第2 典型的な争点
第3 早期に確定すべき基本的な事実関係
第4 早期に提出されるべき基本的な書証
第5 共通認識の形成と審理計画の策定
第6 瑕疵一覧表の活用(当事者が作成する際の留意点)
第7 付調停等による専門的知見の活用
第8 現地調査
第9 参考書式等
固定資産課税台帳に登録された土地の価格について,当該土地に接する街路が建築基準法42条1項3号所定の道路に該当する旨の市長の判定がされていること等を理由に上記街路が同号所定の道路に該当することを前提とする上記価格の決定は適法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
陳述書等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとして再審開始の決定をした原判断に刑訴法435条6号の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による処遇制度と憲法14条,22条1項,31条
スーパーマーケットの駐車場用地の一部を道路改良事業の事業用地として買収した市が買収の相手方との間で買収残地及び店舗敷地等を買い受ける旨の事実上の合意を成立させながら容易に実現困難な条件を設定するなどした上これらを履行した相手方に対し当該土地の買取りを拒否したことが相手方に対する不法行為となるとされた事例
子の常居所地国を米国と認定した上で,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律28条1項5号の返還拒否事由の主張等を排斥して,子の米国への返還を命じた事例
被扶養者(母)の二男が,被扶養者の長男及び三男に対し,被扶養者の扶養料の支払と被扶養者及び亡夫への過去の扶養料の求償を求めた事案について,子の老親に対する扶養義務は生活扶助義務であることを前提として,扶養料の額は被扶養者の生活維持に要する最低生活費から被扶養者の収入を差し引いた額を超えず,かつ,扶養義務者の余力の範囲内とすべきであり,また,扶養義務者の分担額を検討するに際しては,扶養義務者の配偶者の収入を斟酌することができるとして,扶養料及び過去の扶養料の求償額を定めた事例
「くい」を指定商品とする立体商標の登録出願について,使用をされた結果自他商品識別力を獲得し商標法3条2項により商標登録が認められるべきものということはできないとされた事例
覚せい剤,大麻等の単純所持等の事案において,公訴事実に争いがないものの,被告人が違法薬物の密売人であったことを否認し,原審弁護人もこれを争って関係者の供述調書を不同意としている状況の下で,被告人が違法薬物を密売していたことを立証趣旨とする関係者の証人尋問を採用し,その後,この者の供述調書を原審弁護人が不同意の意見を撤回して同意したことにより採用し,さらに,量刑の理由において,被告人が違法薬物の密売をしていたとの事実を認定した上,同種事案と比較して明らかに重い量刑をした原審の手続を全体としてみると,起訴されていない余罪である覚せい剤の営利目的による譲渡等の犯罪事実を認定し,これを実質上処罰する趣旨で被告人に対する刑を量定した疑いを免れず,違法であるとされた事例
市議会の2会派が,交付された政務活動費を広報紙に係る費用に支出したことが,同広報紙の内容からして一部違法であり,被告による同支出金額に相当する不当利得返還請求権の不行使が怠る事実に該当するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,同2会派に返還請求することを被告に対して求める請求が,一部認容された事例
共同相続人2名による相続に係る相続税につき,遺産分割未了の遺産に属する債権に対する滞納処分としての差押えがされ,取り立てられた金銭が共同相続人らの各滞納国税のために配当されたが,その後の遺産分割により当該差押えがされた債権の全てを共同相続人の1人が取得したという事案において,当該債権を取得した共同相続人が,自身の取得した財産により本来納付すべき相続税額を超えて相続税を納付していることとなっているとして,国に対してした過納付の相続税相当額の金員の不当利得返還請求につき,滞納処分としての差押えに係る債権者である国は,当該遺産分割との関係で民法909条ただし書の第三者に該当するため,当該債権を取得した共同相続人は,当該差押えがされた債権を遺産分割により取得したことを国に主張することはできないなどとして,その請求を棄却した事例
税務署長等は,所属の当該職員に納税義務者に対し実地の調査を行わせる場合に,あらかじめ,当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には,当該税務代理人を含む。)に対し,その旨及び国税通則法74条の9第1項各号所定の事項を通知する事務を所属の当該職員に行わせることができるか
土地を特定しないでした替地による補償の要求について,土地収用法82条3項にいう「その要求が相当である」場合に該当しないとされた事例
労働組合の組合活動に,使用者や管理職者の名誉を毀損する行為があったとしても,正当な組合活動であるとして,不法行為の成立を否定した事例
1 消火器の破裂事故について,当該消火器が製造された当時の自治大臣が,消防法上の委任に基づいて有する消火器の規格省令の改正に関する職務上の権限を行使しなかったことについては違法性がないとして,国に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
2 消火器メーカーで構成される一般社団法人及び破裂事故を起こした消火器のメーカーは,本件事故の発生を回避するための作為義務を負っていたとはいえないとして,不作為の不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例
1 登記申請手続の委任状を認証した公証人について,本人確認義務を怠ったとはいえないとして,国に対する損害賠償の請求を棄却した事例
2 登記申請手続の委任を受けた司法書士について,本人確認義務を怠ったとして,同人に対する損害賠償の請求を認容した事例
原告が債務者の有する投資信託の売却代金支払請求権を仮差押債権とする債権仮差押命令を得た後,約款に基づき上記売却代金でMRF(マネー・リザーブ・ファンド)が買い付けられ,その後,被告が債務者の有する振替社債等を差押目的物とする債権差押命令を得て,それに係る売却命令に基づき上記MRFが売却されその売得金が配当原資になったが,これを原告と被告の各請求債権額に基づき按分して配当する旨の配当表が作成されたという事案について,原告が上記売得金は全額が原告に配当されるべきであると主張して上記配当表の変更を求めた配当異議訴訟において,原告の請求が棄却された事例
1 被保険者がマンション吹き抜け部分から転落して死亡した事故に関して,生命保険契約に付帯する災害死亡給付特約に基づく災害死亡保険金が請求された事案において,被保険者の同特約の免責事由たる「重過失」該当性を否定した事例
2 保険約款の変更について,変更内容の具体的説明,異議を述べることができること等を記載した文書の送付を受けるなどしながら,被保険者も異議を述べずに保険料の支払を続けたこと,変更内容が契約者にも利益があること等から,黙示の合意による変更を認めた事例
児童自立支援施設に送致されるとともに,1年半の間に通算30日を限度として強制的措置をとることができる旨の決定を受けた少年につき,その強制的措置をとり得る大枠の期間内に更に1年半の間に通算60日を限度として強制的措置をとることができる旨の決定を求めた強制的措置許可申請事件において,これ以上の日数にわたる強制的措置の必要性は認められないとして,これを許可しなかった事例
窃盗保護事件において,少年には保護処分歴がなく,非行事実の結果が軽微であるものの,その資質,保護環境等に鑑み,社会内処遇によって少年の再非行を防止し,その改善更生を果たすことは極めて困難であるとして,少年を第1種少年院に送致した事例