最も長い歴史をもつ判例実務誌
行政事件訴訟法25条2項にいう「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」の要件を満たさないとして, 銃砲所持許可処分の取消処分の効力の停止が認められなかった事例
法定管轄裁判所に訴えが提起され, 専属的合意管轄裁判所への移送申立てがされた事案において, 訴訟の著しい遅滞を避け, 又は当事者間の衡平を図るため必要があると認められる場合には, 専属的合意管轄裁判所に移送せずに, 法定管轄裁判所において審理することが許されるとされた事例
国際的な法律事務所に所属する弁護士が, 本件の仲裁人として選任された後, 同じ法律事務所に所属する別の弁護士が別件訴訟において本件当事者の関連会社の訴訟代理人を務めているという事実(利益相反事由)を開示せずに, 本件仲裁判断をしたことについて, 仲裁人による利益相反事由の不開示は, 仲裁法18条4項の開示義務違反を構成し, 重大な手続上の瑕疵といえるから, それ自体が, たとえ, 本件仲裁判断の結論に直接影響を及ぼすことがないとしても, 同法44条1項6号の取消事由に該当するとして, 同条6項に基づき本件仲裁判断が取り消された事例
一つの不動産競売事件の同一の開札期日における複数の売却単位の買受申出保証金を合算して提供した入札が有効とされた事例
抗告人と相手方の居宅を行き来しながら一種の共同監護に服している未成年者に関し, 監護者をどちらか一方に定めるのは相当ではないとして抗告人の申立てを却下した原審に対して, 原審判後の状況も踏まえた当事者双方の監護状況及び監護者としての適格性, 両者間の紛争の現状及び未成年者らに与える影響, 未成年者らの意向・心情等について, 特に家庭裁判所調査官の専門的な視点による調査も含めて, 更に審理を尽くし, その上で監護者指定の要否等を見極める必要があるとして, 原審判を取り消し, 差し戻した事例
抗告人及び原審申立人らを民法958条の3第1項所定の特別縁故者と認めるには十分な裏付けがされているとはいい難く, 被相続人の特別縁故者と認めるに足りる客観的な事情の存否やその程度等について更に審理を尽くさせるのが相当として, 合計9500万円相当の財産の分与を認めた原審判を取り消し, 差し戻した事例
株主割当ての方法による募集株式の発行における募集事項等の通知が違法であり, 当該新株発行には無効原因があるとされた事例
1 ストーカー行為等規制法中の「身体の安全, 住居等の平穏若しくは名誉が害され, 又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法」「反復して」に該当するか否かが争点とされた事案について, 無罪とした原判決を破棄し, いずれの要件も満たすとして有罪の判断をした事例
2 ストーカー行為をする目的で, その相手方の居住するマンションのオートロックをかいくぐって共用部分に立ち入り, 相手方居室前に至った行為について, 邸宅侵入罪の成立を認めた事例
被告人が弟及び祖母をナイフで突き刺して殺害したが, 責任能力については当事者間では心神耗弱であることに争いがなかったという事案において, 心神耗弱の認定をした原判決は, 犯行態様及び犯行に至る経緯について, 悪魔に関する妄想の圧倒的な影響をうかがわせる事情が多数認められるにもかかわらず, これらを適切に考慮することなく, 被告人の精神障害の犯行への影響等に関する評価が合理的とはいえない起訴前の精神鑑定に依拠しており, 論理則, 経験則等に照らして不合理な認定をしたものといわざるを得ず, 事実誤認があるとし, 原判決を破棄して心神喪失であった合理的な疑いがあることを理由に無罪の言渡しをした事例
傷害, 暴行保護事件において, 少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告に関し, 傷害に関する・職権証拠調義務違反を理由とする法令違反の主張について, 証人尋問等をすべきであったとは認められないとし, ・少年は犯人ではないことを理由とする事実誤認の主張について, 被害者の犯人識別供述等を基に犯人性を肯定するなどして, 抗告を棄却した事例
窃盗, 強盗未遂, 銃砲刀剣類所持等取締法違反保護事件において, 少年を第1種少年院に送致した決定に対する事実誤認を理由とする抗告に関し, ・強盗未遂及び銃砲刀剣類所持等取締法違反について, 犯人が触った商品から検出された指紋の一つが少年の指紋と一致していること等から少年の犯人性を肯定して非行事実を認定するとともに, ・窃盗について, 被害者の供述等から非行事実を認定し, 抗告を棄却した事例
触法(強制わいせつ, 児童買春, 児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反)保護事件において14歳未満の少年を初等少年院に送致した決定に対する, 処分不当及び法令違反を理由とする抗告を棄却した事例
守口市議会の議会運営委員会が開催した協議会につき, その会議録を作成するために職員が議事内容を録音し保管していた電磁的記録は, 守口市情報公開条例に基づく開示請求の対象となる公文書に該当するが, 同会議においては傍聴人による録音等が禁止されていた等の判示事情の下では同条例所定の事務支障文書に該当するといえるから, 職員がこれを廃棄した行為が国家賠償法上違法と評価されることはない
私道の敷地の一部の所有者がした私道の廃止(道路の位置の指定の取消し)の申請について, 私道の廃止には, 当該私道の敷地及びこれに沿接する土地等に関して権利を有する者の承諾を要しないとされた事例
1 銃砲刀剣類所持等取締法11条7項の銃砲の仮領置がされた後に許可の効力が期間満了により失われた場合における上記仮領置の効力の帰趨
2 銃砲刀剣類所持等取締法7条の3第1項による猟銃所持許可の更新の申請をした者につき申請書提出先の警察署がその者に配偶者暴力のおそれがある旨の情報を得ていた場合において, 申請書添付書類の同居親族書に別居中の妻子が同居親族として記載されていたことが, 同法5条1項に規定する重要な事項についての虚偽の記載に該当しないとされた事例
1 建物の解体工事に従事していた労働者が屋根から転落して死亡した事故について当該解体工事の施工業者である勤務先の会社に安全配慮義務違反を原因とする損害賠償責任が認められた事例
2 建物の解体工事に従事していた労働者が屋根から転落して死亡した事故を原因とする勤務先の会社の負う損害賠償責任について, 当該労働者側に2割の過失相殺が認められた事例
3 建物の解体工事に従事していた労働者が屋根から転落して死亡した事故について, 当該労働者の内縁関係を認定して, その内縁の妻による当該労働者の勤務先である会社に対する不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容した事例
遺言内容の記載された書面の文面上には遺言者の署名のみがあり押印を欠くものの, 2枚からなる書面の1枚目と2枚目にまたがり遺言者の契印がある遺言が, 自筆証書遺言として有効とされた事例
舞妓写真事件
原告が撮影した写真を利用して日本画を製作し, 展覧会で展示した被告の行為が, 著作権(翻案権, 展示権)及び著作者人格権(同一性保持権, 公表権)侵害に当たるとして, 原告の請求を一部認容した事例
覚せい剤取締法違反の罪による執行猶予中に, 覚せい剤の単純所持及び自己使用の罪を犯した被告人に対し, 実刑に処した上で, その一部を猶予するとの判決をした事例
インサイダー取引の共犯事案において, 犯罪行為により得た財産の対価として得た財産を追徴するに当たり, 例外的に, 各共犯者の利益額に応じて按分した額を追徴することを認めた事例
被相続人のめい及びおいに当たる申立人らが, 被相続人と親族関係のない相手方に対して, 祭祀財産(遺骨等)の承継者の指定及びその引渡しを求めた事案について, 被相続人の遺骨は祭祀財産には該当しないものの, 相手方と被相続人との生活関係は緊密であり, 被相続人は, その遺骨を相手方に委ねる意思を有していたと考えることができるとして, 被相続人の遺骨について, 民法897条を準用(類推適用)し, その取得者を相手方と定めた事例
1 婚姻費用の分担の支払の始期について, 申立人が相手方に内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を表明した時期とした事例
2 申立人が居住する住宅のローンの支払を算定表によることができない特別の事情として考慮した事例
3 就学中である子ら(12歳及び19歳)について, 算定表による算定に当たっての未成熟子としては取り扱うこととするが, その学費については, 算定表によることができない特別の事情として考慮するのは相当ではないとした事例